統合と独自性の10年 鹿児島銀行×肥後銀行 九州FGが紡いだ地域の絆と次の挑戦
2025年10月25日(土) 07:00

九州フィナンシャルグループ設立10年
鹿児島銀行と熊本・肥後銀行が経営統合し、九州フィナンシャルグループ(九州FG)が設立されてから2025年で10年。地方銀行の経営統合モデルとして。どのような道を歩んできたのか。人口減少による地域経済の縮小という課題に向き合う地方銀行の未来像を探る。
「統合と独自性」の両立

鹿児島銀行・郡山明久頭取(九州FG会長)
「鹿児島の方が肥後銀行を感じる必要はない。鹿児島のトップ銀行である鹿児島銀行を感じてくれればいいのではないか」
2025年10月7日に開かれた九州FGの定例会見で笠原慶久社長(肥後銀行頭取)はこう語った。2015年、鹿児島銀行と肥後銀行が経営統合に踏み切った背景には、地方の人口減少が進み、地域経済の縮小が見込まれる中で、銀行同士が手を組んで組織の体力を守ろうという狙いがあった。
銀行の再編には「合併」と「経営統合」の2つがある。「合併」では銀行名が変わったり一方がなくなったりするほか、支店の統廃合やシステムの統合が進められる。一方「経営統合」は、持ち株会社を設立し各銀行が子会社としてぶら下がる形。銀行名はそのまま残り、これまで通りの経営を続けることができる。九州FGは後者を選択した。
鹿児島銀行の郡山明久頭取(九州FG会長)は、「鹿銀(かぎん)」の名前を残した意義についてこう説明する。
「あえて肥後銀、鹿銀のブランドで営業していることは、地域の金融機関ですよと。あまり『変わったな』『鹿銀は県内企業に冷たくなった』ということが絶対にないようにしなきゃいけない」
専門家「九州FGは健全なうちに経営統合という珍しいパターン」

九州は全国に先駆けて銀行の再編が活発な地域だ
九州は全国に先駆けて銀行の再編が活発な地域だ。最大手のふくおかフィナンシャルグループは2007年設立。地方銀行の福岡銀行と十八親和銀行(長崎)、熊本銀行、福岡中央銀行が傘下に入っている。2016年設立の西日本フィナンシャルホールディングスは、西日本シティ銀行(福岡)、長崎銀行がグループ傘下で市場規模の拡大を図っている。
九州フィナンシャルグループは九州の持ち株会社としては総資産ベースで3番目の規模だ。わかりやすく言えば、経営的に困っていない県内トップ銀行同士が無理のない範囲で、自然体でタッグを組んだといえる。
九州の経済に詳しいシンクタンク、バードウイングの鳥丸聡代表は「とても珍しい形で全国で先べんをつけたといえる。健全なうちに経営統合しておくという当時としてはとても珍しいパターンだった」と評価する。
















































































































