明治維新から150年の今年、大河ドラマ「西郷どん」が放映されるなど、鹿児島がアツい!そんな中「大島紬」の新しい柄が誕生した。テーマは薩摩の偉人「西郷隆盛」。生産量が減少し後継者不足が深刻化している今、大島紬の未来を見据え、新しいモノ作りに奮闘する職人達の姿を追いました。
新しい大島紬平成西郷星~奮闘する職人たちに密着!
【平成西郷星】
皆去年2月から始まった大島紬の新しい柄を作るプロジェクト。西郷隆盛をテーマに作られた新しい大島紬、その名も「平成西郷星」を作る為に集まったのは、伝統工芸士の有志達です。リーダーの重田さんは、明治維新150年や大河ドラマの放送により、鹿児島に注目が集まることに期待を寄せています。
【図案】
6月。図案が完成しました。新しい柄の名前は「平成西郷星」です。モチーフとなったのは、西郷隆盛が死んだ1877年、地球に大接近した火星です。当時火星の存在を知らない人々は、大きな星をみて「あの星は西郷星」と口々に言ったそうです。この「西郷星」への思いがデザインとなり、図案にはキラキラ輝く星が描かれました。
【泥染め】
図案が出来た後は絣締(かすりじめ)、木綿の糸で絹糸を強く締めて、色が染まる部分と染まらない部分を分けていく作業です。これが終わるといよいよ奄美での染めの作業です。大島紬の代表的な染め方『泥染め』はトータルでだいたい70~80回も染めを繰り返す必要があります。
【加工】
プロジェクトリーダーの重田さんの担当は、横糸の「加工」です。色が染まらないように織り込んでいた木綿の糸をほどいて、絹糸を取り出します。次に縦糸の加工が行われました。織りを前に絹糸を細かくほどいていきます。職人歴34年の碇元克彦さんは、最近大島紬の衰退を肌で感じるといいます。大島紬の全盛期は1970年代。高価な反物が飛ぶように売れていく時代でした。しかし次第に着物離れが進み、需要は減少。現在の生産量はピーク時の約30分の1まで落ち込みました。大島紬に携わる人々の高齢化も問題視されています。
【織り】
9月中旬、バトンは「織り」の職人、東 登百江さんへ。ここでピンチが。織り始めてすぐ、東さんの手が止まりました。西郷星は通常よりも複雑で新しい柄なので、織り方が分からないそうです。しかし織り始めは3時間で3cmでしたが、熟練の東さんは1月後には3時間で25cmも織れるようになっていました。
【平成西郷星・完成】
11月下旬、熊本で開催された大島紬の展示会を訪ねました。そこに飾られていたのは、あの平成西郷星です。西郷星はお客さんに大好評でした。今まで続いた伝統工芸を守るには、元となるものからはかけ離れるかもしれないけれど新しいカテゴリーを作っていくことが重要だと、重田さんは語ります。大島紬を取り巻く環境は厳しいですが、前を向いて一歩踏み出すあきらめない気持ち、挑戦することの大切さを平成西郷星が教えてくれました。
平成西郷星は城山観光ホテルで3月中旬から販売予定です。お値段だけ見ると高価だと思うかもしれませんが、てまひまかかっていて本物が詰まっている逸品です。
平成西郷星 150万円(税別) 西郷星レジェンド(ネクタイ) 4万円(税別)
販売先:城山観光ホテル
問い合わせ:重田茂和さん TEL 090-4771-1518