来月29日から8月4日まで鹿児島で開催される、高校生の文化の祭典「かごしま総文」の合唱部門に、県代表として参加する高校生を取材しました。
全国高等学校総合文化祭
「2023かごしま総文」は、正式には「全国高等学校総合文化祭」というもので、1977年から各都道府県の持ち回りで開催されてきました。
今年が47回目で、鹿児島が一巡目を締めくくることになるんです。
去年は東京で開催されました。
合唱、百人一首、演劇、吹奏楽など、3468校1万7720人の高校生が参加しました。
今年の大会は、22部門で行われます。
合唱部門・鹿児島代表は合同チーム
その中から、鹿児島県代表として合唱部門に参加する高校生たちを取材しました。
先月21日。
鹿児島市の県立図書館には、総文祭本番に向けた練習のため、生徒たちが集まっていました。
合唱部門の鹿児島代表は、県内9つの高校からなる合同チームで参加するんです。
高校の枠をこえ、多くの生徒に発表の機会を与えたい。
そんな思いで、合同チームが組まれました。
また、こんな事情もありました。
この日、練習に参加した8校のうち5校が、部員10人以下なんです。
県合唱連盟によると、連盟に加盟する高校生の合唱人口は、新型コロナ前の2018年は194人でした。
しかし、今年はその半分以下と、減少傾向にあります。
武岡台高校3年の
部員は、矢野さんのみ。
このまま卒業すると、合唱部は廃部になってしまいます。
コンクールには出場できず、今回の総文祭が大人数で歌う、最後の舞台です。
高校で初めて部活動に入り、合唱の道を選んだ矢野さん。
入部した当初は先輩がいましたが、去年の夏以降、部員は矢野さんだけになってしまいました。
それでも、ひたむきに練習を続けてきました。
歌って希望を持ち続けていく
その合同チームが総文祭で披露するのは、「くちびるに歌を」という曲です。
この曲にはもともと、戦争で捕虜になった人が、現状に打ちひしがれることなく、歌を歌って希望を持ち続けていく、というメッセージが込められています。
新型コロナで、練習もままならなかった3年間でしたが、生徒たちも“いつか歌える日がくる”と、希望を持ち続けてきました。
チームの指導にあたるのは、鹿児島高校の
先生は、歌う機会のほかに、長いマスク生活で合唱に必要なものが失われていると話します。
それは、表情です。
たくさんの試練を与えた、新型コロナ。
しかし生徒たちは、今回の総文祭で歌うことの楽しさを多くの人に伝えたい、と意気込んでいます。
仲間と歌える喜び
そしてこの合同チームは、ほかの学校の合唱を愛する仲間たちと絆を深め、交流できるところも魅力のひとつです。
先日、県合唱連盟に加盟する、50の団体を集めた合唱祭が開かれました。
久しぶりに観客を入れての開催です。
こどもから大人まで、歌える喜びをかみしめながら、ステージに立ちました。
そこに、合同チームの姿も。
総文祭本番を2カ月後に控え、初めて一般の観客の前で歌います。
本番では100人を超えるチームとなりますが、学校の事情などで、この日集まったのは40人あまり。
合唱への思いを胸に、これまでの練習の成果を披露しました。
武岡台高校の矢野さんも、表情豊かに歌います。
総文祭本番では、同じ苦しみを味わった仲間たちと
気持ちをこめて歌を届けます。
合同チームの発表は、8月4日、鹿児島市の宝山ホールで行われます。
当日は、115人で歌う予定です。
どなたでも観覧可能ですので、お時間のある方は、ぜひ高校生たちの頑張りを見にいってくださいね★