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ニュース・スポーツ

「はさみと友達になれた」難聴を乗り越え美容師を目指す19歳 人工内耳で音を感じながら夢を追う【鹿児島】

2026年6月5日(金) 12:55

鹿児島市の専門学校で真剣にパーマを練習するのは岩田桃佳さん、19歳。

岩田さんは難聴で、音のない世界に生まれました。

そんな彼女が抱いた夢は美容師になること。

壁にぶつかっても楽しみながら夢を追いかける挑戦の日々を見つめます。

ハサミの扱い方を学ぶ県美容専門学校の1年生。

その中の一人、岩田桃佳さん19歳です。

真剣な表情でハサミと向き合います。

岩田桃佳さん
「はさみと友達になれたような気がする」

笑顔で話す岩田さん、実は先天性難聴で音のない世界に生まれました。

難聴だと分かったのは生後1カ月の時。

父親の光昭さんは当時をこう振り返ります。

父・光昭さん
「ドアをドンッと強く閉めて反応見たり、くしゃみをして反応を見るが、全然反応がなくかったので、本当なんだなと。お父さんとお母さんの声を聞いてほしい、『パパ』『ママ』でもいいから呼びかけてほしい」

難聴の岩田さんを支えるのは「人工内耳」。

2歳の時に耳の奥に電極を埋め込む手術を受けました。

岩田さん
「ここにこれくらいの磁石の電極が入っている。それが脳につながって脳神経に言葉が響くみたいな」

病院での定期的な検査、そして、ろう学校での練習を重ね、人工内耳で聞こえる音と相手の口の動きで会話の内容をほとんど理解できるようになりました。

そんな岩田さんの小学校の卒業文集。

「美容師になっていますか?」

岩田さん
「小学生の時から髪をアレンジすることが好きで、友達にヘアアレンジしてあげた時の笑顔がうれしかった。これがきっかけで、美容師になりたいって」

2026年4月ー。

県美容専門学校に入学し、夢への一歩を踏み出しました。

岩田桃佳さん
「美容師に向かって頑張っていきたい」

Q.不安はないですか??
「今は不安よりも楽しみが大きいです」

入学から2週間、初めての実習です。

友達の髪の毛をまとめたり、くしでとかしたり、美容室で客を出迎えるための練習をします。

授業ではスマートフォンの音声認識アプリを使いながら、先生の言葉を聞き取ります。

そしてシャンプー。

「どうするんだっけ」

実習中にはこんな場面も。

講師
「じゃあ集合!」

トリートメントが手についたタイミングで先生に呼ばれ、アプリが使えない中で指導が行われました。

「(音だけで)7割くらいは分かるが、先生の話より動きを見て、まねしようという感じ。めっちゃ楽しかった。楽しみな授業はワインディング」

それから4日後、岩田さんが楽しみにしていたワインディングの授業です。

ワインディングとはパーマをかける際にロッドと呼ばれる筒状の道具を髪に巻きつける作業のことで、美容師の技術の中でも基礎とされるものです。

岩田さん
「(ロッドの)両端から髪がはみ出ないようにしっかり覆って巻くのが難しい。あっという間に時間が過ぎる」

楽しみながら日々前進する岩田さん。

教える先生も期待を口にします。

県美容専門学校の講師
「目の色が違う。『本当に好きなんだな』と」

ある日の午後。

授業が終わり多くの学生が帰る中、何やら準備を始める岩田さん。

ワインディングのコンクールに向けた自主練です。

黙々と練習を続ける岩田さんの手にはばんそうこうが。

岩田さん
「はさみで切りました」

コンクールで問われるのは、40分間の制限時間内に手順通りきれいに髪の毛を巻けるか。

岩田さんは約1時間半、一つ一つ手順を確認していました。

そしてやってきたコンクール当日。

これまでの2カ月間練習してきたことを思い出しながら、素早くかつ丁寧に一つ一つロッドを巻いていきます。

緊張しているのか、岩田さんの手が震え巻き直す場面も。

そして、40分間の競技が終了。

120人の学生の作品が並ぶ中、全体のバランスが良い約20の作品がピックアップされていきます。

その中に岩田さんの作品も!

残念ながら入賞とはなりませんでしたが、岩田さんの表情には充実感が漂っていました。

岩田さん
「やりきった。入賞できなくても時間内に全体を巻き終えたことがよかった。聴覚障害者が通いやすい美容室をつくりたいという思いを持っている。どんな客の期待にも応えられるような美容師になりたい」

音のない世界に生まれた岩田さんが踏み出した夢への大きな一歩。

でも、美容師への道のりはまだ始まったばかり。

岩田さんの挑戦はこれからも続きます。

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