個性際立つ「クラフトビール」 人気の輪 徐々に広まる 鹿児島県内の状況は?
2025年10月22日(水) 18:46
グラスに注がれるこちらは地域の小さな醸造所で作られるビール、「クラフトビール」です。
以前は「地ビール」と呼ばれることが多かったんですが、現在は「職人の技」などの意味合いを込めた「クラフトビール」という名称で定着しつつあります。
人気の輪も徐々に広がっているというクラフトビール、鹿児島県内の盛り上がりを取材しました。
来場客
「1、2、3、4、5、6杯目やね。フルーティーな感じで飲みやすい」
10月4日、にぎわいを見せていた鹿児島市、マルヤガーデンズの屋上。
開催されていたのは、県内外の醸造所のこだわりのクラフトビールを楽しめるイベントです。
その魅力を聞いてみると…
来場客
「いろんな種類があるので楽しめる」
イベントを主催 ドルフィンインダストリー・若松達彦さん
「大手にはない個性があるのでそれが魅力。ここ1、2年でブロワリー(醸造所)が増えて、小さいながらも自分で醸造所を持ちたいという人も増えている」
かつてビールの製造免許を取得するには、年間2000キロリットル以上の生産能力が必要でした。
酒造法の改正によって現在はこれが60キロリットルへと大幅に緩和。
ここ数年は県内でも広がりを見せ、国税庁のウェブサイトなどによりますと、県内で製造免許を取得した醸造所:ブルワリーの数は2025年8月までに16にのぼります。
そんな醸造所のひとつ、ムーンライズブルワリー天文館です。
オープン3年目の店内。
客席からガラス越しに見える醸造スペースで、醸造長の永田さんはお湯に投入した麦芽を慎重にかき混ぜていました。
ムーンライズ ブルワリー天文館・永田清悟醸造長
「いかにきれいな糖分を取ってあげるか、気にかけていますね」
こちらはオーナーの富岡さんです。
クラフトビール専門店を立ち上げたきっかけは、かつて留学先のアメリカで見かけた光景、そして天文館から人の流れがほぼ途絶えた「コロナ禍」だったと言います。
ムーンライズ ブルワリー天文館・富岡大作社長
「(アメリカで)街のバーに集まっておいしいエールビールを飲む何気ない日常。その光景が脳裏に焼き付いていて、コロナ禍になって1年半休業を余儀なくされて、店を閉じることも考えざるを得ない状況だったが、アメリカの田舎町にいた時の光景が出てきて、『クラフトビールに再起を賭けてみよう、天文館にもう一度活気を』と思ったのがきっかけ」
こちらのブルワリーでは開発した15点のクラフトビールの内、常時6点をサーバーに充填。
中には商品化から3年がたつ今も「完成形」を目指して改良が続くビールがあります。
富岡さん
「鹿児島の抹茶を使ったビールを作っていて、抹茶の緑色のビールを最終的に形として求めている」
その名は「流麗」。
黄金色のビールにいかにして抹茶の鮮やかな緑色を乗せるかー
試行錯誤が続いています。
Q.色味はいかがですか?
「きょうのは少し黄色みがかっていて、これを『緑』と表現するのはまだ難しいかと思いますね」
ここでしか作られないビール。
それはクラフトビールの存在意義でもあります。
唯一無二を目指す挑戦の先に、富岡さんが見ているものは…
富岡さん
「いつか自分たちが造ったビールが世界に出ていく夢を常々持っている」
小規模でもつくれる強みを生かし、県内では離島でのクラフトビール生産もさかんです。
鹿児島県薩摩川内市・下甑島。
こしきブリュワリーと名付けられたこちらの醸造所では、2025年7月にクラフトビールの生産が始まったばかりです。
Q.お湯を入れる前に指さし確認ですね
こしきブリュワリー・松田裕之さん
「あれをしないとすぐ(お湯を)こぼすんですよ。地域の消防団で『指さし確認は大事』と研修会であったのでこういう癖がつきました(笑)」
共同経営者の松田さんです。
両親が甑島出身の松田さんは、9年前にIターンで甑島に移り住み、地域おこし協力隊として活動してきました。
転機となったのは…
こしきブリュワリー・松田裕之さん
「友達にクラフトビールが好きな人がいて送ってくれて、それを飲んだらすごくおいしくて。『地方で何かやるならクラフトビールを作ったら?松田も作れるんじゃない?』と言われて、『確かにこれなら作りたい』とまったくの素人ながら『やってみようか!』」
松田さんの突破力と幅広い人脈で始まったブルワリーでは、地元・甑島の果実を使ったビールも作られています。
Q.これは何ですか?
