鹿児島県内でも進む部活動改革 地域移行の取り組み例と見えてきた今後の課題を考える
2024年2月15日(木) 12:20
少子化や教員の働き方の改善のため、鹿児島県内の中学校でも部活動改革が進んでいます。
学校の顧問に代わって外部の指導員が参加するケースや、運営の主体を学校から地域のスポーツクラブに移行するケースも。
地域の実情に合わせて進む取り組みを通してこれからの“部活動の姿”を考えます。
鹿児島県薩摩川内市の樋脇中学校。サッカー部の練習を熱心に指導しているのは顧問ではなく、会社員の久保譲さんです。
元々息子さんが樋脇中のサッカー部に所属していて、自身もサッカー経験があることから練習に関わるようになり、2023年4月から正式に地域指導員として土日の指導を一任されています。
樋脇中サッカー部 地域指導員・久保譲さん
「(練習は)楽しみでしかない。買い物に行くとかドライブをするとか休日の過ごし方であると思うが、その一環。サッカーを好きでいてくれたらいいなという思いがあるので、楽しく(やっている)」
樋脇中の顧問の教員は、サッカー未経験のため平日の練習メニューの作成も久保さんが担っているそうです。
樋脇中サッカー部・鮫島健太キャプテン
「土日は(練習)時間が長いので、平日より内容のある練習を計画してくれてありがたい」
県内の中学校でも進む部活動改革。背景には少子化による部員不足で活動が続けられなくなる可能性や教員の働き方の改善があります。
県内では2021年度から薩摩川内市と与論町で、部活動の活動主体を学校から地域クラブに代替させるという地域移行の実証事業が始まり2023年度は4市2町に拡大しました。
薩摩川内市では樋脇中を含め、3つの中学校の部活動で地元のスポーツクラブが土日の運営を担っています。
入来中学校の野球部もその1つ。
指導員を務めるのは、63歳の桑畑明斎さん。生徒に明るく声をかけながら、練習に励んでいます。
入来中野球部 地域指導員・桑畑明斎さん
「たまには土日ゆっくりしたいなという思いも半分ありながら、行くと元気をもらう。子供たちの笑顔に自分も元気をもらい支えられている」
選手から「明るくてチームの要」と言われて照れる桑畑さん。実は中学校の教員でした。引退後も「地域のおじいちゃん」的存在として子供たちに関わり続けています。
入来中野球部・園山大雅キャプテン
「人が失敗しても責めるんじゃなくて、笑わせてくれて練習が楽しい」
島に中学校が1つしかない与論町では、地域の人も積極的に参加し文化部の地域移行も進むなど地域の実情に応じて行われている部活動改革。
変わったのは指導者だけではありません。
南さつま市にある坊津学園の道場で練習をしているのは、小・中学生16人が所属する柔道クラブです。
地域移行に伴い中学校の柔道部と小学校のスポーツ少年団が合同となり、「地域クラブ」として結成。南薩地域の5校から生徒・児童が通っています。
キャプテンの大工園佑柔さんは、枕崎中学校の2年生。
坊津学園柔道クラブ・枕崎中2年 大工園佑柔さん
「枕崎中には柔道部がなかった。実践や段取りを多くしていそうだったのでここ(のクラブ)に来ようと思った」
大工園さんの母親
「(これまでは)個人戦しか出られなかった。クラブ移行になってからは坊津学園柔道クラブとして活動ができるようになって団体戦に出られるようになったので、すごくよかった」
この地域移行を受け2023年度からは大会のルール改正も行われ、部活動が学校になくても条件を満たす地域クラブに所属していれば、大会に出場できるようになったのです。
地域指導員の下村蔵多さんは「子供たちの選択肢が広がった」と、この制度をプラスに捉えています。
坊津学園柔道クラブ 地域指導員・下村蔵多さん
「子どもが『あそこで柔道がしたい』、『あそこでスポーツをしたい』というのを選べるようになった。うちの道場を選んで学校外の子供たちが来るので、そこの責任とやりがいをすごく感じながらやっている」
さらには教員の働き方の改善にも一役買っています。
息子と共に練習に参加する母親。同じ南さつま市の加世田中学校の教員ですが、自身が顧問を務める陸上部も地域移行さ、れ土日が休めるようになりました。
保護者(中学校教員)・永田美帆さん
「これまでは自分の子は放って部活に行かないといけなかったけど、地域移行になったことで我が子の部活も見られるのでありがたい」
部活動の地域移行を好意的に捉える関係者が多い中、今後課題となるのは指導者の確保です。
鹿児島県教育委員会・徳田清信 保健体育課長
「人材の確保だったり、活用だったり、クラブも専門的な指導員をそろえるとなると、それなりの人件費もかかるので、課題として検討」
いまは国の助成がある取り組みですが、数年後には人件費を賄うための保護者負担も見据える必要があります。
鹿児島県教育委員会・徳田清信 保健体育課長
「単なる受け皿ではなくて、子供たちが地域で活動して、子ども自体が地域・保護者の力を入れながら育っていくことで、地域の活性化にもつながるのではないか」
当たり前のように学校が担ってきた部活動という「学びの場」をどう守るのか?
