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2月21日(火)鹿児島に春を告げる伝統工芸品を守る女性たち

鹿児島の春を彩る鹿児島神宮の初午祭。その祭りを支える女性がいた。“ポンパチ”と呼ばれる初鼓を一心不乱に作るその女性。亡き父から受け継いだものだった。また、鹿児島独特の雛人形“薩摩糸びな”には母への思いがあった。鹿児島の春に欠かせない伝統工芸品。製作する女性たちの姿から工芸品に受け継がれる思いに迫りました。

春を告げる伝統工芸品を守る女性たち

【花見ユリ子さん】
70歳の彼女は鹿児島神宮の伝統行事「初午祭」で使う “初鼓(ポンパチ)”を作っています。ユリ子さんが生まれた宮路家は、代々鹿児島神宮の信仰玩具を製作しています。父親の武二さんが玩具を作る姿を生まれたときから見ていたユリ子さん。小学生になると玩具作りを手伝うようになり、いつしか工房を継ぐ決心をしていました。
武二さんが亡くなったのは22年前。以来、父から受け継いで20年になります。今、ユリ子さんは工房みやじの4代目です。
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鹿児島神宮の初午祭で売られる初鼓。豆が太鼓を打つ音からポンパチとよばれます。ポンパチ作りは、毎年9月頃から始まります。竹で輪を作り、和紙を張って乾燥させ、朱や黄色、緑などの色を使って絵を描き、最後に糸で豆をつけるとポンパチの完成です。
ポンパチに描かれる絵には意味があります。表に描かれるのは鹿児島神宮の赤い鳥居。裏には初午祭の御神馬の馬や猿の絵などです。
小さい頃、寒い日には火鉢で手を温めながら父と一緒に、豆を付けていました。決して父への思いは、消えることはありません。
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鹿児島神宮には、その父の歩みがしっかりと刻まれていました。本殿にある特大の鯛車。神宮のご祭神に由来しています。1本の木から作られたこの鯛車は1970年、大阪万博で披露するために作られたものです。以来40年以上。参拝した人々に触られ、親しまれ、色が薄くなったその鯛車はユリ子さんの誇りです。
父親の姿にあこがれて、今があるユリ子さん。そのユリ子さんの姿を、今度は子どもたちが
追いかけています。
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【新山禮子さん】
麻と和紙で出来た素朴な雛人形。鹿児島県指定の伝統的工芸品「薩摩糸びな」の全国でただ一人の作家「新山禮子」さん74歳です。この日は、伝統の薩摩糸びなを伝えていくための講座を開いていました。この薩摩糸びなは、竹と麻で作られた顔に十二単衣に見立てた色紙を重ねた襟、
金襴の着物、そして和紙に書かれた垂れ絵で作られる立ち雛です。
材料に使われる麻が強くて丈夫なことから、子どもの健康な成長を願い、薩摩では女の子の初節句のお祝いに贈られていました。
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しかし、戦後になり急速にこの伝統は失われていきました。新山さんがその伝統の糸びなにこだわるのにはわけがありました。それは 母の存在でした。戦時中の日本、モノが無い時代、母の寿美子さんは寂しい思いをたくさんしました。そして戦後になり、東京で人形師となった母の寿美子さん。薩摩糸びなの復元に取り組みました。母が復元した薩摩糸びなの伝統は、やがて新山さんに受け継がれていくことになったのです。
丁寧に教えてくれない母に反発したこともありました。でも、母の姿をずっとみて決心しました。 “母の薩摩糸びなを、いつまでも鹿児島で受け継がれるものにしたい”
新山さんは気持ちを受け継ぎ、母の作り方をそのまま守っています。今、新山さんが作る薩摩糸びなは、鹿児島独自の雛人形として様々なところでお披露目されています。
伝えるべき、守るべき伝統。そこには親から子へ受け継がれた思いがありました。
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<仙巌園 薩摩糸びな手づくり教室>
日 時: 3月2日(木)午後1時~
参加料: 2000円(入場料別)
予 約: 099-247-1511(仙巌園)

<2017年「薩摩のひなまつり」>
日 時: 4月20日(木)まで開催中
場 所: 仙巌園・尚古集成館