イノシシ被害が相次ぐ・・ 高齢化する猟友会が”新たなわな”を開発 鹿児島
2024年11月14日(木) 18:20
10月、鹿児島市で高齢女性がイノシシに襲われてけがをするなど、今、全国で人間の生活圏でのイノシシ被害や目撃情報が相次いでいます。
この事態を専門家はどう見ているのか?
そして鹿屋市では、“高齢化”に直面する猟友会がイノシシの学習能力を利用した、新たな“わな”を開発しました。
イノシシをめぐる県内の状況を取材しました。
10月14日、鹿児島市で散歩中の高齢女性がイノシシに襲われ、けがをしました。
また福岡県の中学校では…
何と校内にイノシシが侵入。
今、全国的にイノシシの目撃情報や被害が相次いでいます。
そもそも県内ではどれほどのイノシシが生息しているのか?
県によると近年、イノシシの推定個体数は減少傾向にあるものの、農作物への被害は深刻です。
野生の鳥獣による農作物の被害額を見てみると、イノシシが最も多く、全体の6割を占め、被害額は1億7000万円以上。
国は、イノシシによる農業被害額の半減を目指しています。
なぜ人とイノシシの“距離”が縮まってしまったのか?
動物行動学が専門の鹿児島大学の高山耕二准教授です。
鹿児島大学・高山耕二准教授
「決して山にエサがないというわけではなく、少しずつ農業を営む方が減っている中、農地が荒れてしまったりすることで、徐々に彼ら(イノシシ)が人里に下りてきている。エサを探してみると、おいしいものが見つかって、一度味を覚えてしまったことで、繰り返し出てくるようになってきている」
Q.イノシシに遭遇した時の対処法は?
高山准教授
「イノシシが人を積極的に襲うことはないと考えたらいい。彼らも怖い。大きな声を出したり、スマホで写真を撮るなど、逆に刺激しないように、むしろ静かにゆっくり後ずさりするような感じで、近くに電柱があればその裏に隠れる、ちょっと高いところがあればそこに登る」
それでは、イノシシを捕獲する現場は今どうなっているのか、鹿屋市を訪れました。
大隅地方では、県内でも特に多くのイノシシが生息しています。
鹿屋市を中心にイノシシ駆除を行っている鹿屋南部猟友会会長の岩松和近さん(72)、会員の宮地克郎さん(81)、会員の岩松文男さん(76)です。
メンバー約30人の平均年齢は65歳以上で「高齢化」が進み、猟をする際の負担が大きくなってきています。
そこで鹿屋南部猟友会はこの夏、イノシシの学習能力を利用した新たな“わな”を完成させました。
井上彩香アナウンサー
「これが?」
鹿屋南部猟友会・岩松和近会長
「囲いわな」
井上
「わなにしては大きいですね」
岩松和近会長
「この広さで大体20m四方ある。地上に3m、地下に1m埋設している」
周りには、土を掘った跡やイノシシの通り道が至る所にありました。
もともと耕作放棄地だった場所で、2024年4月から整備を始め、7月に「囲いわな」を完成させました。
鹿屋南部猟友会・岩松文男さん
「思っててもこれだけの設備を作るのは難しい」
囲いの中には農協に提供してもらったイノシシの好物、さつまいもがぎっしり。
岩松和近会長
「これを食べさせて一網打尽に(捕獲)しようかと」
こちらは2024年8月、「囲いわな」に設置したカメラの映像。
10頭以上のイノシシが映っています。
2025年4月からの本格稼働を前に、この場所に「美味しいもの」があることをイノシシに学習させるため、入り口に大量のサツマイモを設置。
それを夢中で食べていました。
岩松和近会長
「鉄砲は(使用できるのは)日の出から日没まで。これだったら24時間、間口を開けとけば入ってくるんじゃないかと。3年ぐらい前からずっと計画して、ようやく2024年の7月に完成した。(メンバーの)平均年齢も高いし、どうしても(狩猟だと)負担がかかる」
鹿屋南部猟友会・宮地克郎さん
「若い頃は(猟銃を)重いと感じなかったんですけど、年を取ってくるとやっぱり重く感じる」
県内でピーク時に17000人以上いた狩猟をする人が、高齢化や猟銃所持規制の厳格化に伴い、今では5分の1ほどになっています。
それでも…
岩松和近会長
「農業を主としている人たちは少しでも個体を減らして欲しい。自分の生活がかかってますから。大変なんですけど、農家さんの気持ちになって駆除する」
鹿児島の今後の対策の見通しを高山准教授はこう話します。
高山准教授
「電気柵、金網柵、ネット柵など、いろいろ資材は販売されています。それだけだと不十分なところがあるので捕獲。荒れた農地を出来るだけ減らしていく。3つの取り組みがうまくリンク、つながる形で対処していく必要がある」
この事態を専門家はどう見ているのか?
