鹿児島・公衆浴場が危機 中東情勢で「部品不足」「ガス代1.5倍」営業維持が困難に
2026年5月22日(金) 16:00

鹿児島の中山温泉
シャワーの部品が注文しても揃わない。ガス代は前月の1.5倍に跳ね上がった。かつおぶしさえ手に入りにくくなっている。遠い中東の情勢が、鹿児島の「温泉文化」を支える公衆浴場の経営を、じわじわと、しかし確実に追い詰めている。
午前8時の温泉、開店前から始まる「見えない戦い」

温泉でよく使われるシャワーの部品
鹿児島市の中山温泉。開店前の午前8時過ぎ、店長の西田賢作さんは静かな浴場の中で設備の点検に当たっていた。利用客の目に触れるのは湯船やシャワーだけだが、その裏側では、原油由来の原料を使った無数の部品が温泉の「使い勝手」を支えている。
「温度調整、出る止める、プッシュボタン。見えてはいないけど、中にたくさんのパーツが入っている。定期的に交換しないと利用できないところが出てきたりする」と西田店長は言う。
中山温泉のシャワーは男女それぞれ21基。夏は1日300人、冬は1日600人が利用する。これだけの規模になると部品の消耗も早く、十分なストックを確保しておきたいところだ。ところが、中東情勢を背景に原油由来製品の供給が滞り、注文どおりに部品が届かない事態が続いている。
「『これだけください』と言っても、その半分しか来なかったりする」
必要な数が揃わないまま日々の営業を続けるという、ぎりぎりの綱渡りが常態化しつつある。
ガス代1.5倍、パイプ交換も「見通せない」

使用されているたくさんのパイプ
部品だけではない。中山温泉では源泉の温度を保つためにガスを使用しているが、4月の料金は前月比1.5倍に達した。燃料費の急騰は経営を直撃する。
さらに深刻なのがバックヤードの問題だ。温泉を浴場へ送るためのパイプは、温泉成分によって徐々に劣化する。2026年の夏に一部交換を予定していたが、そのパイプ自体が入手困難となり、工事の目処が立たない状況に陥っている。
「漏水して送れなくなってしまったとなると、営業そのものができなくなってしまう」
西田店長の言葉には、単なるコスト増への嘆きではなく、「営業継続そのもの」への不安がにじむ。設備が機能しなければ、どれだけ常連客がいても扉を開けることができないのだ。




















































































































