番組表
ON AIR
井村先生のぼうさいの時間
「防災をマナブ」(2021年3月まで放送)の情報も掲載しています

避難の仕方を考えよう

防災に詳しい鹿児島大学の井村隆介准教授を先生に迎えて、
親子で楽しく学ぶ「ぼうさいの時間」です。
テーマは「避難の仕方を考えよう」です。

先月、奄美群島とトカラ列島に出された「津波警報」。

その時、車で避難をした人たちが多くいたことで、奄美市では渋滞が起きました。
もしあの状況で、大きな津波がおそってきたら…。

避難の仕方について考えてみましょう。

「避難所」と「避難場所」の違い、知っていますか?

◆鹿児島大学 井村隆介准教授
避難というのは、難を逃れるためによそに行くことなんですが、
実は防災マップには、「避難所」と「避難場所」というのが書かれています。
その違いを知っていますか?
そういうところから、避難を考えたいと思います。

鹿児島市の祇園之洲公園。
ここには、避難に関する看板があります。

◆鹿児島大学 井村隆介准教授
地震時の「緊急避難場所」と書いています。
 

◆鹿児島大学 井村隆介准教授
「避難所」ではなく、「避難場所」なんです。
 

避難場所とは?

◆鹿児島大学 井村隆介准教授
「一時的に避難をして安全を確保するというところ」を「避難場所」と言います。
 

避難所とは?

◆鹿児島大学 井村隆介准教授
実際に災害に遭って避難をして、避難生活をするようなところ」を「避難所」というように区別されています。

ここでクイズ!

◆鹿児島大学 井村隆介准教授
地震のときに、ここ(避難場所)に逃げてこなければいけない状況は?

◆前原竜二アナウンサー
津波が起こったとき。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
他には?
◆前原竜二アナウンサー
崖崩れ。

◆鹿児島大学 井村隆介准教授
家が壊れてしまってそこに住めないから避難するのではなくて、一時的に逃げてくる場所
それが地震時の「緊急避難場所」です。

避難場所、そこで大丈夫?

ただ、この「緊急避難場所」。
地図で確認するだけでは問題があると、井村先生は指摘します。

◆鹿児島大学 井村隆介准教授
津波が起こりました。
じゃあ避難しましょうとここに来たのに、実はこの場所は標高が低い。
そこで、注意を促す別な看板が設置してあります。

◆鹿児島大学 井村隆介准教授
もうひとつの看板には
「津波が発生したときは浸水の恐れがあります。
すぐに高いところに避難してください」と書かれています。

◆鹿児島大学 井村隆介准教授
津波を避けるために避難してここに来たのに、来てからわかったということでは、手遅れになってしまう。

◆鹿児島大学 井村隆介准教授
避難しようとしている場所の状況を、事前にきちんと見ておくことが大事。

津波からの避難、どうする?

さらに、高台の避難場所を目指して歩いてみます。

◆前原竜二アナウンサー
道幅がそこまで広くないですね。

◆鹿児島大学 井村隆介准教授
みんなが車を使って高台に避難しようとすると、大渋滞になってしまう。
すると、後ろから来た人たちは津波がやってきて、車の中でそのまま流されてしまうことが起こる。

◆鹿児島大学 井村隆介准教授
東日本大震災以降、津波からの避難の際、車はできるだけ使わないで歩いて逃げましょうということになっていますけど、

◆鹿児島大学 井村隆介准教授
健常者の方っていうのは基本的には歩いて逃げないと(渋滞に巻き込まれて)自分自身も命を落としてしまう。
 

◆鹿児島大学 井村隆介准教授
一方で、お年寄りや体の不自由な人が車を使わずに逃げると、逃げ遅れてしまうということになる。

【体験談】車を必要とする人を優先したほうが良いと感じた

先月、津波警報が出されたときに車で避難したという、奄美市在住の西さんに話を聞いてみると、
実際に渋滞に巻き込まれ、歩いて避難している人にどんどん抜かれていったそうです。

◆西朗子さん
車の方が速いという感じで、何も考えずに車に乗りました。
私たち家族は歩けるので、同じようなことがあれば、次は歩いて避難すると思います。
 

◆西朗子さん
杖をついていたり、介助なしでは歩けない高齢の方や妊婦さんもいらっしゃったり、車を必要とされる人を優先した方が、渋滞も起こりにくいし、スムーズだし、事故も起きづらいのかなって事は感じました。

【体験談】避難場所を事前に知っておくのは大事だと感じた

また、今回の経験を通して強く感じたことがあるそうです。
◆西朗子さん
実際に私は今回は少年自然の家って場所に行き着いたけれど、それ以外の避難場所を知らないので帰ってきてから調べました。事前に知っておくことは大事だなと思いました。

【まとめ】避難方法や場所を事前に確認して、命を守る行動を

◆鹿児島大学 井村隆介准教授
多賀山公園に上がってきました。
ここは標高が30mほどありますので、津波からは十分に逃れられる。
津波からはいいのですが…。

◆鹿児島大学 井村隆介准教授
地震の揺れで、近くのがけが崩れるおそれがありますので、避難するときは注意してくださいと書いてある。
 

◆鹿児島大学 井村隆介准教授
避難してくる前に、ここの避難には崖崩れや狭い道を通るリスクがあるということを、自分で理解しておくことが大事。
(奄美の津波警報は)今回何もなかったが、渋滞になってしまったことを教訓に、ああならないためにはどうすればいいのかということを考えてほしい。
みなさん自身が考えること。
それが一番大事。

 

いざというときにどうやって、どこに避難をするのか
避難場所を自分の目で確かめて、日頃から家族で話しておくことが命を守る行動につながります。