コロナ禍の「避難」
防災に詳しい鹿児島大学の井村隆介准教授を先生に、親子で楽しく学ぶ“ぼうさいの時間”です。
今月の授業は「避難」です。
コロナ禍の今、感染を防ぎつつ、災害から身の安全を守るために必要なことは?
皆さん一緒に学びましょう。
今月の授業テーマは「避難」
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
きょうは「避難」をテーマに、考えてみたいと思います。
「避難」とは、文字通り“難”を“避”けることです。
コロナ禍の今、避難の方法として言われているのが、密を避けながら身を守る“分散避難”です。
分散避難の選択肢
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
・避難所に逃げる
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
避難所は混むかもしれない。そうなると、新型コロナ感染が心配ということで
・知人・親戚の家に行く
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
・自宅が安全であれば、自宅にとどまる
ただし、これはギリギリの選択です。
あらかじめハザードマップなどを見て、安全を確認することが重要です。
このほか、去年の台風10号接近の時には、宿泊施設への避難を選ぶ人もいました。
車に避難する「車中泊」はどうですか?
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
ストレスがある状態で狭いところにいると、エコノミークラス症候群になりやすい。
基本的に車中泊はオススメしません。
コロナ禍での避難所の運営について
では、コロナ禍での避難所運営はどうなっているのでしょうか?
鹿児島市の避難所、たてばば福祉館を訪ね、密への対策などお話を聞いてきました。
鹿児島市地域福祉課の山内博之さんです。
◆鹿児島市地域福祉課の山内博之さん
この避難所は、避難情報が発令されたときや、自主避難の時に開設されることが多いです。
もともと100人が入れる想定でしたが、コロナ禍の今、定員は半分の50人です。
◆鹿児島市地域福祉課の山内博之さん
一人分のスペースは、コロナ禍では約4平方メートル。
これまでの約2倍の広さになります。
◆井上彩香アナウンサー
手を広げられるぐらい広い。
これだと横に誰かがいても、2メートルくらい距離がとれますね。
でも、もし定員の50人を超える人が来たらどうするんですか?
◆鹿児島市地域福祉課の山内博之さん
鹿児島市は、全ての避難者を断ることなく受け入れます。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
ここの避難所に来るのは、分散避難が言われている中で、ここ以外に行き場がなかった方々です。
定員は重要ですが、そこにこだわらず中に入って“難”を“避”けて頂きたい。
自治体はコロナ禍の避難をどう考えている?
KTSが全43市町村に取材したところ、
36の自治体が、コロナ禍の避難所運営マニュアルを作っていました。
そして、全ての市町村が、避難所の定員が超えた時の対応を決めていました。
例えば、鹿児島市や伊佐市、徳之島町などでは、
「感染対策を徹底した上で、定員を超えても受け入れる」としています。
十島村では、誰がどこに避難するかあらかじめ名簿を作り、
避難所が定員を超えないように対策をとっています。
また、姶良市では、市の予算を使ったホテル避難も選択肢に加えています。
鹿児島市、薩摩川内市、枕崎市、日置市、長島町では、
避難所の混雑状況をスマートフォンなどで確認できるシステムを導入しています。
このように、自治体でもコロナ禍の避難について準備が進められています。
クイズ「私たちに必要な心構え」とは
それではここで、
井村先生から「私たちに必要な心構え」についてクイズです。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
Q.災害に備えて普段からしておく必要のあることは?
①防災マップで家の周りや通学通勤路の危ない場所を確認
②防災マップで避難所の位置やそこまでの道のりを確認
③いざという時に家族と待ち合わせる場所を決める
④非常持ち出し品の準備
⑤新型コロナ対策グッズの準備(消毒液やマスク)
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
正解は・・・全部です。
いざ災害が起こったときに、それをやろうと思っても避難までの時間がないこともあります。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
改めて「私たちに必要な心構え」について確認します。
①防災マップで家の周りや通学通勤路の危ない場所を確認
②防災マップで避難所の位置やそこまでの道のりを確認
をしておきましょう。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
③いざという時に家族と待ち合わせる場所を決めておきましょう。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
④非常持ち出し品の準備
⑤新型コロナ対策グッズの準備(消毒液やマスク)
についてですが、
避難所には必要な物資が全てそろっているわけではありません。
食料や水のほか自分に必要なものをそろえ、消毒液やマスクなど感染対策グッズも忘れずに!
授業まとめ避難の心構え
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
普段から自分の身の回りのことに気をつけて、
「雨が降ってるな」だけでなく、
少しカーテンを開けて外を見てみるとか、
そういう行動がまずは大事です。
コロナ禍だからといって、避難所に行くことをためらわなくていいということですね。
まずは命を守る行動をとれるよう、普段から準備しておくといいですね。