今後、地域や保護者も「当事者意識」をもって考えていく必要がありそうです。
学校の顧問に代わって外部の指導員が参加するケースや、運営の主体を学校から地域のスポーツクラブに移行するケースも。
地域の実情に合わせて進む取り組みを通してこれからの“部活動の姿”を考えます。
鹿児島県薩摩川内市の樋脇中学校。サッカー部の練習を熱心に指導しているのは顧問ではなく、会社員の久保譲さんです。
元々息子さんが樋脇中のサッカー部に所属していて、自身もサッカー経験があることから練習に関わるようになり、2023年4月から正式に地域指導員として土日の指導を一任されています。
樋脇中サッカー部 地域指導員・久保譲さん
「(練習は)楽しみでしかない。買い物に行くとかドライブをするとか休日の過ごし方であると思うが、その一環。サッカーを好きでいてくれたらいいなという思いがあるので、楽しく(やっている)」
樋脇中の顧問の教員は、サッカー未経験のため平日の練習メニューの作成も久保さんが担っているそうです。
樋脇中サッカー部・鮫島健太キャプテン
「土日は(練習)時間が長いので、平日より内容のある練習を計画してくれてありがたい」
県内の中学校でも進む部活動改革。背景には少子化による部員不足で活動が続けられなくなる可能性や教員の働き方の改善があります。
県内では2021年度から薩摩川内市と与論町で、部活動の活動主体を学校から地域クラブに代替させるという地域移行の実証事業が始まり2023年度は4市2町に拡大しました。
薩摩川内市では樋脇中を含め、3つの中学校の部活動で地元のスポーツクラブが土日の運営を担っています。
入来中学校の野球部もその1つ。
指導員を務めるのは、63歳の桑畑明斎さん。生徒に明るく声をかけながら、練習に励んでいます。
入来中野球部 地域指導員・桑畑明斎さん
「たまには土日ゆっくりしたいなという思いも半分ありながら、行くと元気をもらう。子供たちの笑顔に自分も元気をもらい支えられている」
選手から「明るくてチームの要」と言われて照れる桑畑さん。実は中学校の教員でした。引退後も「地域のおじいちゃん」的存在として子供たちに関わり続けています。
入来中野球部・園山大雅キャプテン
「人が失敗しても責めるんじゃなくて、笑わせてくれて練習が楽しい」
島に中学校が1つしかない与論町では、地域の人も積極的に参加し文化部の地域移行も進むなど地域の実情に応じて行われている部活動改革。
変わったのは指導者だけではありません。
南さつま市にある坊津学園の道場で練習をしているのは、小・中学生16人が所属する柔道クラブです。
地域移行に伴い中学校の柔道部と小学校のスポーツ少年団が合同となり、「地域クラブ」として結成。南薩地域の5校から生徒・児童が通っています。
キャプテンの大工園佑柔さんは、枕崎中学校の2年生。
坊津学園柔道クラブ・枕崎中2年 大工園佑柔さん
「枕崎中には柔道部がなかった。実践や段取りを多くしていそうだったのでここ(のクラブ)に来ようと思った」
大工園さんの母親
「(これまでは)個人戦しか出られなかった。クラブ移行になってからは坊津学園柔道クラブとして活動ができるようになって団体戦に出られるようになったので、すごくよかった」
この地域移行を受け2023年度からは大会のルール改正も行われ、部活動が学校になくても条件を満たす地域クラブに所属していれば、大会に出場できるようになったのです。
地域指導員の下村蔵多さんは「子供たちの選択肢が広がった」と、この制度をプラスに捉えています。
坊津学園柔道クラブ 地域指導員・下村蔵多さん
「子どもが『あそこで柔道がしたい』、『あそこでスポーツをしたい』というのを選べるようになった。うちの道場を選んで学校外の子供たちが来るので、そこの責任とやりがいをすごく感じながらやっている」
さらには教員の働き方の改善にも一役買っています。
息子と共に練習に参加する母親。同じ南さつま市の加世田中学校の教員ですが、自身が顧問を務める陸上部も地域移行さ、れ土日が休めるようになりました。
保護者(中学校教員)・永田美帆さん
「これまでは自分の子は放って部活に行かないといけなかったけど、地域移行になったことで我が子の部活も見られるのでありがたい」
部活動の地域移行を好意的に捉える関係者が多い中、今後課題となるのは指導者の確保です。
鹿児島県教育委員会・徳田清信 保健体育課長
「人材の確保だったり、活用だったり、クラブも専門的な指導員をそろえるとなると、それなりの人件費もかかるので、課題として検討」
いまは国の助成がある取り組みですが、数年後には人件費を賄うための保護者負担も見据える必要があります。
鹿児島県教育委員会・徳田清信 保健体育課長
「単なる受け皿ではなくて、子供たちが地域で活動して、子ども自体が地域・保護者の力を入れながら育っていくことで、地域の活性化にもつながるのではないか」
当たり前のように学校が担ってきた部活動という「学びの場」をどう守るのか?
今後、地域や保護者も「当事者意識」をもって考えていく必要がありそうです。