先日、鹿児島市では「はたちの集い」が開催されました。
娘の節目の日に、「あるもの」を贈ろうと大胆なチャレンジをした女性がいます。
愛情がこもった世界に一つだけのプレゼントとは?
今月8日、鹿児島市で行われた「はたちの集い」。
会場を彩る晴れ着姿のみなさんの中に、 人一倍注目されている女性がいました。
着ているのは、鹿児島の伝統的工芸品、 「大島紬」の振り袖です。
実はこの振り袖、職人が作ったものではないんです。
時をさかのぼること約9カ月。
鹿児島市にある大島紬の工房には、初奈さんの母、聡子さんの姿がありました。
「はたち」を迎える娘のために、大島紬の振り袖を一から織っています。
驚くことに、時任さんは全くの素人。
40代にして大きなチャレンジです。
そんな時任さんの背中を押した人がいます。
大瀬商店3代目の
世界三大織物の一つと言われている「大島紬」は、職人の高度な技で手間暇かけて作られる絹織物です。
しかし近年、職人の後継者不足が深刻な課題となっています。
少しでも大島紬の仕事に興味を持ってもらいたいと、大瀬商店が新しく始めたのが、素人を対象にした「機織り教室」です。
時任さんは、この教室の1期生となりました。
今回の振り袖作りのポイントとなるのは、「糸」です。
少し節が入っています。
この糸をバランスよく織り込み、初奈さんが希望している「シンプル」というテイストを残しつつ、少し変化を出していきます。
色合いが単調にならないよう、使う糸は6種類に。
入れる糸の順番を間違えないこと、さらに、ポイントとなる「節がある糸」をバランスよく入れていくことが大事です。
週に6日通い、多いときで1日5時間織るという時任さん。
糸が切れたり、布が破けたりしたら大変。
糸の張り具合や、機を締めるときの力加減にも注意しながら、根気強く織り進めていきます。
実は時任さん、振り袖作りを前に機織りの練習に励んでいたときに、糸の張り加減が強すぎて、破けてしまうという体験をしていました。
そうなると、1本づつ糸をほどいて織り直さなければなりません。
同じ失敗をしないよう、細い糸とひたすら向き合う日々です。
こんな苦労をしてまで一から織り上げるのには、母としての特別な思いがありました。
ふるさとの工芸品で、娘の希望に合わせたオリジナルの振り袖をプレゼントしたい。
その一心で、チャレンジし続けます。
織り始めてから2カ月。
目標の25メートルに達したか、職人さんに確認してもらいます。
織り上がった大島紬は、幅が足りているか、色にムラがないかなど、厳正な検査を受けます。
検査項目は20。
時任さんは、その全てをクリアしました。
そして時任さん、反物を振り袖に仕立てるのも自分で行います。
鹿児島市にある和裁教室に通いはじめて3年ですが、振り袖の仕立ては初めての経験です。
この日は、袖を縫い付ける重要な作業の日です。
完成まであと少し!!
ところが、針を入れる向きが逆だったため、間違った状態で縫い進めてしまったようです。
糸を丁寧にほどき、また一から縫い直し。
失敗しても、やり直しでも、時任さんは諦めません。
そして、ついに、、、。
世界にひとつ。
オリジナルの振り袖が、約8カ月かけて完成です。
無事に初奈さんの袖を通りました。
一から織った大島紬の振り袖。
母の愛がたくさん紡がれています。
(初奈さん)
母がこの振袖を作ったみたいに、挑戦する気持ちをもって頑張っていきたい。
その先にはきっと希望にあふれた未来が✨
二十歳の門出を迎えた娘に母が紡いだプレゼントは、人生に大切なことを教えてくれました。
【大瀬商店 機織り教室 (鹿児島市荒田)】
料 金 2万円~(材料費込み)
日 程 要相談
問い合せ 099-254-3275
【本場大島紬レンタル振袖無料試着会】
会 場 マルヤガーデンズ7階 特設会場
※ 25点展示
日 時 今月20日(金)から22日(日)
午前10時~午後8時
※最終日は午後5時
問い合せ PONGEE 099-299-1800