霧島アートの森で開催中の「ナムジュン・パイク展」。世界で活躍したビデオアートの父、ナムジュン・パイクの作品には沢山のアーティスト達が登場し、人との繋がりによって生まれるアートを創造しました。県内アーティストとのコラボレーションを通してナムジュン・パイクの魅力に迫りました。
ビデオアートの父!ナムジュンパイクの魅力に迫る!
霧島アートの森で今、話題の展覧会が開催中です。いつもの美術館とは違い、壁にビデオモニターが多く並ぶ館内。様々な映像が普段は見慣れない形で置かれています。その作品群を手掛けたのがビデオアートの父、ナムジュン・パイクです。
【ナムジュン・パイク】
韓国で生まれ、日本で学び、世界中で活動をしたビデオアートの父、ナムジュン・パイク。東京大学で美術史を学んだパイクは在学中から現代音楽に興味を持ち、卒業後ドイツに渡り音楽を学び始めます。そこで、沈黙の音楽「4分33秒」などで知られる作曲家で詩人のジョン・ケージと知り合い、大きく影響を受けました。その後、ドイツで始まった多国籍の前衛芸術運動、「フルクサス」に参加し、多くのアーティストとのコラボレーションを重ねました。中でもドイツの重要な前衛芸術家ヨーゼフ・ボイスとは、生涯の友情を育み、彼の死後も共同制作の活動を続けると言いました。
【3人の音楽家】
<リハーサル風景>
10月後半、コラボレーションに向けてリハーサルを重ねる3人の音楽家が居ました。作曲家で鹿児島国際大学教授の久保禎さん、鹿児島出身演奏家の濱田貴志さんと木村紀子さんです。霧島アートの森では新たな取り組みとして、今は亡き偉大な作家と鹿児島のアーティストたちとの共演コラボレーションを試みています。3人のコンサートもその一環です。
<コンサート風景>
コンサートはパイク作品へのオマージュ、敬意を表す構成で組み立てられました。パイク作品と音楽のコラボレーションを試みたのです。エリック・サティの「3つのジムノペディ」で始まり、当初音楽を学び、映像やパフォーマンスへ転じたパイクの作家としての歴史を辿るように進んでいきます。そして、パイクを語る上で欠かせない現代音楽の巨匠、ジョン・ケージの「4分33秒」は、音を出さない音楽家と観客の間に漂う空気を感じる作品となりました。流れる時間を芸術と感じ、ビデオの中に閉じ込めようとしたパイク、そしてヨーゼフ・ボイスの死後も彼に関わる作品を多く残しました。学生時代からパイクに憧れ、多くの共同制作を行なった日本のアーティスト・坂本 龍一の作品も2曲演奏されました。坂本龍一はパイクに捧げる曲を複数制作しており、二人のつながりの強さが伺えます。東洋と西洋といった境界を越えることは二人の共通のテーマでもありました。
【城 南海】
アートの森を訪れたアーティストが他にもいました。奄美大島出身の歌手、城 南海。彼女は今回、奄美の島唄でパイク作品とコラボするために訪れました。パイクがソウルオリンピックに関連する作品の中で沖縄の島唄を世界へ紹介したからです。島唄を用いた作品「ケージの森」を前に奄美の島唄を歌う城 南海、そして今回のケージの森をアートの森に再現するにあたり、鹿児島で活躍するガーデンデザイナー・山崎展弘の協力が不可欠でした。
【ナムジュン・パイク展】
霧島アートの森での「ナムジュン・パイク展」は、いよいよ12/3(日)まで、この機会に偉大な作家と鹿児島の繋がりを是非感じてください!