鹿児島県の津波リスクと避難
鹿児島大学の井村 隆介准教授とともに防災に関する知識を深める「井村 隆介の防災をマナブ」です。
今回は県内の津波のリスク、避難のポイントを学びます。
今回のテーマは…
●気象予報士・渡司陵太
今回は志布志市にやってきました。何を学ぶんでしょうか?
●鹿児島大学・井村隆介准教授
2011年の東日本大震災の時にも話題になったんですけど、南海トラフの巨大地震に対して、ここ志布志市でどう揺れ・津波に備えれば良いのかを学んでみたいと思います。
2011年に発生した東日本大震災。大きな津波が東日本各地を襲いました。県内も津波のリスクがあります。
志布志の街を例に、津波のリスク、そしていざというときの避難について考えます。
南海トラフ地震の津波リスクは?
●気象予報士・渡司陵太
今、私たちがいる場所は標高5.9mです。こうした場所で地震が起きたら何を考えた方がいいんでしょうか?
●鹿児島大学・井村隆介准教授
ここは津波から、逃げなければいけない所なんです。
●鹿児島大学・井村隆介准教授
南海トラフの巨大地震でM9.1の地震が起こった場合には40分ぐらいで6.2mの津波が想定されています。
これはあくまでもひとつの想定ですので、志布志湾沿岸、他の所も考えると10mぐらいの津波は考えておかなければいけない。
その時に逃げるところはあの高台ですね。
後ろに見える高台に逃げるのが、標高40mぐらいあるので良い。
実際に高台まで移動してみることにしました。
津波避難のポイント(1)移動手段
津波の避難、1つ目のポイントは移動手段です。車を使いたいところですが…
●鹿児島大学・井村隆介准教授
高いところに登る道が渋滞してしまったり、途中の道路に家が壊れて通れなくなってしまっていることもありますので、歩いて避難というのが基本。
体が不自由な方とか、お年寄りとかスムーズに避難できない方もいらっしゃいますので、そういう人達は事前に避難訓練で、どういう人が車で行くかを確認しておくことが大事だと思います。
津波避難のポイント(2)声を出す
津波の避難のポイント。2つ目は「声を出す」ことです。
●鹿児島大学・井村隆介准教授
「津波が来るぞ」ってまわりに呼びかけながら走ることはとても重要。みんなに呼びかけながら、みんなが津波の意識を持って逃げられるように「声を出す」「走る」ことは大事。
津波避難のポイント(3)急斜面
高台への坂道・急斜面にさしかかりました。3つ目のポイントです。
●気象予報士・渡司陵太
坂が急になってきましたね。
●鹿児島大学・井村隆介准教授
ここから台地の上に避難しなければいけないんですけれども看板があります。
●気象予報士・渡司陵太
急傾斜地崩壊危険区域と書いてありますね。
●鹿児島大学・井村隆介准教授
南海トラフの巨大地震の場合には鹿児島県この大隅地域というのは震度6を超える揺れに見舞われると考えられています。
震度6を超えるとがけ崩れが起こったり一般の住宅が壊れたりする状況。
余震で斜面がさらに崩れることもありますから、それに気をつけつつ、津波にも備えなければいけないということで、考えなければいけないことが多い。
今回はおよそ15分で高台に移動することができました。
高台への避難 間に合わない場合も
一方で、井村准教授は高台への避難では津波が到達するまでに間に合わない場合もあると指摘します。
●鹿児島大学・井村隆介准教授
南海トラフのM9クラスの地震以外にも被害をもたらすと考えられている地震があります。
日向灘で起こる地震なんですよ。M7~8クラスなんですけど、近いところで起こるので津波がすぐやってくることになります。
マグニチュードが小さいので数mクラスの津波が10分以内にやってくる。
●鹿児島大学・井村隆介准教授
そういう時には遠くの高台ではなくて、近くの高いところに逃げなければならない。
建物の2階以上に上がる、自宅でも1階から2階に上がるようなすみやかな行動が必要になってくる。
自分が生活するエリアで津波が起きた場合どこにどう避難するか?
想定される地震ごとに確認しておく必要があります。
自分の地震・津波対策を考える
●鹿児島大学・井村隆介准教授
西日本を襲う巨大地震はいずれやってきます。
私たちは今こそ、2011年に東北で起こったことを教訓にして、自分たちの身のまわりの地震・津波対策を考え直すといいと思います。