2018年の鹿児島・日置市男女5人殺害事件 高裁宮崎支部も岩倉被告に死刑
2025年3月13日(木) 18:56
事件から7年。
鹿児島地裁で死刑判決を受けた男に13日、控訴審の判決が下されました。
2018年、鹿児島県日置市の住宅で、父親や祖母ら5人を殺害したとして、殺人などの罪に問われている岩倉知広被告に、福岡高裁宮崎支部は事件当時の被告の刑事責任能力を認めた上で控訴を棄却し、死刑判決を支持しました。
池田政昭記者
「午後0時50分、岩倉被告を乗せたとみられる車が裁判所に到着しました。まもなく判決が言い渡されます」
13日午後、死刑をめぐる注目の裁判が福岡高裁宮崎支部で開かれました。
殺人と死体遺棄の罪に問われている岩倉知広被告。
2018年に日置市東市来町湯田の住宅で祖母の久子さん、父親の正知さんの首を絞め、遺体を近くの山中に遺棄したほか、2人の安否確認に訪れた伯母の孝子さん、その姉の坂口訓子さん、そして、岩倉被告と同じアパートに住んでいた後藤広幸さんも次々と殺害しました。
2020年に鹿児島地裁が岩倉被告に言い渡したのは死刑。
被告の精神障害が事件に与えた影響は軽微として、争点になっていた岩倉被告の責任能力を認める判断でした。
これを不服として控訴した岩倉被告。
死刑判決から4年後の2024年10月、福岡高裁宮崎支部で控訴審が始まりました。
検察側、弁護側は一審に引き続き、刑事責任能力の有無を争いました。
新たな証拠として採用されたのは、死刑判決後に行われた新たな精神鑑定の結果で、鑑定を行った医師は法廷でこう証言しました。
「被告は事件当時、統合失調症であり、犯行ごとに程度の差はあるが、妄想によって現実的な考えと病的な考えを明確に切り分けることが極めて困難な状況だった」
弁護側はこの証言などをもとに「被告は精神障害の影響により心神耗弱状態にあったため、完全責任能力は無かった」と主張。
一審の死刑判決を破棄するよう求めます。
一方、検察側は「新たな鑑定結果でも妄想の影響は部分的で、一審の判決に矛盾するものではない」として、控訴の棄却を主張しました。
そして迎えた13日の判決公判。
法廷に現れた岩倉被告は、周りを確認するように視線を動かしながら、被告席へ着席します。
午後1時半、岩倉被告に対し、平島正道裁判長が判決を言い渡しました。
「主文、本件控訴を棄却する」
平島裁判長は新たな精神鑑定の結果について「鑑定人は、岩倉被告が妄想で常に行動が支配されている状態にあったとまでは述べていない」とした上で「犯行への妄想の影響は大きくない」と、完全責任能力を認めました。
その上で「特に落ち度のない5人の命を奪った結果は極めて重大で、死刑を宣告した一審判決はやむを得ない」と死刑判決を支持しました。
判決を受けた岩倉被告は、裁判長を見つめていた目を次第に下に向け、激しく瞬きを繰り返しながら、うつろな表情を浮かべていました。
弁護士によりますと、岩倉被告は判決を不服として、13日上告し、判断は最高裁に委ねられます。
鹿児島地裁で死刑判決を受けた男に13日、控訴審の判決が下されました。
2018年、鹿児島県日置市の住宅で、父親や祖母ら5人を殺害したとして、殺人などの罪に問われている岩倉知広被告に、福岡高裁宮崎支部は事件当時の被告の刑事責任能力を認めた上で控訴を棄却し、死刑判決を支持しました。
池田政昭記者
「午後0時50分、岩倉被告を乗せたとみられる車が裁判所に到着しました。まもなく判決が言い渡されます」
13日午後、死刑をめぐる注目の裁判が福岡高裁宮崎支部で開かれました。
殺人と死体遺棄の罪に問われている岩倉知広被告。
2018年に日置市東市来町湯田の住宅で祖母の久子さん、父親の正知さんの首を絞め、遺体を近くの山中に遺棄したほか、2人の安否確認に訪れた伯母の孝子さん、その姉の坂口訓子さん、そして、岩倉被告と同じアパートに住んでいた後藤広幸さんも次々と殺害しました。
2020年に鹿児島地裁が岩倉被告に言い渡したのは死刑。
被告の精神障害が事件に与えた影響は軽微として、争点になっていた岩倉被告の責任能力を認める判断でした。
これを不服として控訴した岩倉被告。
死刑判決から4年後の2024年10月、福岡高裁宮崎支部で控訴審が始まりました。
検察側、弁護側は一審に引き続き、刑事責任能力の有無を争いました。
新たな証拠として採用されたのは、死刑判決後に行われた新たな精神鑑定の結果で、鑑定を行った医師は法廷でこう証言しました。
「被告は事件当時、統合失調症であり、犯行ごとに程度の差はあるが、妄想によって現実的な考えと病的な考えを明確に切り分けることが極めて困難な状況だった」
弁護側はこの証言などをもとに「被告は精神障害の影響により心神耗弱状態にあったため、完全責任能力は無かった」と主張。
一審の死刑判決を破棄するよう求めます。
一方、検察側は「新たな鑑定結果でも妄想の影響は部分的で、一審の判決に矛盾するものではない」として、控訴の棄却を主張しました。
そして迎えた13日の判決公判。
法廷に現れた岩倉被告は、周りを確認するように視線を動かしながら、被告席へ着席します。
午後1時半、岩倉被告に対し、平島正道裁判長が判決を言い渡しました。
「主文、本件控訴を棄却する」
平島裁判長は新たな精神鑑定の結果について「鑑定人は、岩倉被告が妄想で常に行動が支配されている状態にあったとまでは述べていない」とした上で「犯行への妄想の影響は大きくない」と、完全責任能力を認めました。
その上で「特に落ち度のない5人の命を奪った結果は極めて重大で、死刑を宣告した一審判決はやむを得ない」と死刑判決を支持しました。
判決を受けた岩倉被告は、裁判長を見つめていた目を次第に下に向け、激しく瞬きを繰り返しながら、うつろな表情を浮かべていました。
弁護士によりますと、岩倉被告は判決を不服として、13日上告し、判断は最高裁に委ねられます。