統合と独自性の10年 鹿児島銀行×肥後銀行 九州FGが紡いだ地域の絆と次の挑戦
2025年10月25日(土) 07:00
熊本地震、コロナ 逆風を乗り越え過去最高益に

九州FG・笠原慶久社長(肥後銀行頭取)
だがグループの船出は必ずしも順調ではなかった。設立翌年の2016年に熊本地震が発生し、その後もコロナ禍と逆風にさらされた。
熊本地震の際、鹿児島銀行から受けた物資や人員の応援について肥後銀行・笠原頭取は、「私たちだけでは難しかった。経営統合して良かったと感じた。これで両行の絆が深まった」と振り返る。
両行行員の人材交流は、出向や研修など10年間で約1700人にのぼっている。さらにコロナ禍を乗り越えたあと、2024年の金利引き上げなどで業績は上昇。両行単体の2025年3月期決算は過去最高益となり、2026年3月期決算も最高益を更新する見通しだ。
大きな成果あった10年 これからの10年に向けた挑戦は
バードウイング・鳥丸代表は、「かつての銀行は企業経営を後追いしていけばそれで良かった。これからの時代はむしろ地域をリードしていく、地場産業をサポートするような事業展開(が必要)。穴が開いているところをちゃんと埋め込んでいく工夫が必要」と、地方銀行が果たすべき役割の変化について指摘する。
九州FGのこれまでの10年について、九州FG会長の鹿児島銀行・郡山頭取は「経営統合していなければ見えなかったことは実はすごくたくさんある。この10年の成果は大きかったと正直思う」と振り返った。そして「これから先の10年も経営統合したからできたことを発揮していきたい」を展望を語った。
しかし郡山頭取は「今のままで安泰とは思っていない」とも話す。グループが掲げる「統合と独自性」のうち、統合については2030年をめどにシステム統合を検討するなど、今後経費率を下げる効果が期待できそうだ。
一方「独自性」については、従来の銀行業に留まらない新たな地銀としての形を模索している。
「預金と貸し出しをしっかり地元でやってその力で地域の活性化につながる本業以外の事業に関与してやっていく。そこには地域の自治体や企業と連携してやっていく。相対的に地域で果たすべき役割がおのずと見えてくるのではないか」
鹿児島銀行、肥後銀行、両県のトップ銀行として地域と関わりながら地元経済をリードしていくことが今後さらに求められている。
















































































































