ハザードマップを確認しよう
鹿児島大学の井村隆介准教授とともに、防災に関するさまざまな知識を深める「井村隆介の防災をマナブ」です。
災害が起きる前に確認しておきたいのがハザードマップです。
井村准教授と実際にハザードマップを見ながら、街を歩いてみました。
(2020年4月9日 放送)
今回のテーマは「ハザードマップ」
●鹿児島大学・井村隆介准教授
今回は、自分の身の回りにある危険をハザードマップを使って学んでみたいと思います。
各市町村が大雨・地震・火山などの危険性や、避難所などの防災施設を地図に書き込んだ
ハザードマップ
私たちの命を守るために必要な情報がまとめられています。
鹿児島市の場合、2018年に全世帯にハザードマップが配られ、担当の危機管理課で冊子を受け取ることができます。
川の近くの「ハザードマップ」
まずは1993年の8・6豪雨で氾濫した甲突川にやってきました。
ハザードマップには洪水の危険性を示す黄色や水色が塗られています。
●鹿児島大学・井村隆介准教授
甲突川が100年に1回の洪水を起こすと、この薄い水色は0.5~3mくらいの水に浸かることが想定されています。
●鹿児島大学・井村隆介准教授
50センチですから、歩けると思われているかもしれませんけど、流れがあると本当に危ないですし、水が汚れてますので、地面は何も見えないです。
●鹿児島大学・井村隆介准教授
大げさだと思われる方が多いと思いますけど、100年に1回の雨は、最近では決して大げさではない状態になっています。
●鹿児島大学・井村隆介准教授
水が来るエリアだとちゃんと知って、水が来る前に逃げないといけないと思います。
川から離れた場所にも危険が…
次に鹿児島大学前の道路にやってきました。
ハザードマップを見ると、大雨で深く浸水する危険性を示す水色が一部分だけに塗られています。
●鹿児島大学・井村隆介准教授
ここだけいきなり水色が出てくるわけですよね。歩道の方を見て頂くと、コンクリートが手前に向かって厚くなっている。
●気象予報士・渡司陵太
確かに、高さがでてきていますね。
●鹿児島大学・井村隆介准教授
先の方に目をやっていくと、電信柱のあたりは、私たちの身長を超えるくらいコンクリートの部分が高くなっています。
●気象予報士・渡司陵太
同じ場所でも微妙な高低差があって、浸水の深さが変わってくるということですね。
では、なぜ一部分だけ低くなっているのでしょうか?
●鹿児島大学・井村隆介准教授
ここは、田上川が流れていた昔の川の跡なんです。
●気象予報士・渡司陵太
川から離れていても、自分がいる所、通る所がどれくらい危険性があるのか、ちゃんと見ておかないといけないんですね。
●鹿児島大学・井村隆介准教授
ハザードマップにはきちんと、この低まり(低い部分)のリスクが表現されているわけですから、それを普段からきちんと理解しておかないといけません。
●鹿児島大学・井村隆介准教授
「川から離れているから大丈夫」だと思わない方がいいということになります。
色が塗られていない地域でも危険が…
次に鹿児島市の唐湊地区を訪ねました。
洪水の危険性がある新川が流れており、川の近くの斜面は急傾斜となっています。
ハザードマップを見ると…
●鹿児島大学・井村隆介准教授
前は新川の洪水エリア(黄色・水色)になっていて、後ろの方はピンク色・土砂災害が起こるエリアと考えられています。
●鹿児島大学・井村隆介准教授
川があるので、川を超えて避難するというのは難しくなりますので、川があふれる前にかなり早い段階で逃げなければならない。
唐湊地区には、色が塗られていない場所(災害の危険性が示されていない場所)もありますが、油断はできないと井村准教授は指摘します。
●鹿児島大学・井村隆介准教授
「後ろが(土砂災害で)崩れている」「前も洪水が起こっている」となると孤立してしまう。
●鹿児島大学・井村隆介准教授
そうするとこの中で家は安全だけど、生活をするためには水・食料が必要になるわけですよね。
色が塗られていない地域の人も備えておかなければならない。
●気象予報士・渡司陵太
自分の家だけでなく、まわりの地図も確認することが大事なんですね。
●鹿児島大学・井村隆介准教授
地域全体を確認することが大事だと思います。
ハザードマップ 普段から確認を
災害の危険性を示すハザードマップ
井村准教授は普段から目を通しておき、日ごろから自分自身の防災について考えることが大事だと言います。
●鹿児島大学・井村隆介准教授
今ではインターネットでもハザードマップは見ることができるんですけど、大雨・地震の時
に停電していると見られないわけですよね。
●鹿児島大学・井村隆介准教授
紙のハザードマップは大事にして欲しいと思います。
●鹿児島大学・井村隆介准教授
普段からハザードマップをよく見て、自分の周りで、どこに行けば良いのかを考えていただきたい。
(2020年4月9日 放送)