火山の情報を知ろう
防災に詳しい鹿児島大学井村隆介准教授を先生に迎えて、親子で楽しく学ぶ「ぼうさいの時間」。
多くの活火山がある鹿児島。
今回は、日頃の火山のニュースからどんな情報が読み取れるのか、井村先生と一緒に考えます。
◆前原竜二アナウンサー
きょうの授業のテーマは、「火山の情報を知ろう」です。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
普段ニュースで流れてくる火山の情報の中には、命を守るための情報もたくさん入っているので、ひとつひとつの言葉の中にどんな意味が込められているのかということを学んでいきたい。
私たちの身近にある「活火山」。
日本には111の活火山があります。
そのうち鹿児島県には、北海道、東京都に次いで全国で3番目に多い、11の活火山があります。
火山の近くに住む私たちは、多くの火山のニュースに触れます。
◆前原竜二アナウンサー
ここからは、実際に過去のニュースを見ながら、井村先生に解説していただきたいと思います。
◆前原竜二アナウンサー
まずは桜島のニュースです。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
キーワードがたくさんあった。
例えば「噴火」。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
その中で皆さんは、「桜島が『爆発』しました」というようなニュースを聞いたことはないですか?
◆前原竜二アナウンサー
あります。
「噴火」と「爆発」の違い
井村先生がまず注目したのは、「噴火」という言葉。
ここでクイズ!
【問題】
「噴火」と「爆発」の違い、皆さんはわかりますか?
【答え】
爆発は、噴火のうち『明瞭な空振を伴うもの』のことを指します。
噴火の中のひとつが爆発です。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
爆発も噴火も基本的には同じもので、爆発の方が噴火よりも怖いというわけではない。
山体膨張
続いて注目したのが「山体膨張」。
火山が噴火するとき、地下からマグマが上がってきます。
そのときに火山ガスなどの圧力が高まり、山体が膨らんでいる状態のことをいいます。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
山体膨張がいつも噴火につながるかはわからないけど、将来的に噴火が続くかもしれない。
より大きな噴火につながるかもしれないことを伝えている。
桜島では今年7月24日の爆発で、大きな噴石が火口から約2.5kmまで到達。
噴火警戒レベルが「避難」の5に引き上げられました。
この時も山体膨張が起きていて、
井村先生は「噴火警戒レベルの引き上げに影響したのでは」と話します。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
大きな噴石が約2.5km飛んだけど、山体膨張が解消されていなかった。
さらに大きな噴石が約2.5kmを超えて飛ぶような爆発が起こるかもしれないということがあった。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
山体膨張があの時点で解消されていれば、噴火警戒レベル5を出さなくても済んだかもしれない。
降灰予報
次に、鹿児島県民にとっては当たり前となっている気象情報の中のこちら。
〈桜島の降灰予報〉
今夜遅くは火口から東側、または南側に予想されています。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
この情報は、多くの皆さんは洗濯物を干す時に必要な情報だと思っていると思う。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
実際は大きな噴火が起こったときは、いろんな噴出物が出てくる。
そういう中で、気象庁は大きな噴石、小さな噴石という形で分けて情報を出している。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
小さな噴石は、2mmより大きくて64mm、つまり6.4cmより小さい物。
大体小指の先ぐらいから拳の大きさぐらいのもの。
◆前原竜二アナウンサー
拳の大きさの噴石が飛んできたら、もう…。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
2014年、長野と岐阜の県境にある御嶽山の噴火で、63人の方が亡くなった。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
拳の大きさぐらいの火山れき(小さな噴石)が当たって亡くなった人がほとんど。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
少し規模の大きな噴火が起こると、黄色い範囲では小さな噴石が落ちてくる可能性がある、ということを知っておいてほしい。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
だから、風向きというのは洗濯物の情報だけでなく、自分の命を守る情報でもあるんだということを知ってほしい。
普段から情報を読み解く力を
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
普段から読み解く力を持っておかないと、いざという時に何が変わっていて、何に注意しなければいけないかがわからない。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
自分の行動に生かす情報が入っている。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
場合によってはそれが命に関わる情報。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
自分の中で警戒心を高めるきっかけにしてほしい。