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井村先生のぼうさいの時間
「防災をマナブ」(2021年3月まで放送)の情報も掲載しています

噴火の規模はどのくらい?

鹿児島大学の井村隆介准教授とともに、防災に関するさまざまな知識を深める「井村隆介の防災をマナブ」です。

鹿児島県内には桜島や霧島、口永良部島など、数多くの火山がありますが、今回は「噴火の規模」について学びます。

(2019年1月17日 放送)

今回のテーマは「噴火の規模」

■KTSウェザーセンター 渡司陵太
今回の防災をマナブはどんなテーマなのでしょうか?

■鹿児島大学・井村隆介准教授
これから20~30年の間に大きな噴火が予想される桜島の大正クラスの噴火がありますけど、噴火の規模を知っておくことはとても重要だと思います。

桜島の噴火の規模は?

噴火の規模を考えるために準備したのは、幅6mの桜島のパネル(実物の2000分の1サイズ)です。

もし桜島がこの大きさだったとしたら、噴火で出てくる噴石や溶岩、火山灰などの量は全部でどれくらいになるのでしょうか。噴火の規模をボールの大きさで例えてみます。

■鹿児島大学・井村隆介准教授
桜島がこの規模(幅6m)だったとすると、桜島の普段の噴火で出てくる噴出物の量は小さな玉・直径5ミリくらいになるんです。これが普段の桜島の1回分です。
 

■鹿児島大学・井村隆介准教授
桜島の噴火は山の大きさと比べて大きな噴煙が出ているように見えますが、噴煙というのはほとんど気体・ガスでできています。その中に小さな火山灰がたくさん含まれていますが、それを全部集めても、この桜島のパネルに比べると、せいぜいパチンコ玉ぐらいなんです。

他の火山の「噴火の規模」も例えてみると…

■KTSウェザーセンター 渡司陵太
鹿児島の火山は様々なものがあると思うんですけど、他の火山で例えるといかがですか?

■鹿児島大学・井村隆介准教授
2015年に口永良部島が噴火して全島民が避難されたというのがありましたけど、その規模を桜島の模型の大きさに例えて、ボールで表現すると…

■鹿児島大学・井村隆介准教授
このピンポン玉くらいの大きさになる。桜島のちょっと大きめの噴火がパチンコ玉くらいですけど、口永良部島で2015年に全島民が避難された噴火はこのくらいの規模に相当するんです。

次は、2011年に起きた霧島連山・新燃岳の噴火をボールの大きさで例えます。

■鹿児島大学・井村隆介准教授
新燃岳が2011年に噴火したわけですけども、そのときの噴火の噴出物の量をボールで表すと、桜島のパネル(幅6m)に比べるとサッカーボールくらいの大きさになります。

■KTSウェザーセンター 渡司陵太
随分と大きくなりましたね。

■鹿児島大学・井村隆介准教授
桜島の普段の噴火がパチンコ玉ということを考えると相当、大きな噴火だったということがわかるかと思います。

桜島の大正噴火の規模は?

次は1914年、桜島の大正噴火です。
噴火の規模を示すボールがもっと大きくなりました。
 

■鹿児島大学・井村隆介准教授
20世紀で起きた(国内)最大の噴火なんですけど、桜島のパネル(幅6m)に比べると、バランスボールよりひとまわり大きいのサイズに相当します。

■鹿児島大学・井村隆介准教授
これが桜島の地下にあって、一気に出てしまったというのが大正噴火なんです。
 

さらに大きな噴火も…

次は、およそ3万年前の姶良カルデラの噴火です。噴火によって現在の桜島の北側全体が陥没し、現在は海になっています。

■KTSウェザーセンター 渡司陵太
桜島の大きさのパネルに例えると、どれくらいの規模の噴火になるんですか?

■鹿児島大学・井村隆介准教授
6mぐらいあるパネルが桜島だと考えると、これとほぼ同じくらいの直径の大きな球です。

■KTSウェザーセンター 渡司陵太
CGが合わせられていると思うんですけど、本当に大きいですね。

■鹿児島大学・井村隆介准教授
そうですね。この規模の噴火が今、起こってしまうと、南九州のすべての人間、動植物が、死に絶えてしまう。

小さな噴火でも油断できない

「噴火」には、小さいものから大きいものまで様々な規模の噴火があることがわかります。しかし井村准教授は小さな規模の噴火でも油断してはならないと指摘します。

■鹿児島大学・井村隆介准教授
姶良カルデラが噴火するような大きな噴火になると、大きな被害が出るというのは、みなさんも想像がつくと思うんですけど…

一方で、御嶽山(2014年 岐阜・長野県境)の噴火をボールに例えると…

■鹿児島大学・井村隆介准教授
ゴルフボールくらいなんです。

■KTSウェザーセンター 渡司陵太
これまで見てきた噴火に比べると、そんなに大きくない規模ですね。
 

■鹿児島大学・井村隆介准教授
そうですね。ただ、この噴火によって63人の方が亡くなられて、戦後最悪の火山噴火被害ということになりました。
 

■鹿児島大学・井村隆介准教授
噴火の規模が「大きい」「小さい」というのは、「怖い・怖くない」「被害が小さい・大きい」という問題とは、ちょっと違うことを知っておいていただけるといいかなと思います。

■鹿児島大学・井村隆介准教授
小さな噴火であっても、対応・避難のタイミングを間違ってしまうと、大きな災害につながることを知っていただけるといいと思います。

(2019年1月17日 放送)