「米粉」を使ったアイスクリームが完成 砂糖不使用、グルテンフリーにも 鹿児島の研究施設が考案 新たなビジネスチャンスの可能性に注目
2025年10月10日(金) 10:30

米粉で作ったアイスクリームを試食
鹿児島県鹿屋市にある大隅加工技術研究センター。県が10年前に整備した施設で、鹿児島の農産物をさらに魅力的にしようと、加工技術の研究や、商品化の支援をしている。名前は堅苦しいが、センターの研究者が生み出した驚きのアイスクリームに“熱い”視線が集中している。
新技術!砂糖を使っていないのに甘いアイス

技術力で誕生した米粉のアイスクリーム
そのアイスクリーム、材料は米粉。しかも砂糖を使っていないのに、甘~いのだ。
この新技術を伝える講習会には、カフェや物産館などの関係者が集まった。参加者は「自社農園のイチゴやレモンを使ったジェラートを作っていますが、コメも育てていて、コメで何かできたらと話していたので、参加しました」「ジェラートをするということで、しっかり勉強して、今後に生かしたい」と語る。技術を習得しようとやる気満々だ。
ポイントは2つの酵素!米粉に含まれるでんぷんを糖に

「αーアミラーゼ」と「グルコアミラーゼ」
この日は米粉を使ったアイスクリームを作る実習も行われた。
砂糖を使わなくても甘くするポイントは「αーアミラーゼ」と「グルコアミラーゼ」という2つの酵素。水に溶かした米粉に2つの酵素を段階的に加え加熱すると、米粉に含まれるでんぷんが効率的に糖に変わる。
鍋にこれらの材料を入れ、へらで混ぜながら加熱していくと光沢のある真っ白い液体ができあがる。これは「ライスミルク」と呼ばれ、参加者は「ほんとですね、甘いですね」と驚いていた。
「コメを生かした新たなビジネスを推進したい」その思いに突き動かされ

山崎栄次さん
「米粉と酵素を混ぜる」この手法は、研究員の山崎栄次さんが完成させた。研究し始めた3年前はコメの価格高騰前で、県内の耕作地の約3割を占めるコメを生かした新たなビジネスを推進したいという思いがあった。
研究段階では酵素を入れるタイミングや加熱する最適な温度など、答えを見つけるまでに苦労がたくさんあったという。山崎さんは「100はやっていないが何十回とやって、周りの人に出来損ないのアイスクリームを食べさせ、イヤな顔をされながらやりました」と笑う。
「コメからこんなにおいしいのが!」健康的なイメージも

参加者「甘くておいしかった。コメの味はしなかった」
この「ライスミルク」をアイスクリームメーカーに入れて15分ほどすると、米粉のアイス、その名も「ライスクリーム」が完成した。
「ライスクリーム」を食べた参加者は「甘くておいしかった。コメの味はしなかった。コメからこんなにおいしいのができるとは思っていなかったので、すごく新鮮。」「もうびっくりです。健康的で罪悪感がないような気がします。」といった驚きの声があがった。