地域の課題解決に メタバースの可能性 鹿児島県内自治体でも広がる取り組み
2025年9月24日(水) 18:42
「メタバース」という言葉、皆さんも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
簡単に言えばインターネット上の仮想空間のことなんですが、そのメタバースを活用して、鹿児島県内の様々な自治体がユニークな取り組みを進めています。
鹿児島で広がるメタバースの可能性を取材しました。
鹿児島県日置市伊集院町で受け継がれる「徳重大バラ太鼓踊り」。
毎年10月、妙円寺参りの日にあわせて徳重神社で奉納される地域の伝統行事です。
この日は保存会が披露する太鼓踊りの様子を、民間業者がiPhoneや専用のカメラを使って撮影・録音していました。
実はこれ、地域の伝統行事をメタバース上で再現して、後世に継承しようという取り組みなんです。
そもそもメタバースとは、超越するという意味の「メタ」と宇宙の「ユニバース」をあわせた造語で、インターネット上の仮想空間のことを指します。
そこでは「アバター」と呼ばれる自分の分身を動かすことで、現実世界のように友人とコミュニケーションをとったり、イベントに参加したり。
日置市ではそんなメタバース上にもうひとつの日置市をつくり出す、その名も「ネオ日置計画」を進行中です。
こちらは実際にある大汝牟遅神社をメタバース上で再現したものです。
日置市 地域づくり課・重水憲朗課長補佐
「大汝牟遅神社をぜひ近くでご覧ください。非常にリアルにできています」
林佳伸記者
「そうですね。凄く、細かいところまで再現されている」
日置市 地域づくり課・重水憲朗課長補佐
「7千枚からの写真から3Dの立体的なモデルを作り上げた」
ここでは大汝牟遅神社の名物、伊作流鏑馬も体験できます。
日置市 地域づくり課・重水憲朗課長補佐
「乗馬していただいて」
林佳伸記者
「乗れました!」
現実世界ではなかなか体験できない流鏑馬ですが、メタバースなら安全に、しかも現実ではあり得ない宇宙空間でだって楽しめます。
林佳伸記者
「これでいいですか?ん?」「また落ちちゃった」「あーーーー!(笑)」
先ほどの「徳重大バラ太鼓踊り」の撮影もメタバース上に日置市を再現する試みの一環で、撮影した映像をもとに、今後は特殊なスーツを着た専門の役者が動きを再現。
そのデータをもとに、仮想空間の中で、アバターが太鼓踊りを披露する予定です。
徳重大バラ太鼓踊りの保存会・西之園重己さん
「いい機会だなと思って。日本全国各地の人がこういう踊りがあるんだなと興味を持ってもらえたらものすごくうれしい」
こうした取り組みがきっかけとなって、実際に日置市に移住を決めた人もいるそうです。
日置市 地域づくり課・重水憲朗課長補佐
「どういう人が住んでいて、どういう町だというので(メタバースを利用して)やっぱり町の印象は変わると思う。匿名性があって、関係者と話をするというハードルの低いコミュニケーション。可能性がすごく広がるのがメタバースだと思う」
このようにメタバースを活用した取り組みは、ほかの自治体でも。
鹿児島市教育委員会では、子どもの新たな居場所づくりにメタバースを活用する取り組みを始めました。
鹿児島市の不登校の子供の数は2024年度、小学生が725人、中学生が1295人といずれも過去最多に。
そこで学校やフリースクールに通えず、自宅で過ごしている児童生徒を対象に、2024年9月からメタバース上での居場所づくりをスタート。
メタバース上には、いくつかの「フロア」が設けられていて、たとえば学習フロアでは、オンライン授業を受けることができ、学校と同様の学びの場を提供。
また、図書館フロアでは、市の電子図書館と連携した本の検索や閲覧ができます。
アバター同士によるビデオ通話やチャットを通じたコミュニケーションも可能で、ここを利用することが学校の出席扱いにもなり、7月末時点で51人が利用しているということです。
鹿児島市教育委員会 児童生徒支援課・内輝久指導主事
「自分のペースで学習が進められる。まずはメタバースを利用して経験を積んで、ゆくゆくは学校・社会につながっていければ」
一方、鹿児島県鹿屋市では。
Q.メタバースで何をしている?
