自由研究 地盤の「液状化」
防災に詳しい鹿児島大学・井村隆介准教授を先生に迎えて、親子で楽しく学ぶ「ぼうさいの時間」です。
今月のテーマは、夏休みの子どもたちにおすすめの「自由研究」です。
◆前原竜二アナウンサー
きょうの授業はどんな内容でしょうか?
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
夏休みの自由研究で防災を考えてみたい。
自由研究のテーマは 「液状化」
◆前原竜二アナウンサー
どんな自由研究をしますか?
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
防災の中でも、地震の時に起こる地盤の「液状化」を勉強したい。
実験を交えて、液状化とはどういう現象なのかを知ってもらおうと思います。
液状化って?
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
「液状化」は、2011年の東日本大震災でも大きな被害をもたらした現象です。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
地下水が地震で浮き上がり、建物が沈下したり、泥水が噴き上がったりします。
液状化が起こるしくみ
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
私たちが普段歩いている地面には、多くの地下水が含まれています。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
地面が地震によって激しく揺さぶられると、固まっていた砂の粒子がばらばらになり、水に浮いたような状態になります。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
そして、重いものは沈み、軽い物は浮き上がってきます。
このようにして、液状化は起こります。
液状化は鹿児島でも起きている
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
液状化は、鹿児島でも起きたことがあります。
24年前の1997年3月、阿久根市で震度5強の地震が観測され、海に近い漁港で液状化現象が起こりました。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
また、同じ年の5月には出水市でも。
液状化が起きやすいのはどんなところ?
この液状化、どんなところで起きやすいのでしょうか。
◆前原竜二アナウンサー
鹿児島大学の水産学部前です。ここはどういう場所ですか?
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
たくさんの施設があって、今は完全に陸になっていますけど、実は1970年代前半まではこの道路の向こう側は海だったんですよ。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
埋め立てられる前の地図と、現在の地図。
比べたら、違いがよくわかりますね。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
埋め立て地っていうのは、地盤の液状化が起こりやすい場所。
一見陸地に見えるし、海もずいぶん遠くにあるけど、50年ぐらい前までは海だった場所だと知ってもらえたら。
液状化で街はどうなるの
液状化で街はどうなるのか…模型で見てみます。
砂の表面は乾いた状態。しかし、中には地下水が含まれています。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
揺らしてみますね。
◆前原竜二アナウンサー
水が一気に浮き上がってきました。
電信柱が2本倒れて、、、
◆前原竜二アナウンサー
ビルもゆっくりゆっくり傾いてきました。
◆前原竜二アナウンサー
倒れました!
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
揺れが原因ではなくて、水が浮き上がってゆっくり倒れたのがわかったと思う。
自由研究におすすめの実験
それでは、ここからはみなさんが家でもできる自由研究におすすめの実験をご紹介します。
【用意するもの】
・ペットボトル(できれば炭酸飲料の凹凸があまりない、固いもの)
・砂(砂浜の砂がおすすめ。砂は一度しっかり洗って乾かすのがポイント)
・押しピン(ステンレスのものがおすすめ)
【実験の進め方】
・ペットボトルを振って静かに置く
・押しピンが完全に砂に埋まった状態になったら、ペットボトルを揺らしてみる
◆前原竜二アナウンサー
わっ!なんか出てきました。
【実験の結果】
・液状化して、埋まっていた押しピンが浮き上がってくる
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
周りの砂より軽いので、(押しピンが)上に上がってきた。表面もタプタプしていたのがわかると思う。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
これが液状化。
【比べてみよう!】
※液状化で砂の粒子が詰まるので、液状化する前より砂の位置が下がっているところも要チェック!
※いろいろな砂を使って、どの砂が液状化が起きやすいかなど実験してみよう!
先生からクイズ♪
最後に井村先生からクイズです。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
次の写真のうち、地盤の液状化による被害はどれでしょう?
◆前原竜二アナウンサー
たくさん勉強したので自信があります。
答えは、建物がゆっくり倒れかけている4番ですね!
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
正解です!
4番の写真は、1964年の新潟地震の時に起こった現象です。
自然現象のしくみをしっかりと理解することも、防災へとつながります。
夏休みの自由研究を通して、家族で防災について考えましょう。