コロナ禍の避難 ポイントは?
鹿児島大学の井村隆介准教授とともに、防災に関するさまざまな知識を深める「井村隆介の防災をマナブ」です。
大雨の季節です。避難の時も新型コロナウイルスが心配されますが「どう避難するのか」について考えます。
(2020年5月14日 放送)
「避難」とは「難を避ける」こと
●気象予報士・渡司陵太
鹿児島市内の避難所にやってきました。今回のテーマは「避難」です。
●気象予報士・渡司陵太
漢字で見ると「難を避ける」と書きますが、これから雨や台風の季節、どのように難を避けるべきなのか? 井村准教授から学びます。
2019年7月、記録的な大雨となった薩摩・大隅地方。
多くの人が災害という「難を避けよう」と避難所に避難しました。
ポイント1「避難所の確認」
避難のポイント1つめは、避難所の確認です。
避難所の中には洪水や土砂災害・津波の危険性がある場所もあります。
鹿児島市の場合、その避難所が何の災害に対応しているか看板に示されています。
●鹿児島大学・井村隆介准教授
ここに避難場所の案内があるわけですけど、どういう災害に対応しているのか、〇印で書いてあります。
どういう災害に対応しているのか 見ていただきたいです。
ポイント2「持っていく物」
避難のポイント2つめは、持っていく物です。
避難所の多くは、学校など、普段は別の目的で使われています。
必ずしも、避難したとき必要な物が準備されているわけではありません。
井村准教授は「まずは避難することが大事」としたうえで持っていた方が良い物を紹介してくれました。
●鹿児島大学・井村隆介准教授
避難勧告、避難指示で、避難が呼びかけられたぐらいだと「自分自身で食料などを持ってきて」ということになるので、普段から備えておくことが重要になると思います。
●鹿児島大学・井村隆介准教授
避難所に行って、床が板張りになっていて、人が土足で入ってくることもありますので、ブルーシートがあると自分がいるスペースを確保できます。
●鹿児島大学・井村隆介准教授
次に毛布なんですけど、たくさんの人が来られたりすると与えられない可能性もあります。
自分自身で毛布が1枚あるといいと思います。
●鹿児島大学・井村隆介准教授
食料・水と衛生用品。
コロナウイルスがなくても、避難所では衛生面の管理は大事です。
●鹿児島大学・井村隆介准教授
東日本大震災でも避難所全体にインフルエンザが蔓延したことがありましたので、ウェットティッシュ、マスクも準備しましょう。
コロナが心配 避難所に行くべき? 避けるべき?
避難所では、新型コロナウイルス対策が気になります。
こちらは鹿児島市内の避難所です。
2019年7月の大雨では多くの人で満員となりました。
下駄箱の前まで人があふれ、駐車場の車の中で夜を明かす人もいました。
避難所では「3密」が懸念されます。2020年は、避難者同士の距離の確保、避難者の検温、部屋の換気などが行われました。
●鹿児島大学・井村隆介准教授
今、窓を開けましたけども、台風が来ている時はこういうこと(換気)もできないわけです。
●鹿児島大学・井村隆介准教授
避難所はコロナウイルスが蔓延していなくても、3密になるのは避けられない場所だと思っています。
●鹿児島大学・井村隆介准教授
3密の中でいかに衛生的に過ごすのか?
手を洗ったり、マスクをしたりして、感染を防ぐことが大事だと思います。
●鹿児島大学・井村隆介准教授
洪水・土砂災害に巻き込まれた場合、ほぼ確実に亡くなるわけですから、身の危険を感じたら、躊躇しないで避難所に行って、避難所でコロナウイルスの対策をすることが大事だと思います。
自分の状況から「避難」を判断しよう
災害という「難を避ける」ためにどうしたら良いのか?
井村准教授は自分の置かれた状況から判断すべきだと話します。
●鹿児島大学・井村隆介准教授
避難所に行くだけが「難を避ける」ではないです。市街地で高さのあるマンションに住まれているような方々は避難所に行くよりも自宅にいた方がいいわけです。
●鹿児島大学・井村隆介准教授
一方で洪水が起こってしまうと、水につかってしまうなど、確実に避難が必要な人もいたわけです。
●鹿児島大学・井村隆介准教授
みなさんでコミュニケーションをとりながら、自分に合った「避難の方法」「難の避け方」を考えてほしいです。
(2020年5月14日 放送)