「これは島のキノスというかんきつ類の皮ですね。ダイダイです。島にたくさんなっているが、酸っぱすぎて基本的に朽ちて捨てられるだけなので、商品に生かしたいなと前から思っていて」
こちらがキノスの皮を取り入れたクラフトビール、シトラリクエです。
柑橘系の香りが先に来て、その後から麦芽のコクが追いかけてきます。
松田さん
「活用されていない、いろんな(地元の)恵みをクラフトビールとして届けて、島の魅力を伝えるストーリーになる。(お客に)『自分の1杯』になれるようなものを提供できるよう目指して頑張る」
人の思い、そして地域の物語が込められた、個性際立つクラフトビールの世界。
作り手たちの熱意とともに、そのすそ野は県内でもさらに広がっていきそうです。
以前は「地ビール」と呼ばれることが多かったんですが、現在は「職人の技」などの意味合いを込めた「クラフトビール」という名称で定着しつつあります。
人気の輪も徐々に広がっているというクラフトビール、鹿児島県内の盛り上がりを取材しました。
来場客
「1、2、3、4、5、6杯目やね。フルーティーな感じで飲みやすい」
10月4日、にぎわいを見せていた鹿児島市、マルヤガーデンズの屋上。
開催されていたのは、県内外の醸造所のこだわりのクラフトビールを楽しめるイベントです。
その魅力を聞いてみると…
来場客
「いろんな種類があるので楽しめる」
イベントを主催 ドルフィンインダストリー・若松達彦さん
「大手にはない個性があるのでそれが魅力。ここ1、2年でブロワリー(醸造所)が増えて、小さいながらも自分で醸造所を持ちたいという人も増えている」
かつてビールの製造免許を取得するには、年間2000キロリットル以上の生産能力が必要でした。
酒造法の改正によって現在はこれが60キロリットルへと大幅に緩和。
ここ数年は県内でも広がりを見せ、国税庁のウェブサイトなどによりますと、県内で製造免許を取得した醸造所:ブルワリーの数は2025年8月までに16にのぼります。
そんな醸造所のひとつ、ムーンライズブルワリー天文館です。
オープン3年目の店内。
客席からガラス越しに見える醸造スペースで、醸造長の永田さんはお湯に投入した麦芽を慎重にかき混ぜていました。
ムーンライズ ブルワリー天文館・永田清悟醸造長
「いかにきれいな糖分を取ってあげるか、気にかけていますね」
こちらはオーナーの富岡さんです。
クラフトビール専門店を立ち上げたきっかけは、かつて留学先のアメリカで見かけた光景、そして天文館から人の流れがほぼ途絶えた「コロナ禍」だったと言います。
ムーンライズ ブルワリー天文館・富岡大作社長
「(アメリカで)街のバーに集まっておいしいエールビールを飲む何気ない日常。その光景が脳裏に焼き付いていて、コロナ禍になって1年半休業を余儀なくされて、店を閉じることも考えざるを得ない状況だったが、アメリカの田舎町にいた時の光景が出てきて、『クラフトビールに再起を賭けてみよう、天文館にもう一度活気を』と思ったのがきっかけ」
こちらのブルワリーでは開発した15点のクラフトビールの内、常時6点をサーバーに充填。
中には商品化から3年がたつ今も「完成形」を目指して改良が続くビールがあります。
富岡さん
「鹿児島の抹茶を使ったビールを作っていて、抹茶の緑色のビールを最終的に形として求めている」
その名は「流麗」。
黄金色のビールにいかにして抹茶の鮮やかな緑色を乗せるかー
試行錯誤が続いています。
Q.色味はいかがですか?
「きょうのは少し黄色みがかっていて、これを『緑』と表現するのはまだ難しいかと思いますね」
ここでしか作られないビール。
それはクラフトビールの存在意義でもあります。
唯一無二を目指す挑戦の先に、富岡さんが見ているものは…
富岡さん
「いつか自分たちが造ったビールが世界に出ていく夢を常々持っている」
小規模でもつくれる強みを生かし、県内では離島でのクラフトビール生産もさかんです。
鹿児島県薩摩川内市・下甑島。
こしきブリュワリーと名付けられたこちらの醸造所では、2025年7月にクラフトビールの生産が始まったばかりです。
Q.お湯を入れる前に指さし確認ですね
こしきブリュワリー・松田裕之さん
「あれをしないとすぐ(お湯を)こぼすんですよ。地域の消防団で『指さし確認は大事』と研修会であったのでこういう癖がつきました(笑)」
共同経営者の松田さんです。
両親が甑島出身の松田さんは、9年前にIターンで甑島に移り住み、地域おこし協力隊として活動してきました。
転機となったのは…
こしきブリュワリー・松田裕之さん
「友達にクラフトビールが好きな人がいて送ってくれて、それを飲んだらすごくおいしくて。『地方で何かやるならクラフトビールを作ったら?松田も作れるんじゃない?』と言われて、『確かにこれなら作りたい』とまったくの素人ながら『やってみようか!』」
松田さんの突破力と幅広い人脈で始まったブルワリーでは、地元・甑島の果実を使ったビールも作られています。
Q.これは何ですか?
「これは島のキノスというかんきつ類の皮ですね。ダイダイです。島にたくさんなっているが、酸っぱすぎて基本的に朽ちて捨てられるだけなので、商品に生かしたいなと前から思っていて」
こちらがキノスの皮を取り入れたクラフトビール、シトラリクエです。
柑橘系の香りが先に来て、その後から麦芽のコクが追いかけてきます。
松田さん
「活用されていない、いろんな(地元の)恵みをクラフトビールとして届けて、島の魅力を伝えるストーリーになる。(お客に)『自分の1杯』になれるようなものを提供できるよう目指して頑張る」
人の思い、そして地域の物語が込められた、個性際立つクラフトビールの世界。
作り手たちの熱意とともに、そのすそ野は県内でもさらに広がっていきそうです。