大ヒット上映中の映画「テレビで会えない芸人」、物語の主人公・松元ヒロさんへのインタビューをお送りしました。
かつては、社会風刺コント集団「ザ・ニュースペーパー」の一員として、テレビの世界で活躍した松元ヒロさん。
今では活動の中心を舞台に移しています。
自分の芸風を貫こうと、テレビを離れた松元さんの姿を描いたのが、映画『テレビで会えない芸人』です。
なぜ、テレビを去ったのか。
(松元さん)
もともとテレビに出たくて芸人になった。
(松元さん)
最初は「news23」(TBSテレビ)など、いろんな番組が呼んでくれて、どんどん出るようになったら、「ちょっとそれは控えてください・・・」
(テレビ局の)だんだん重圧っていうか、忖度とかが見えてきて・・・。
(松元さん)
一番最初にやっていたステージに戻ろうって。
好きなことが言えるなと思って、テレビから距離をおくようになった。
”弱者の視点で権力を笑う“
普段は物腰のやわらかい松元さんですが、舞台に立つと一変して、強者を笑いのめす。
そして、会場はいつも満席。
観客を魅了する芸風には、ある人のあと押しがありました。
(松元さん)
立川談志がステージに上がってきて言ってくれた言葉が、
「昔の芸人はヒロ、お前みたいにな他の人が言えないことを代わりに言ったやつが芸人だったんだ」
(松元さん)
「お前を今日から芸人と呼ぶ」と言ってくれた。
(松元さん)
その時に「よし、そうだ」
そういう人たち(弱者)の声を代弁して、笑いにすることがホントの芸人なんだと思って、談志さんが言っている芸人になろうと思った。
『テレビで会えない芸人』が問いかけるもの
(松元さん)
空気を反映しているのがテレビ。
ホントはテレビに出ても言う。言わないといけないと思う。
(松元さん)
それをやらせてくれたのが、このドキュメンタリーの人たちだった。
自由にモノを言える世の中になれば、テレビが逆に(モノ言える)空気を作っていけばいいのにって思いで、このドキュメント(「テレビで会えない芸人」)を作ってくれたと思う。
それがうれしい。
制作には、これまで13本ものドキュメンタリー映画を手がけてきた東海テレビの阿武野勝彦さんが、プロデューサーとして仲間に入ってくれました。
”テレビ界の異才“と言われる阿武野さんに話を聞くと、今のテレビが抱える問題が見えてきました。
(阿武野さん)
この映画はとにかく、一番最初に笑ってほしい。
心の中に、余韻がずっと残り続ける映画だと思います。
(阿武野さん)
たくさんの人に見てもらうためには、映画化が有効な手段。
東京からの番組供給とかに期待し続けていると、テレビ局としては存在意義がなくなる気がする。
阿武野さんの手がける作品にタブーはありません。
自局の東海テレビ報道部にもカメラを向け、「マスゴミ」と揶揄されるテレビの在り方についても鋭く問いかけてきました。
そして、テレビを去った芸人・松元ヒロさんの姿には、「今のテレビ」が抱える問題が映し出されていると話します。
(阿武野さん)
テレビが表現空間としてもっと豊かなものであるべきだと思った時に、なぜ、松元ヒロという芸人がテレビから離れたのかを一つの課題として考えていくことは、すごく大事なことだと思う。
(阿武野さん)
今の時代っていうのは、空気を読んでモノを言わない。
(阿武野さん)
寛容な社会とは真逆な方向にいっている。
そういう意味では、ヒロさんのように空気を壊していくことによって初めて、豊かな社会が生まれてくると思う。
(阿武野さん)
テレビは空気を読んでモノを言わない方に加担していると言わざるを得ない。
(阿武野さん)
この映画を通じてテレビと地域、テレビと人を考えると同時に、鹿児島テレビ自身がどう変わっていくかも(問いかけるものに)含まれている。
「かごnew」でも、地域に目を向けて、地域の人と向き合って「空気を読んでモノを言う」番組を目指し作っていけたらと思っていますので、これからも宜しくお願いします。
映画「テレビで会えない芸人」は、鹿児島ミッテ10、ガーデンズシネマにて上映中です。