全国的な人手不足が叫ばれる中、県内でも有効求人倍率は過去最高となり全業種で「人手不足」の状況が続いています。人手不足を解決するためにはどうすればいいのでしょうか?県内企業の取り組みを取材すると共に、企業と労働者の関わりを再考しました。
深刻化する人手不足!県内企業の取り組みとは?
【過去最大の求人倍率】
今年8月に行われたUIターンには127もの企業が、人材確保の為に参加していました。鹿児島県内の有効求人倍率は平成29年現在で過去最高の1.23倍、就職氷河期と言われた平成24年のほぼ2倍ほどの倍率まで跳ね上がっています。
【人材の流出】
今まで労働者の半数近くは、より待遇のいい県外に出ていくという流れがずっと続いてきました。少子高齢化による県内の労働者の減少が著しく、県外に出ていく人を少しでも県内にとどめなくてはなりません。また現在仕事を探す人の約3割が在職中という結果が出ています。全体の求職者数が減っているなかで在職求職者は増えているという状況です。県内の企業に大企業並みの賃金を確保するのは不可能です。どうやって従業員の満足度を上げて離職をふせぐかが県内企業の課題になっています。
【鹿児島製茶の取り組み】
「鹿児島製茶」は女性にどんどん活躍してもらうため、女性の働きやすい職場づくりに取り組んでいます。結婚・出産による離職者が多かったため、約10年前から産休・育休制度の整備を開始しました。その結果、「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣が認める「プラチナくるみん企業」に県内で唯一認定をうけました。女性の応募者の半分ほどは「プラチナくるみん」というのを見て求職されているそうです。また事務職を制服を店頭スタッフと同じものにする事で急な休みも対応できるような工夫をして組織全体で育休を取りやすい環境をつくっています。
【現場サポートの取り組み】
鹿児島市のIT企業「現場サポート」は、会社設立当初は多くの従業員が仕事ができないという理由で辞めていき、設立3期目の離職率は27%でした。これではいけないと、新入社員の研修を見直し、社長・部長による定期的な面談を導入しました。また経営方針や企業倫理など、会社のあり方に関する勉強会を実施し、互いに意見を交換する場を積極的に設けました。できない人が辞めたからといって業績は上がらない、一緒に働く仲間を絶対にやめさせない、という考えのもと徹底的に社員をサポートする体制を敷いたのです。そのおかげで去年の離職率は0%になったそうです。
このように人手不足により企業側の意識は大きく変化し、良い社内風土を育てていくために努力する企業が増えていっています。人手不足により企業がよ良く変わるチャンスになっているのではないでしょうか。