【動画】大雨を疑似体験してみよう
鹿児島大学の井村隆介 准教授とともに防災に関するさまざまな知識を深める「井村 隆介准教授の防災をマナブ」です。
今回は大雨によってどんなことが起きるのか、祭りの会場で渡司気象予報士が 大雨を擬似体験しました。
(2019年11月6日 放送)
※動画および写真記事でご覧いただけます
【動画】
祭りの会場にやってきました
●気象予報士・渡司陵太
肝付町の「やぶさめ祭」の会場に来ました。
ここで今回はどんなことをマナブんでしょうか?
●鹿児島大学・井村隆介准教授
2019年の台風では中部地方から東北地方までたくさんの雨が降って、堤防が決壊する大災害になりました。
●鹿児島大学・井村隆介准教授
「たくさんの雨が降るのはどういうことなのか」
降雨体験機で経験してみたいと思います。
肝付町でおよそ900年続く「やぶさめ祭」。
大雨体験装置「ふるぞー君」
祭りの会場で多くの人に大雨災害を実感してもらおうと国土交通省・大隅河川国道事務所が設置したのが大雨体験装置「ふるぞー君」です。
多くの市民が大雨を体験していました。
●体験した市民
「子供を抱いているとしんどいなと思いました」
「大雨が降ったら、とても怖いと思いました」
「こんな雨がきたら大変だと思いました」
私たちも体験してみました。
まずは1時間に50ミリ、天気予報で「非常に激しい雨」と表現される雨です。
●気象予報士・渡司陵太
傘に重みを感じますね。
●鹿児島大学・井村隆介准教授
これぐらいの雨になると、外に出るのが嫌になるような雨ですね。
次に1時間に80ミリ
大雨による浸水や土砂災害が起きやすくなる雨量です。
●気象予報士・渡司陵太
猛烈な雨ですね。
●鹿児島大学・井村隆介准教授
お互いの会話を聞き取るのが難しいような状態ですね。
最後は国内で過去に記録されたことがある1時間雨量180ミリ
半月分の雨がわずか1時間で降ってしまうような雨です。
●気象予報士・渡司陵太
見通しが悪くなるくらいの雨ですね。
●鹿児島大学・井村隆介准教授
恐怖を感じるような雨だと思います。
●気象予報士・渡司陵太
怖いですね。
大雨によってもたらされる危険は、土砂災害や洪水だけではありません。
遮られる視界と音。そして、圧迫感…
空から落ちてくる雨そのものが、危険な状態を作っていることがわかります。
●気象予報士・渡司陵太
会話もままならないという状態でしたね。
●鹿児島大学・井村隆介准教授
隣の人に声をかけるのも難しいような状態でした。
●鹿児島大学・井村隆介准教授
これが夜だったり、風が吹いていると、もっと聞き取れなくなるわけですから、そう考えると、早め早めの避難が大事だということが本当によくわかると思います。
土石流はどんなもの?
祭りの会場には、土石流の実験装置もありました。
土石流はどう起きるのか、どういう対策ができるのか学ぶことができます。
模型では山から流れる川の下流に町があります。
●鹿児島大学・井村隆介准教授
上流部で土砂崩れが発生するとどうなるのか?
●鹿児島大学・井村隆介准教授
土砂崩れが発生すると、一気に土砂が流れてきてしまうわけです。
●鹿児島大学・井村隆介准教授
平坦になるあたりで、一気に広がって、すべての所がやられてしまった。
●鹿児島大学・井村隆介准教授
もしここに住んでいたら、命を落とすことになってしまいます。
●鹿児島大学・井村隆介准教授
雨だけではなく、土砂が一緒に流れてくるんだ。土石流とはそいうものだと知っておいていただければと思います。
一方、もうひとつの模型では、川に砂防ダムがあり…
川幅が広く、まっすぐに整備されています。
土石流が発生すると、町が巻き込まれずに済みました。
ただ、こうしたダムがあるからと、安心してはいけないと井村准教授は指摘します。
●鹿児島大学・井村隆介准教授
これもすべての状況に、対応できるわけではないです。
●鹿児島大学・井村隆介准教授
崩れる規模がさらに大きくなったり、あるいは何回も(土石流が)やってきたりすると今の施設では間に合わないということもありますので、施設があるから「安心」「逃げなくていい」と思わないでいただきたいです。
大雨体験に土石流の模型実験。
見て、体験して、知っておいて、いざというときにかけがえのない命を落とさないよう備えておきたいものです。
(2019年11月6日 放送)