鹿児島の伝統的工芸品「本場大島紬」。年々生産量は減少し、大島紬に携わる人たちも激減している。この現状をなんとかしようと立ち上がった職人たち。来年の大河ドラマの主人公「西郷隆盛」にちなんだ新しい柄を作るプロジェクトが始まった。大島紬業界の再生をかけて挑戦する人々の姿を追いました。
大島紬「西郷柄」に新しい風を
【大島紬秀円 工房】
訪ねたのは鹿児島市下福元町にある大島紬の工房。出迎えてくれたのは大島紬の伝統工芸士・重田茂和さん57歳。重田さんは現代でも取り入れやすい、ストールやバッグ・ポーチなど大島紬の小物作りにも力を入れています。
【新しい柄作りに挑戦】
西郷さんにちなんだ柄作りを始めました。
来年は明治維新から150年。大河ドラマ「西郷どん」も始まります。ここ1、2年が鹿児島が盛り上がって注目される時!このタイミングを逃すまいと、以前から考えていた新しい柄作りを本格的に取り組む事にしました。
大島紬の業界を盛り上げたい!後継者育成につながれば…。そんな重田さんの呼びかけに答えたのは伝統工芸士の有志たち。そして西郷隆盛のひ孫、西郷隆夫さんがプロデユーサーを務めてくれる事になりました。
【西郷柄】
大島紬の柄の一つ「西郷柄」約30種類あります。西郷さんの事を慕う奄美大島の赤尾木・竜郷などの地域で「西郷柄」と呼ばれる柄が作られるようになったそうです。
平成の時代に作られる新しい西郷柄は「西郷星」という柄を作ることになり、プロデユーサーの西郷隆夫さんが「平成西郷星」と名付けました。
【西郷星】
そもそも「西郷星」って何?
明治10年、西郷さんが亡くなった年に発行された「西郷星出現」という錦絵。「たまたま明治10年、火星が地球に大接近した年。何だろうと不思議に思っているところに、よく見ると千里鏡にて望んで見れば、西郷隆盛の姿見ゆるとの説。みんなが西郷さんだー、西郷さんが現れたって大騒ぎしたんです。」
【図案作りの職人】
最初の行程を担う図案作りの職人を訪ねました。丸野勝寛さん75歳。昔は手書きでしたが、今はパソコンを使用しています。ちなみにソフトは、丸野さんの発案で生まれた物なんだそうです。
大島紬を作るにあたって設計図とデザインの両方を兼ね備えたものが図案。これを元に制作していくため、1番要の作業とも言われています。
今回の「西郷星プロジェクト」のような希望に満ちた話をみんなが持つ事によって、明るくなって活気づけばと…
前の西郷柄は大正時代に作られた西郷柄。今度は平成時代。こんな平和な時代に作られた西郷星を150年後の未来の人に残したい…と言う事でした。