高齢化時代の解決策か?家庭用紙おむつを再びおむつにする鹿児島の挑戦
2025年11月22日(土) 06:54

紙おむつはゴミじゃない
鹿児島県大崎町と志布志市で、家庭から出た紙おむつを全てリサイクルする技術が完成した。これまで埋め立て処分されていた紙おむつが新たな資源として生まれ変わる過程と、それを活用した画期的な取り組みが進められている。
リサイクル先進地域で実現した新技術

ユニ・チャーム×自治体が実現した水平リサイクル
リサイクルが盛んな鹿児島県大崎町と志布志市の「そおリサイクルセンター」では、空き缶やペットボトルのリサイクルに加え、2025年3月、これまで埋め立て処分されていた紙おむつの完全リサイクルに成功した。
大手メーカー「ユニ・チャーム」の城戸勉上席執行役員によると、同社は15年前、紙おむつのリサイクル技術開発に着手した。その矢先、リサイクルに熱心な大崎町と志布志市からタッグを組みたいとオファーがあり、この画期的なプロジェクトが始動した。
「処分場を見ると紙おむつがたくさん増えているので、それを何とかしたいと彼らが思っているとき、当社は当社で紙おむつのリサイクルに取り組んでいたので『リサイクルできる』とリリースしたら、それを見た志布志市、大崎町の自治体の人から連絡をもらって『じゃあ、一緒にやりましょう』と」と城戸氏は経緯を説明する。
紙おむつリサイクルの技術的挑戦

最大の技術的課題は「いかにしてパルプを新品と同等の状態に戻すか」だった
これまで企業秘密が多かった工場を、特別に案内してもらった。
紙おむつは主に3つの素材からできている。パルプ、テープやビニールなどのプラスチック類、そして肌をさらさらに保つ高分子吸収材だ。リサイクル工程では、回収された紙おむつを細かく粉砕し、まずプラスチック類を取り出す。特殊な加工を経たプラスチック類は粒状になり、荷物を乗せるパレット、街なかのおむつ回収箱、そして回収袋の原料として再利用される。
パルプと高分子吸収材は遠心分離機で分離されるが、最大の技術的課題は「いかにしてパルプを新品と同等の状態に戻すか」だった。電解水など20種類以上の方法を試し、10年以上の歳月をかけてたどり着いた解決策が、強い酸化力を持つ「オゾン」を使った洗浄方法だった。
オゾン処理により、再生パルプは殺菌、脱臭、漂白され、木材からできたパルプより白いという。この再生パルプは再び紙おむつに、高分子吸収材は水分が取り出された後、ネコのトイレ用品に生まれ変わる。「紙おむつはゴミじゃない!こういう世の中にしていきたい」と城戸氏は熱意を語る。


















































































































