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井村先生のぼうさいの時間
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軽石が降ってくる!? 桜島の地層を読み解く

鹿児島大学の井村隆介准教授とともに、防災に関するさまざまな知識を深める「井村隆介の防災をマナブ」です。

今回は、桜島の噴火の歴史や特徴を学びます。

(2018年11月29日 放送)

2018年11月29日 放送

●気象予報士・渡司陵太
今回はどんなことをマナブんでしょうか?

●鹿児島大学・井村隆介准教授
桜島は大正大噴火だけでなくて、過去にも大きな噴火を何回かしているんですね。
そのときの噴出物を見ていただいて、大噴火を考えるのが今回のテーマです。
 

地層に残る 過去の噴火

井村准教授と訪ねたのは、桜島にある採石場です。

敷地の一角に、大きな地層がありました。

●気象予報士・渡司陵太
どういう地層なんですか?

●鹿児島大学・井村隆介准教授
桜島は人の歴史が残っている間に何回も噴火しているんですけど、その噴火の歴史をこの崖で読み解くことができます。

●鹿児島大学・井村隆介准教授
一番下にあるのが1300年前ぐらいに流れ出した溶岩になります。
奈良時代にあった。

●鹿児島大学・井村隆介准教授
この上に黄色い粒が入っている地層が10cmくらい見えるかと思うんですけど…

●鹿児島大学・井村隆介准教授
600年ぐらい前に噴火があってできた地層

●鹿児島大学・井村隆介准教授
今度は江戸時代の安永噴火というんですけど、その時に出た軽石が1m以上積もっていて…

●鹿児島大学・井村隆介准教授
その後、起こった噴火は20世紀最大の噴火。
1914年・大正大噴火の軽石ということになります。

●鹿児島大学・井村隆介准教授
だいたい1、2世紀の間に1回ずつ大噴火しているのがわかるかと思います。

江戸時代・安永噴火に注目

今回は江戸時代にあった安永大噴火の地層に注目しました。
1779年・安永8年に発生し、150人余りの死者を出した大噴火です。

●気象予報士・渡司陵太
どういうものが積もっているんでしょうか?

●鹿児島大学・井村隆介准教授
江戸時代に起こった噴火で、軽石が積もっています。

●鹿児島大学・井村隆介准教授
穴がたくさん開いていて、石なんですけど軽いので軽石。ものによっては水に浮きます。

●鹿児島大学・井村隆介准教授
これが、降ってるわけですね。(高さ)10kmぐらいまで噴き上がったやつがここに落ちている。

●鹿児島大学・井村隆介准教授
猛烈なスピードで落ちてくる。空から砂利が降ってくることになります。

●鹿児島大学・井村隆介准教授
激しい雨、バケツをひっくり返したような雨といわれますけど、それがという状態と考えてもらえたらいいと思います。屋根も突き破ってくるということになると思います。

●鹿児島大学・井村隆介准教授
これが始まってしまうと逃げることも不可能です。

●鹿児島大学・井村隆介准教授
大正噴火クラスの噴火は、風向きによっては『鹿児島市街地に大量の火山灰が降るかもしれません』と言われているのは、ご存知の方も多いと思いますけど…

●鹿児島大学・井村隆介准教授
降ってくるのは、実は、みなさんが考えているような火山灰ではなくて、軽石が降ってくることになります。

危険! 高温で降ってくる軽石

井村准教授は軽石について、もうひとつ危険な点があると言います。

●鹿児島大学・井村隆介准教授
比較的大きいこういうものは、中が少し赤くなっています。

●気象予報士・渡司陵太
確かに、ちょっと赤っぽいですね

●鹿児島大学・井村隆介准教授
そうですね。これは軽石が温度が高かったことを意味しています。

●鹿児島大学・井村隆介准教授
石はなかなか冷めないので、温度が高い中で空気に触れると鉄が酸化します。それによって中心部が赤い状態のものができます。

●鹿児島大学・井村隆介准教授
この軽石は降ったときには、数百℃くらい中心部は温度があったことになります。
そう考えると、焼けた熱い石が降ってくるんだという認識を持つことが大事です。

最後に…

過去の地層が訴える軽石の危険性。
最後に井村准教授はこう話しました。

●鹿児島大学・井村隆介准教授
今回は数百年に1回の噴火を見ているわけですけど、桜島はこれよりもまだ規模の大きな噴火も起こしてきました。

●鹿児島大学・井村隆介准教授
たぶんこれからも、規模の大きな噴火が起こっていくんだということを知っておく必要があるのかもしれないです。

(2018年11月29日 放送)