今、防災や災害を勉強する理由
防災に詳しい鹿児島大学の井村隆介准教授を先生に、親子で学ぶ“ぼうさいの時間”です。
きょうの授業のテーマは「今、防災や災害を勉強する理由」です。
今日の授業のテーマ「今、防災や災害を勉強する理由」
◆井上彩香アナウンサー
今日の授業のテーマ「今、防災や災害を勉強する理由」なんですけど…
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
皆さん最近テレビで鹿児島以外の所で大きな災害になってるの見たことあると思うんです。それを、他人事にしない。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
若い親御さんは、ここ最近鹿児島で起こった災害を経験されていない。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
でも、その知識で、今、小学校幼稚園のお子さんを守れますか?
きょうは鹿児島で過去30年間に起こった災害の教訓を勉強します。
8・6豪雨災害(1993年)
今回は1993年に鹿児島市に大きな被害をもたらした8・6豪雨災害で、江戸時代に造られた新上橋が流された場所が教室です。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
なぜこの高さに橋が架けられていたのかというと、そこまで水がくること江戸時代の人たちはみんな知っていたということになんですよね。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
川を改修することができて、水があふれることを少し和らげることができても、地形的には低くて水がやってくるところは変わらない
鹿児島市に甚大な被害をもたらした8・6豪雨災害。
一夜で死者・行方不明者は49人にのぼりました。
甲突川からあふれた水は繁華街・天文館を飲み込みました。
井村先生から問題
それではここで井村先生から問題です。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
大きな災害になった8・6水害の時鹿児島市では、どのくらい雨が降ったでしょうか?
(1)およそ2500mm
(2)およそ4000mm
(3)およそ3400mm
ヒントは、鹿児島市の過去30年の年間降水量の平均は2268.7mmです。
◆井上彩香アナウンサー
2倍だととてつもない量の雨な気がするので、私は3番かな…
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
実は正解は2番。およそ4000mmなんですよね。
◆井上彩香アナウンサー
えぇ!?
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
梅雨明け宣言が撤回された、とんでもない年だった。
この100年の中でもダントツに多い。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
長雨が続いたから“やはり避難した方がいいかな”という判断をするのは皆さん自身。
鹿児島県内は ここ30年で多く災害が…
ほかにも、ここ30年で多く災害が起こりました。
1997年3月の、最大震度5強を観測した県北西部地震。
犠牲者はでませんでしたが、落石による被害や断水も発生しました。
同じ1997年の7月、出水市境町 針原地区で土石流が発生し、21人が犠牲に。
2011年には、新燃岳の噴火による降灰で農業の被害も深刻となり…
2015年5月、屋久島町の口永良部島で発生した噴火では、全島避難が行われました。
そして2020年9月。
台風10号の接近で、命を守るための最大級の警戒が必要なことを私たちは経験しました。
ここ30年の災害について井村先生は…
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
鹿児島県に住んでいる人たちは(これらの災害を)“想定内”にしておかなければいけない
災害の教訓
最後に井村先生が、ある石碑を教えてくれました。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
これが8・6水害があったことを後世に残そうと建てられた記念碑になります。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
「災害は忘れたころにやってくる」のであれば、忘れなければ防げる。
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
例えば、電信柱に付けられた「ここは標高何メートルです」と言う表示だって、そこの地盤が高いのか低いのか、津波のときに逃げなければいけないのかどうなのか、実は教えてくれているサイン。
それを読み解くのは私たち自身ということになります。
授業のまとめ
【授業のまとめ】
◆鹿児島大学 井村隆介准教授
自分が災害を経験したときにはもうおしまいかもしれない。
過去の人、他の地域の人たちの経験をきちんと自分ものにしておくことが災害で命を落とさない上で一番重要なことだと思います。
今回勉強したことをもう一度家族で話してみて下さいね。