かわいい動物たちに、きれいなお星さま…
子供のころに夢みた絵本の世界。
誰にでも思い出の1冊がきっとあるはず。
誰もが知ってるあの絵本の秘密に、
鹿児島の作家たちの思い・・・
大人の心に効く「絵本セラピー」って?
子供の頃に遊んだ世界をもう一度のぞいてみませんか?
◆エリック・カール展
カラフルな色、かわいらしい目、そう!はらぺこあおむし。熊本市現代美術館にはアメリカの絵本作家、エリックカールの原画が集まっています。実ははらぺこあおむしは絵の具で描かれた絵ではなく、絵の形に合わせて紙を切り、貼り付けていくコラージュという手法を使って描かれています。エリックカールはコラージュで生まれる独特の形が子供たちの絵に近いと感じてこの手法を使ったそうです。はらぺこあおむしといえば、あおむしが穴を通っていくというしかけ。エリックさんは文房具の穴開けパンチを見たときに虫が食べていくお話を思いついたそうなんですが、当時のアメリカの出版社では手が込みすぎていると取り合ってもらえませんでした。そこで手を上げたのが当時たまたまエリックとつながりのあった日本の出版社。エリックの絵本へのこだわりを形にしました。あそべる絵本、読めるおもちゃ。エリックカールの世界観は、わたしたちをいつでも子供のころに戻してくれます。
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◆エリック・カール展
熊本市現代美術館 井手宣通記念ギャラリー 3月5日(月)まで
◆鹿児島の絵本作家 さめしまことえさんを訪ねて
燦燦舎(さんさんしゃ)のさめしまことえさんは鹿児島をテーマにした絵本を作っています。さめしまさんが去年12月に発表したのが「西郷どん!まるごと絵本」。
「西郷どん!まるごと絵本」
ある日、西郷さんのことをよく知らない鹿児島の小学生隆くんは、甲突川のそばの石碑を通ります。石ころを蹴飛ばすと、渦巻きにまきこまれ、タイムスリップ!!そこにいたのは西郷さん。「たかしどん、おまんさあが生まれた時代は、いけんな世の中か?戦もあっとか?」「いまはありません」「そうか、それがなによりじゃ」再び現代にもどった隆くんの手には西郷さんの大好物、かるかんがありました。
この絵本ができて、鹿児島弁が入っていて鹿児島の子供達が読める本ができたと、非常に喜んでもらえたそうです。さめしまさんには決まった制作場所はありません。家族の顔が見える場所で絵本は生まれます。
「絵本ってアート作品としてすごく質の高い物。読んでいる人に温かい気持ちに、幸せになってほしいという思いがこもっているので、お子さんがいないかたでも受け止めることができると思う。」
絵本は、一番身近にあるアート作品。ページを開けばそこにはいつでも作家の描く世界が広がっています。
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◆燦燦舎 099-248-7496
◆モイラと雲ちゃん 火山のアシュリーをたすけなきゃ
今、まさに生まれようとしている絵本があります。「モイラと雲ちゃん 火山のアシュリーをたすけなきゃ」。作っているのは、鹿児島でALTの先生をしているアリスターターリーさんです。ニュージーランドで日本語教師をしていたときに日本を訪れたアリスターさん。暖かい人たち、そして妻の美紀さんとの出会いもあり鹿児島に住むことにしました。その後日本で教師をするうちに、子供達にもっと英語を楽しんでほしいと思うように。そのときに思いついたのが、絵本でした。
「モイラと雲ちゃん 火山のアシュリーをたすけなきゃ」
鹿児島のいろんな場所を雲ちゃんに乗って旅するモイラ。すると、火山のアシュリーがくしゃみをして、噴火!火山灰をどうにかしなきゃ!そのとき二人はあることを思いつきます。
この本は日本語の絵本ですが、後ろから見ると英語のページが登場します。まず日本語で読んでもらい、その後英語で頑張って読んで英語で読んだ満足感を味わってほしいという、英語教師のアリスターさんならではの仕掛けです。外国からの旅行者もこの本を持って帰って自分の国に鹿児島のことを紹介してほしいですね。
◆絵本セラピー
子供のころに読んでもらった絵本。でも、実は大人の心にこそ効くって知ってました?絵本の力を借りて自分の心の中身や人と違いを確認して、気づきと癒やしを得ていくのが絵本セラピーです。今回はクラブ員の尾花さん、織田さん、美川アナウンサーが体験しました。今回のテーマは「ことばのちから」。絵本セラピストの榊田さんが選んだ5冊の絵本を読み、思ったことを発表します。
「りんごがたべたいねずみくん」 なかえよしを作 上野紀子絵 ポプラ社
りんごを食べたいねずみくん。でもりんごは手の届かないところにあります。他の動物たちは自分の特技を生かしてりんごを手に入れます。そんなねずみくんのもとにあしかくんがやってきて助けようとしてくれます。
今の絵本を読んで何か感じたことがあったら紙に書いてみてください、と先生から提案が。実はこの絵本セラピー、絵本を読んだ後に質問が出されます。もちろん決まった答えは無く、自由に考えます。
「あしかくんがねずみ君を手伝うことによって、得意なことを併せることでできることもあるんだなと思いました。」
「みんなそれぞれ優れている物を持っていると思いました。でも自分自身ではなかなか気づけないので・・・もっと自分のいいところを自分自身で気づけたら良いなと思いました。」
「あしかくんにも共感しました。何もできない自分でもできることがあるんじゃないかという気持ちで寄り添うことが大事だなと思いました。」
同じ一冊なのに受け取り方がこんなに違いました。絵本を自分なりに解釈するのはさまざまな経験をした大人ならではの楽しみ方なのかも。
「ことばのかたち」 おーなり由子 講談社
『もしも、話す言葉が目に見えたら、どんな形をしているだろう
例えば美しい言葉は花の形
小さくてかわいいはなはどんな言葉?
例えばだれかを傷つける言葉が針の形をしているとすれば、どうだろう?』
およそ1時間で絵本セラピーは終了です。
美川アナウンサー「普段から仕事で言葉を使っているので、自分の発する言葉に責任を持って、大事にしていかなきゃと思いました。」
織田さん「最近SNSとかでいろんなことを言う人がいるけど、言葉を大事にしていかなきゃなと思いました。」
尾花「ただただ心地よくて言葉にならないと思ってて・・・絵本セラピーの良さが分かりました。視界が開けた感じです。」
セラピーの時間は心を癒してくれたようです。シンプルだからこそ、内面を映し出し、ストレートに訴えかけてくれる。まるで、心を癒してくれる処方箋みたいですね。