「日本一早い収穫」鹿児島産オリーブオイルが国産市場に挑む…120年越しの悲願と生産者の思い
2026年10月9日(金) 12:50
オリーブと鹿児島、120年前の因縁

当時、政府がオリーブの栽培試験地に指定した3県
そもそも、なぜ鹿児島でオリーブの栽培が始まったのか。その歴史は今から約120年前、日露戦争後の明治40年に遡る。
日本は北方の海域に広大な漁場を手にし、多くの魚を獲ることが可能になった。その魚を保存する手段として、当時の政府が目をつけたのが「オリーブオイル漬けの缶詰」という保存方法だった。政府は気象条件や魚の水揚げ量などを考慮し、香川・三重・鹿児島の三県をオリーブの栽培試験地に指定した。
しかし実際に栽培が成功したのは、香川県の小豆島だけだった。収穫前に台風や長雨の影響を受けやすい鹿児島では、オリーブの栽培は難しかったのだ。
2013年、日置市が再び挑んだ理由

オリーブの実を収穫する 水流一水さん
120年の時を経て、オリーブが鹿児島で再び脚光を浴びるのは2013年のことだ。大手企業の工場撤退などで働き手の減少に頭を抱えた日置市は、鹿児島銀行と協定を結び、県内に競合農家のいない新たな産業を生み出そうとオリーブの生産を始めた。
日照時間や温暖な気候という条件は鹿児島もクリアしている。問題はやはり台風と長雨だ。水流さんの試行錯誤は今も続く。
「鹿児島は水が豊富な分、雨も多く、春の長雨の時期に受粉で実を作るための準備の花粉が全部飛んでしまう。なので、それに対してもう少し花を早く咲かせる栽培手法を取り入れたり、私たちが独自でここで育てるなら『こうするべき』というのを作っていかないといけない。パイオニアにならないといけないということが分かってきたので、そこの難しさはある」
こうした取り組みの結果、国内シェア8割以上を占める香川県より1カ月早い9月中旬に収穫が始まる。「日本一早い収穫」を誇るゆえんだ。
雨が多いから「甘い」 鹿児島ならではの味の秘密

搾油されたオリーブオイル
逆説的なことに、鹿児島の気候がオリーブに独特の風味をもたらしていることも分かってきた。
「雨が多い鹿児島ではオリーブに入っている辛みやえぐみ成分が流れて、甘い香りだけが残りやすいという特徴も分かってきた」と水流さんは話す。
9月に開かれた収穫祭では、できたばかりの県産オリーブオイルが地域の人々に振る舞われた。参加者からは「オイルではなく果物を飲んでいるような感じ」という声が上がり、「これからも頑張って飲もうと思う」と続けた。
水流さんは「鹿児島ならではの味を多くの方に知ってもらいたい」と語る。挑戦と失敗を繰り返しながら育まれてきた県産オリーブ。鹿児島の風土が生み出す唯一無二のオリーブオイルは、日置と世界をつなぐ架け橋となりつつある。
















































































































