番組表
ON AIR
かごnew
月~金曜日 ひる1時50分スタート

6月7日(火)超低出生体重児のママたち、母子手帳作成への活動記

「リトルベビーハンドブックを鹿児島に」

小さく生まれた赤ちゃんの成長を記録する手帳を鹿児島にも作ろうと、活動するママたちを取材しました。

リトルベビーについて

リトルベビーは、早産などで小さく生まれた赤ちゃんのことです。

体重2500グラム未満で生まれた赤ちゃんは「低出生体重児」。
1500グラム未満は「極低出生体重児」。
1000グラム未満は「超低出生体重児」とされています。

統計では、2020年、鹿児島県内で生まれた赤ちゃんは、1万1638人でした。
そのうち、体重2500グラム未満の赤ちゃんが、全体の10%にあたる1208人。
1500グラム未満の赤ちゃんは、全体の0.9%で116人。
1000グラム未満での誕生は、0.3%で42人でした。

今回お話を伺ったのは、山元理英さん。
雫ちゃんと、暦ちゃんという2人のお子さんを持つお母さんです。

妹の暦ちゃんは明るく表情豊か。
おどけた表情で、みんなを和ませてくれます。
 

2019年4月に暦ちゃんは誕生しました。
生まれたときの体重はわずか520グラムで、超低出生体重児でした。

(山元さん)
すぐ保育器みたいなので連れていかれたので。
産んでよかったのかなって。
でもやっぱり、暦の生きる力の強さがすごく感じられて。

命の危険と手術を何度も乗り越え、 日に日に成長していく暦ちゃん。
誕生から10カ月後にようやく退院の日を迎え、待ちに待った家族4人の生活が始まりました。

しかし、不安の中での子育て。

(山元さん)
​病院の中だと、すぐに先生がかけつけてくれるので。

さらに山元さんを苦しめたのが、母子健康手帳でした。
母子健康手帳は、妊娠・出産・産後の赤ちゃんの発育を記録できるようになっています。

しかし、身長は40センチ体重は1キログラムからしか記入できません。

 

​(山元さん)
成長曲線のところですごくへこんでしまって…。
書きたくなくなってしまう。
見たくなくなってしまう。
すごく辛かったです。

 

リトルベビーハンドブックとの出会い

ある日、山元さんはインターネットで、小さく産まれた赤ちゃんの成長を記録できる手帳「リトルベビーハンドブック」を見つけました。
 

(山元さん)
鹿児島にもあるものだと思い込んでしまって。
市役所に問い合わせたんですけど。

 

そんなとき、病院で出会ったのが、高野裕子さんでした。
高野さんも476グラムの男の子を出産していて、山元さんと同じような不安と悩みを抱えていました。

それから、山元さんと高野さんは「リトルベビーハンドブック」鹿児島版の作成を目指し、まず一緒にリトルベビーサークル「ゆるり」を立ち上げました。

(山元さん)
「自分のせいで」と思っているお母さん達っていると思うので、そんなお母さんの希望になれたらと思っています。

コロナの影響で、オンラインのやりとりばかりでしたが、顔を合わせての交流会も開くことができました。

(高野さん)
476グラムで生まれて。
23週で生まれると、歩けるかどうかも、話せるかどうかも分かりませんと言われて。

(暦ちゃんのお父さん)
喜びよりも罪悪感というか、なんていうか、背徳感というか・・。
でも、この子のためにも、ポジティブな気持ちを持とうと。


 

(山本鈴乃さん)
最初はどうしようかと思った時もあったけど、もう泣くのも悲しむのもやめようと。​

我が子への思いを、みんなで共感しあう時間でした。
 

そして「リトルベビーハンドブック」 鹿児島県版作成へ

「リトルベビーハンドブック」の発祥は、静岡です。
静岡大学のNICUで過ごした赤ちゃんのお母さん達が、2011年に作成しました。
 

​​その手帳をグループ以外でも広く使いたいと、2018年、静岡県が「リトルベビーハンドブック」を作成し、配布しました。
 

赤ちゃんの成長を記録するページを見てみると、体重はゼログラムから目盛りがあり、発達についても、それぞれの子どもに応じて記録できるようになっています。

そして山元さんと高野さんの2人は県庁を訪れ、塩田知事に直接「リトルベビーハンドブック」 鹿児島県版作成への思いを伝えました。

そして、高野さんが知事に手渡したのは、マヨネーズでした。

(高野さん)
息子が476グラムで生まれたんですけど、これがパッケージまでいれるとちょうど476グラムぴったりで。




 

成長していく我が子に、思うことはみな同じ。

(山元さん)
とにかく元気に、毎日笑顔でいて欲しい
 

お母さんたちの思いが届き、県議会で「リトルベビーハンドブック」鹿児島県版の作成が正式に決定しました。
 

5月には、県内3つの病院から、出産やNICUでの治療に携わる医師や看護師、助産師などが集まり、「リトルベビーハンドブック」作成のための第1回目の意見交換会が開かれました。
リトルベビーサークル“ゆるり”代表の高野さんも出席しました。
 

(高野さん)
とてもみなさん温かくて、私が想像してた以上に考えていただいて、感激しました。

「大丈夫だよ、みんな一緒だよ」

っていう気持ちが伝わるものになればいいなと思います。