春一番を知ろう
防災に詳しい鹿児島大学の井村隆介准教授を先生に迎えて親子で学ぶ「ぼうさいの時間」。
今回はこの時期に気をつけたい「春一番」についてお伝えしました。
◆前原竜二アナウンサー
きょうのテーマは、春一番を知ろうです。
春一番ってどんなイメージ?
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
春一番ってどんなイメージがありますか?
◆前原竜二アナウンサー
春を告げる風。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
アイドルグループが「春一番」って曲を歌って、それ以降明るいイメージがあるんですが、春一番は立春を過ぎてから最初に吹く、強い南風のことを言う。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
明るいイメージとは逆に、災害をもたらす少し怖い意味でもある。
そういうことを知ってほしい。
春一番とは
では、具体的に春一番とは、どんな風のことを指すのでしょうか。
鹿児島地方気象台の轟日出男さんに教えてもらいます。
(鹿児島地方気象台・轟さん)
気象庁では、立春から春分の間に広い範囲で初めて吹く、南よりの強い風のことを春一番としています。
(鹿児島地方気象台・轟さん)
鹿児島地方気象台では、10分間平均風速8m以上の風。
(鹿児島地方気象台・轟さん)
春一番は別名「春の嵐」とも呼ばれていますので、そういった注意喚起を促す情報でもあります。
立春を過ぎると、東シナ海や黄海付近で発生した低気圧が、発達しながら日本海を進むことが多くなります。
この低気圧に向かって吹き込む強い南風のうち、一定の条件を満たした立春から春分までに吹く最初の南風のことを「春一番」と呼んでいます。
春一番による被害
◆前原竜二アナウンサー
過去の被害は?
(鹿児島地方気象台・轟さん)
1990年、枕崎市で大きな被害が発生している。
1990年2月19日、枕崎市で竜巻が発生。
最大瞬間風速は23.7mで、1人が死亡し、17人が負傷。
29棟が全壊、127棟が半壊するなど、大きな被害が出ました。
この年の春一番は、2月11日に観測されていましたが、春一番が吹いたあとでも、突風や竜巻に注意する必要があります。
特に海上は注意
特に強い風が吹きやすいのが、植物や建物など風を遮るものがない海上です。
そこで続いてやってきたのは、いちき串木野市の港です。
この日は、立春の前日の今月3日。
串木野海上保安部では、毎年この時期に「春一番」に気をつけてもらうよう、街の人に呼びかけるため、オリジナルのチラシやポスターを作って啓発活動を行っています。
この啓発活動に、私たちも同行させてもらいました。
(串木野海上保安部)
立春から春分にかけて低気圧が発達して、強風を伴いますので、特に気をつけてください。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
陸上で8m以上の風が予想されるものが吹いた時に「春一番」となるが、海上は家とか植物とかないので、より強くなる。
(遊漁船・船長)
この辺が8mの時は、沖では20mとかになる。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
急変することがあるので、ぜひ気をつけていただいきたい。
啓発活動はこのほかにも、フェリー乗り場や釣具店など、海に関わる様々な場所で行われました。
(釣り具店・店長)
これ貼らせていただいて、一声かけます。
釣りに行かれる方に、「気をつけて行ってらっしゃい」と。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
少しずつ暖かくなってくるので、釣りにいい季節ではある。
急激に発達する低気圧ってことで天気が急変することもありますので、初心者の方は天気の変化になかなか気づかない方もいますので、注意を呼びかけてほしい。
春一番は災害を引き起こすこともあるということを、今一度確認して
◆前原竜二アナウンサー
啓発活動に同行しましたが、いかがでしたか?
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
春一番はふわっとしたイメージがあるけど、こういう風に海の現場では事前にこういう啓発活動が行われている。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
この啓発活動が届いている範囲だけでなく、他の地域でもそういうことがあるんだっていうことをきちんと理解していただきたい。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
台風だと強い風っていうイメージがあるけど、この立春から春分までのいわゆる春一番は、非常に強い風が吹いて、災害を引き起こすこともあるんだということを、今一度確認していただきたい。