避難場所を確認!~津波編~
東日本大震災から3月11日で11年。
この震災では、多くの人が“津波”で命を落としました。
津波から命を守る“避難場所”と、心構えを学びます。
◆井上彩香アナウンサー
志布志市にやってきました。
先生、今回の授業は“避難場所を確認!~津波編~”です。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
志布志市は、南海トラフの巨大地震が起こった時に、10m近い非常に高い津波が想定されている場所。
人口も多いですから、こういう所で津波が予想されたときに、どういう避難をすればいいのか考えてみたい。
“津波”を知ろう
【クイズ】
Q.「津波注意報」と「津波警報」の違いを知っていますか?
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
正解は、
「津波注意報」は、1m以下の津波が予想された時。
「津波警報」は、1mを超える津波が予想された時。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
「津波注意報」の時は、「海岸にいる人は逃げてください」。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
「津波警報」になると、
「ハザードマップで、色がついている低い地域に住んでいる人は避難して下さい」ということ。
今年1月の津波警報で、奄美市では避難する車の渋滞が発生
今年1月のトンガ沖の火山噴火では、奄美市小湊で1.2mの津波が観測された後に、津波警報が出されました。
奄美市では、高台に避難する車が殺到し、渋滞も。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
すでに津波が到達していたので、遠くの高台に行くのは、実は「間違い」。
その場で、高いところに行かないといけなかった。
南海トラフ地震・予想される津波の高さ
今後30年以内の発生確率が、70から80%と言われている「南海トラフ地震」。
屋久島町で約12m、志布志市で6.4m、鹿児島市で3.2mなど、最大1メートル以上の津波が予想されています。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
津波にはがれきが混じっていたり、30cm、40cmの高さだと車が流れてくる。
そういうのが非常に速いスピードでやってくる。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
1mの津波の致死率は100%!
だから、高台に逃げないといけない。
【実験】高台まで何分かかる?
各家庭に配布されている防災マップを手に、志布志市の中心市街地から高台を目指します。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
マップ上で直線距離にすると、高台まで200mぐらいなんですけど、実際には道路に沿って歩かないといけないので、200m以上歩かないといけない。
◆井上彩香アナウンサー
高台まで歩く時間をはかってみたいと思います。
電柱や街路樹、建物が倒れているかもと想像しながら歩きます。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
今、ここの標高は8m。
国や県が行ったシミュレーションによると、南海トラフの巨大地震で、志布志ではこのあたりまでしか津波が来ないことになってる。
東日本大震災では、想定された3倍の高さまで水がいったところがありますから、さらに高いところを目指しましょう。
井村先生が、あるポイントで立ち止まりました。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
上がる途中の道が、実は「急傾斜地崩壊危険区域」。
◆井上彩香アナウンサー
山が崩れたり、そういう危険な場所を通って避難しなければいけないということですね。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
もし崩れていれば、遠回りしないといけないかもしれない。
雨が降っていたら…。
高齢の家族と避難したら…。
様々なことを考えながら、標高およそ55mの高台に到着しました。
◆井上彩香アナウンサー
着きましたね。かかった時間は、およそ19分。
命を守るための訓練を!
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
ハザードマップを見て、「ここだね」と言うだけではなく、実際にそこに行ってみる。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
ここが崩れたら2番目3番目の方法はどうなんだろう。
それは訓練していないと、どうしようもない。
高台から見える志布志の景色。
井村先生は、東日本大震災で津波にのまれた、宮城県石巻市の映像と重なると話し、警鐘をならします。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
震災直後の行政、学校の先生、家族で“津波に備えなきゃいけない”とみんなで思っていた一体感は、今はほとんど感じない。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
南海トラフで巨大地震が起これば、志布志市に10m近い津波がくるのは仕方がない。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
訓練をやって頂いて、ここで命ある状態で見るのか、逃げ惑っているのか、差が出てくると思う。
今こそ、「命を守るための訓練」をしませんか。