生後5カ月の事故で脳障害…2時間おきの介護が続く「医療的ケア児」10歳と家族の現実
2026年9月10日(木) 15:00

柿内瑛斗くんと母親の祥子さん
お気に入りのぬいぐるみに囲まれてベッドに横になる少年がいる。鹿児島市に住む柿内瑛斗くん、10歳。母の祥子さん(47)が瑛斗くんのたんを吸引する手つきは、慣れたものだ。だが、その日常の裏には、眠れない夜が積み重なっている。
生後5カ月で一変した家族の日常

脳に障害を負った瑛斗くん
2016年8月14日、柿内家の第二子として元気いっぱいに生まれた瑛斗くん。転機は、生後5カ月を過ぎた頃に訪れた。祥子さんが入浴中、瑛斗くんの首がおむつかごに引っかかる事故が起き、脳に障害を負った。
「奈落の底ってこういうことなのかな。本当に暗闇のトンネルの中にずっといて、まっすぐ歩くこともできないぐらい」と祥子さんは当時を振り返る。「本当にかわいい盛りの時期で、お姉ちゃんの顔を見たらケラケラと笑う子だったので、声が出なくなったことが一番ショックでした」
この出来事を境に、柿内家の日常は一変した。
眠れない夜、2時間おきの介護

夜間 2時間おきに瑛斗くんの体位を変える祥子さん
瑛斗くんは、日常生活を送るために24時間の医療的ケアが必要とされる「医療的ケア児」だ。ベッドのそばには酸素飽和度や心拍数を測る機械が並ぶ。異常を知らせるためのものである。
食事の準備も一般家庭とは異なる。おかゆやひじきなど栄養を考慮した食材を祥子さんがブレンダーで細かく砕き、飲み込みが難しい瑛斗くんのおなかに設けた管を通じて摂取させる。
夜も休む間はない。この日、午後10時に就寝した祥子さんは、2時間後には瑛斗くんのそばへ向かった。たんの吸引に加え、自分では動けない瑛斗くんの体の向きを変える「体位交換」を行う。特定部位への圧迫を防ぐためのケアで、これが夜通し2時間おきに続く。
たんの吸引は、8歳の弟・琳斗くんが手伝うこともある。「私たちが眼鏡をかけるのと同じように息子には吸引が必要。弟がやってあげるというのは、生活の上で自然なことかな」と祥子さんは話す。両親、姉、弟、家族全員で瑛斗くんを支えている。
孤立しないために――訪問看護師との絆

里園さんと祥子さん
週に1回の訪問看護と、週5回の通所福祉サービスが、祥子さんが仕事や子どもたちの学校行事に関わる時間を生み出している。瑛斗くんが3歳の頃から柿内家を訪れている看護師の里園和代さんは、入浴介護のサポートも担う。
「ママが社会から孤立しないこと」と里園さんは医療的ケア児の課題を語る。「外に出られない、出る時間が限られてくるので。その中でママが(疲れていないか)心配」
祥子さんにとって、里園さんの存在は特別だ。「経済的にすごく困窮した時期があって、泣きながら話をした。どうしようもないけど話を聞いてくれるんですよ。家族以上に家族だと私は思っている」
ただし、医療的ケア児に対応できる福祉事業所は少なく、見つけるまでに苦労したという。

















































































































