電気、ガス、水道を契約せずに、独自の技術で生活する男性が南さつま市金峰町にいる。彼の名は小崎裕太。テンダーと呼ばれている。これまで環境に負担を与えない暮らしを送ってきたテンダーが、地元の廃校を活用して、地域起こしに乗り出した。テンダーの取り組みを追いました。
廃校を使った”貸し工房”で目指すものとは
【小崎裕太さん、34歳。】
出身は横浜。都会育ちのテンダーが南さつま市金峰町の長谷集落に移り住んで4年が経ちました。水は山から引くので、水道は契約していません。調理などには薪を使うので、ガスも不要。コンロも手作りです。電源は主に太陽光です。初期投資10万円で作り上げた発電設備で、家中の電気をまかなっています。
この日はドラム缶を使ったトイレ作りです。ドラム缶の中には、おが屑を入れます。これが糞尿と混ざり合い発酵すると、畑づくりには欠かせない堆肥となるのです。溜めておくだけでもいいのですが、そこに一工夫。回転させることで、より早く堆肥を作る仕組みを考えました。
また、中古のディーゼル車を15万円で購入しました。ディーゼル車を改良し、知り合いから譲ってもらった天ぷら油をろ過して入れると動きます。
【新たな事業の展開】
南さつま市金峰町の廃校になった小学校を借りて、『貸し工房』を始めることになりました。道具類を用意し、日々の暮らしに必要なものを、自分たちの手で作る場所です。工房は『ダイナミックラボ』と名付けられ、5月1日のオープンを目指しています。
また、テンダーがこれまでの暮らしで培ってきた、生き抜くための技術。火起こしや、動物の解体を始め、手作りの太陽光発電システムなども、ダイナミックラボで学ぶことができます。事業を始めるにあたり、全国から寄付金だけでなく、何かに役立てて欲しいと様々な工具や物が集まりました。
【代表理事に就任】
運営にあたり、去年11月に一般社団法人『その辺のもので生きる』の代表理事に就任しました。テンダーさんに賛同した仲間と共に、自分たちの手で廃校を魅力的な施設にしようと、日々奮闘しています。ダイナミックラボを金峰町の新名所にすることで、移住者が増えていけば、長男・太陽君や長女・凜ちゃんに同世代の友達がたくさんできるのではと期待しています。
限りある資源の中で、環境とどう向き合うべきなのか。一人一人が技術と知恵を持つことが、問題解決の糸口になるのと、テンダーさんは考えています。
ダイナミックラボの場所は、金峰町の旧大坂小学校です。鹿児島中央駅からも車で30~40分ほどで行くことができます。一度足を運んでみてはいかがでしょうか。オープンは5月1日予定です。
一般社団法人『その辺のもので生きる』ホームページ https://sonohen.life/