過去の台風からマナブ
鹿児島大学の井村隆介 准教授とともに防災に関するさまざまな知識を深める「井村 隆介准教授の防災をマナブ」です。
今回は過去に県内に影響を及ぼした台風からその備えを考えます。
(2020年9月3日 放送)
※動画および写真記事でご覧いただけます
【動画】
テーマは『過去の台風からマナブ』
●気象予報士・渡司陵太
今回の防災をマナブは『過去の台風からマナブ』がテーマです。
●鹿児島大学・井村隆介 准教授
9月に入って大きな台風がいくつもやってくる季節になりました。
●鹿児島大学・井村隆介 准教授
きょうは鹿児島県で過去に大きな被害を出した台風から、これからの台風災害について学びたいと思います。
家は安全でない… 沖永良部台風(1977年)
●気象予報士・渡司陵太
今回は過去の3つの台風から学びます。
1つめは1977年の沖永良部台風です。
●気象予報士・渡司陵太
この台風は奄美地方・沖永良部を通過した台風で、日本の最低気圧の記録 907.3hPaが観測されました。
43年前の沖永良部台風
風速60.4m/sの突風が吹き荒れ…
島の半分にあたるおよそ2900棟が損壊する被害が出ました。
●鹿児島大学・井村隆介 准教授
家の中にいても、家ごと飛ばされてしまうようなことが風速60m/sを超えると起こる、とんでもない台風だったということを知ってもらえるといいと思います。
●鹿児島大学・井村隆介 准教授
台風の場合はいきなりやってくるわけではなくて、予報があるわけですよね。
●鹿児島大学・井村隆介 准教授
そういうことを考えると、強い風が吹く前に、頑丈な鉄筋の避難所に避難することが大事になります。
大雨で多くの死者が… 枕崎台風(1945年)
●気象予報士・渡司陵太
続いての台風は枕崎台風です。
1945年9月、戦後まもなくやってきた台風です。
●気象予報士・渡司陵太
この台風は沖縄・奄美を通過し、枕崎に上陸しました。気圧は枕崎で916hPa、最大瞬間風速は62.7m/sが観測されました。
全国で死者・行方不明者3756人の大きな被害が出た台風でした。
●気象予報士・渡司陵太
当時の天気図が残っています。
枕崎に上陸した枕崎台風。そのあと広島県に向かっていったんですね。
●鹿児島大学・井村隆介 准教授
このときには上陸時の気圧も低くて風が強かったというのもあるんですけど、猛烈な雨も伴った。
●鹿児島大学・井村隆介 准教授
それによって鹿児島県内だけでなくて、広島県でも大きな土石流が起きて、たくさんの方が亡くなった台風です。
死者・行方不明者は県内で129人、広島は2000人以上、雨の被害が大きな台風でした。
●鹿児島大学・井村隆介 准教授
台風の場合は最接近した時が一番雨が強いわけではなく、中心から見て北や南など、いろんな所に雨雲がある。
●鹿児島大学・井村隆介 准教授
雨と風の強い時間がずれることもありますので、最新の情報を得て、風が強い時間はいつなのか、雨が強い時間はいつなのかを確かめて、避難にいかしていただきたいと思います。
鹿児島で平成最悪の被害… 1993年・台風13号
●気象予報士・渡司陵太
3つ目の台風は平成の時代にやってきた台風です。
1993年の台風13号です。
●気象予報士・渡司陵太
この台風は沖縄・奄美を通過し、薩摩半島に上陸しました。中心気圧は930hPa、最大瞬間風速は55.6m/sが観測されました。県内の死者33人を出した台風です。
8・6豪雨など大雨が多い年に直撃した台風13号
鹿児島市中心部は大雨で浸水
南さつま市では土石流で20人が犠牲となるなど、県内では平成最悪の被害が起きました。
●鹿児島大学・井村隆介 准教授
地域の方は避難されていたんですけど、そこを土石流が襲って、たくさんの方が亡くなることが起こってしまった。
●鹿児島大学・井村隆介 准教授
台風の雲というのは大量の雨を降らせますので、被害が大きくなる。
『暴風雨になってから避難』では間に合わない
●鹿児島大学・井村隆介 准教授
過去の台風でどんなことが起こったのか?
風もありますし、雨もあります。
●鹿児島大学・井村隆介 准教授
家ごと飛ばされるような台風が鹿児島に来たんだよというのをきちんと知ることが大事だと思います。
●鹿児島大学・井村隆介 准教授
台風は天気予報で事前に来る時間がおおよそわかるわけです。
猛烈な風を伴いますので、そうなってから避難は間に合わないです。
●鹿児島大学・井村隆介 准教授
(台風が)予想された時は、早めの行動を心がけていただきたい。
(2020年9月3日 放送)