そして鹿屋市では、“高齢化”に直面する猟友会がイノシシの学習能力を利用した、新たな“わな”を開発しました。
イノシシをめぐる県内の状況を取材しました。
10月14日、鹿児島市で散歩中の高齢女性がイノシシに襲われ、けがをしました。
また福岡県の中学校では…
何と校内にイノシシが侵入。
今、全国的にイノシシの目撃情報や被害が相次いでいます。
そもそも県内ではどれほどのイノシシが生息しているのか?
県によると近年、イノシシの推定個体数は減少傾向にあるものの、農作物への被害は深刻です。
野生の鳥獣による農作物の被害額を見てみると、イノシシが最も多く、全体の6割を占め、被害額は1億7000万円以上。
国は、イノシシによる農業被害額の半減を目指しています。
なぜ人とイノシシの“距離”が縮まってしまったのか?
動物行動学が専門の鹿児島大学の高山耕二准教授です。
鹿児島大学・高山耕二准教授
「決して山にエサがないというわけではなく、少しずつ農業を営む方が減っている中、農地が荒れてしまったりすることで、徐々に彼ら(イノシシ)が人里に下りてきている。エサを探してみると、おいしいものが見つかって、一度味を覚えてしまったことで、繰り返し出てくるようになってきている」
Q.イノシシに遭遇した時の対処法は?
高山准教授
「イノシシが人を積極的に襲うことはないと考えたらいい。彼らも怖い。大きな声を出したり、スマホで写真を撮るなど、逆に刺激しないように、むしろ静かにゆっくり後ずさりするような感じで、近くに電柱があればその裏に隠れる、ちょっと高いところがあればそこに登る」
それでは、イノシシを捕獲する現場は今どうなっているのか、鹿屋市を訪れました。
大隅地方では、県内でも特に多くのイノシシが生息しています。
鹿屋市を中心にイノシシ駆除を行っている鹿屋南部猟友会会長の岩松和近さん(72)、会員の宮地克郎さん(81)、会員の岩松文男さん(76)です。
メンバー約30人の平均年齢は65歳以上で「高齢化」が進み、猟をする際の負担が大きくなってきています。
そこで鹿屋南部猟友会はこの夏、イノシシの学習能力を利用した新たな“わな”を完成させました。
井上彩香アナウンサー
「これが?」
鹿屋南部猟友会・岩松和近会長
「囲いわな」
井上
「わなにしては大きいですね」
岩松和近会長
「この広さで大体20m四方ある。地上に3m、地下に1m埋設している」
周りには、土を掘った跡やイノシシの通り道が至る所にありました。
もともと耕作放棄地だった場所で、2024年4月から整備を始め、7月に「囲いわな」を完成させました。
鹿屋南部猟友会・岩松文男さん
「思っててもこれだけの設備を作るのは難しい」
囲いの中には農協に提供してもらったイノシシの好物、さつまいもがぎっしり。
岩松和近会長
「これを食べさせて一網打尽に(捕獲)しようかと」
こちらは2024年8月、「囲いわな」に設置したカメラの映像。
10頭以上のイノシシが映っています。
2025年4月からの本格稼働を前に、この場所に「美味しいもの」があることをイノシシに学習させるため、入り口に大量のサツマイモを設置。
それを夢中で食べていました。
岩松和近会長
「鉄砲は(使用できるのは)日の出から日没まで。これだったら24時間、間口を開けとけば入ってくるんじゃないかと。3年ぐらい前からずっと計画して、ようやく2024年の7月に完成した。(メンバーの)平均年齢も高いし、どうしても(狩猟だと)負担がかかる」
鹿屋南部猟友会・宮地克郎さん
「若い頃は(猟銃を)重いと感じなかったんですけど、年を取ってくるとやっぱり重く感じる」
県内でピーク時に17000人以上いた狩猟をする人が、高齢化や猟銃所持規制の厳格化に伴い、今では5分の1ほどになっています。
それでも…
岩松和近会長
「農業を主としている人たちは少しでも個体を減らして欲しい。自分の生活がかかってますから。大変なんですけど、農家さんの気持ちになって駆除する」
鹿児島の今後の対策の見通しを高山准教授はこう話します。
高山准教授
「電気柵、金網柵、ネット柵など、いろいろ資材は販売されています。それだけだと不十分なところがあるので捕獲。荒れた農地を出来るだけ減らしていく。3つの取り組みがうまくリンク、つながる形で対処していく必要がある」