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神秘の島・屋久島

峨々とした稜線が魅力の黒味岳

去年の秋から冬にかけて、世界自然遺産登録から30年を迎えた屋久島を取材しました。
大自然に魅せられて移り住んできた2人の青年。屋久島に生まれ育ち、島の隅々までを知り尽くす最高齢の現役ガイド。
それぞれの島への想い、自然と向き合う姿を追いました。

屋久島は水の王国です。
山頂付近の年間降水量は1万ミリを超えるといわれています。
豊かな水が大自然を支え、育み、島を訪れる旅行客や自然愛好家らの目を楽しませています。

その一方で、大きな水害を引き越すことも。
去年8月、南海上で複雑な動きをした台風6号の影響で、登山道や舗装道路の一部が崩れ、いまだに復旧の見通しが立っていない所もあります。

屋久島はほとんどが花崗岩でできています。
肥沃な土壌とはほど遠く、栄養が少ない岩の上で木々は成長します。
それ故に成長スピードは非常にゆっくりで、材質は木目が詰まり樹脂が多く、腐りにくい性質に。
屋久杉が1000年以上も生き続けられるのはこのためです。

縄文杉。
保護のため今は近づくことはできませんが、遠くからでもその神秘的なたたずまいに目を奪われます。
世界中からこの巨樹を見に観光客がやってきます。何も言わずにただじっと見つめる人も。数千年を生き抜いてきた圧倒的な生命力を感じます。

縄文杉のほかにも知られていない屋久杉はたくさんあります。
今回の取材では芸術品のような屋久杉に出合いました。
色とりどりの着生木をまとい、太い幹の上にまるで森ができているようです。

何度も取材に同行してくれたスタッフさん。重い撮影機材を持っての登山は相当キツかったはずです。
ひと言も弱音を吐くことなく丁寧に撮影してくれました。感謝です。

登山に携帯する飲料水は最低限で大丈夫。喉が渇いたら湧き水を飲めばいいからです。
屋久島の天然水は冷たくて飲みやすいです。
取材では環境省所属のアクティブレンジャーによる水質調査にも同行させてもらいました。

豊かな水は木々だけでなくコケにも成長しやすい環境を作っています。
屋久島に生息するコケは600~700種類。日本のコケの約3分の1が屋久島で見られるそう。
木々に付着するコケに植物の種が落ちて発芽、その後成長して着生木になります。屋久島独特の森の景色はコケによって作られています。
 

登山道でよく見かける白骨樹。厳しい風雨で樹皮がはがれ落ちています。一見、枯れているようですが生きています。
中には落雷などの影響で幹の半分が縦に裂けている木もありますが、それでも生きていたりします。

標高が高くなると次第に草木の背が低くなってきます。
シャクナゲの木々も目立つように。
3月下旬に放送予定の特別番組では、こうした標高差による樹木の変化なども迫力ある映像とともにお伝えします。

かごしま自然紀行⑬「屋久島~世界自然遺産登録から30年」は3月28日(木曜日)、午後2時50分からの放送です。ご覧いただけましたら幸いです。