鹿屋市 政策推進課 人口減少対策担当・迫恵美さん
「メタバースで婚活イベントをしているところです」
鹿屋市が東京の企業に委託して2025年7月に初めて実施したのがメタバース上でのお見合いです。
鹿屋市 政策推進課 人口減少対策担当・迫恵美さん
「顔出しがないということと、個人情報、名前、年齢も職業もなにも出ないので、内面重視で相手を見つけることができるというのが利点」
鹿屋市以外から参加する場合は結婚後、鹿屋市に移住する意思があることが条件ですが、県外からも含めて募集定員を上回る応募があったそうです。
最終的には男性10人、女性8人が参加し8組のカップルが成立。
カップルが成立した人たちはもう1度、メタバース内でデートを楽しんだあと、現実世界でも実際に会い、今も数組が順調に愛を育んでいるそうです。
伝統文化の継承や不登校の子どもたちの居場所づくり、そして婚活。
これらの取り組みが見据えているのは、どれも人と人とがつながる未来です。
メタバースという仮想空間が、果たして現実の鹿児島の地域社会をどんな風に支えていけるのか。
今後の展開に注目です。
簡単に言えばインターネット上の仮想空間のことなんですが、そのメタバースを活用して、鹿児島県内の様々な自治体がユニークな取り組みを進めています。
鹿児島で広がるメタバースの可能性を取材しました。
鹿児島県日置市伊集院町で受け継がれる「徳重大バラ太鼓踊り」。
毎年10月、妙円寺参りの日にあわせて徳重神社で奉納される地域の伝統行事です。
この日は保存会が披露する太鼓踊りの様子を、民間業者がiPhoneや専用のカメラを使って撮影・録音していました。
実はこれ、地域の伝統行事をメタバース上で再現して、後世に継承しようという取り組みなんです。
そもそもメタバースとは、超越するという意味の「メタ」と宇宙の「ユニバース」をあわせた造語で、インターネット上の仮想空間のことを指します。
そこでは「アバター」と呼ばれる自分の分身を動かすことで、現実世界のように友人とコミュニケーションをとったり、イベントに参加したり。
日置市ではそんなメタバース上にもうひとつの日置市をつくり出す、その名も「ネオ日置計画」を進行中です。
こちらは実際にある大汝牟遅神社をメタバース上で再現したものです。
日置市 地域づくり課・重水憲朗課長補佐
「大汝牟遅神社をぜひ近くでご覧ください。非常にリアルにできています」
林佳伸記者
「そうですね。凄く、細かいところまで再現されている」
日置市 地域づくり課・重水憲朗課長補佐
「7千枚からの写真から3Dの立体的なモデルを作り上げた」
ここでは大汝牟遅神社の名物、伊作流鏑馬も体験できます。
日置市 地域づくり課・重水憲朗課長補佐
「乗馬していただいて」
林佳伸記者
「乗れました!」
現実世界ではなかなか体験できない流鏑馬ですが、メタバースなら安全に、しかも現実ではあり得ない宇宙空間でだって楽しめます。
林佳伸記者
「これでいいですか?ん?」「また落ちちゃった」「あーーーー!(笑)」
先ほどの「徳重大バラ太鼓踊り」の撮影もメタバース上に日置市を再現する試みの一環で、撮影した映像をもとに、今後は特殊なスーツを着た専門の役者が動きを再現。
そのデータをもとに、仮想空間の中で、アバターが太鼓踊りを披露する予定です。
徳重大バラ太鼓踊りの保存会・西之園重己さん
「いい機会だなと思って。日本全国各地の人がこういう踊りがあるんだなと興味を持ってもらえたらものすごくうれしい」
こうした取り組みがきっかけとなって、実際に日置市に移住を決めた人もいるそうです。
日置市 地域づくり課・重水憲朗課長補佐
「どういう人が住んでいて、どういう町だというので(メタバースを利用して)やっぱり町の印象は変わると思う。匿名性があって、関係者と話をするというハードルの低いコミュニケーション。可能性がすごく広がるのがメタバースだと思う」
このようにメタバースを活用した取り組みは、ほかの自治体でも。
鹿児島市教育委員会では、子どもの新たな居場所づくりにメタバースを活用する取り組みを始めました。
鹿児島市の不登校の子供の数は2024年度、小学生が725人、中学生が1295人といずれも過去最多に。
そこで学校やフリースクールに通えず、自宅で過ごしている児童生徒を対象に、2024年9月からメタバース上での居場所づくりをスタート。
メタバース上には、いくつかの「フロア」が設けられていて、たとえば学習フロアでは、オンライン授業を受けることができ、学校と同様の学びの場を提供。
また、図書館フロアでは、市の電子図書館と連携した本の検索や閲覧ができます。
アバター同士によるビデオ通話やチャットを通じたコミュニケーションも可能で、ここを利用することが学校の出席扱いにもなり、7月末時点で51人が利用しているということです。
鹿児島市教育委員会 児童生徒支援課・内輝久指導主事
「自分のペースで学習が進められる。まずはメタバースを利用して経験を積んで、ゆくゆくは学校・社会につながっていければ」
一方、鹿児島県鹿屋市では。
Q.メタバースで何をしている?
鹿屋市 政策推進課 人口減少対策担当・迫恵美さん
「メタバースで婚活イベントをしているところです」
鹿屋市が東京の企業に委託して2025年7月に初めて実施したのがメタバース上でのお見合いです。
鹿屋市 政策推進課 人口減少対策担当・迫恵美さん
「顔出しがないということと、個人情報、名前、年齢も職業もなにも出ないので、内面重視で相手を見つけることができるというのが利点」
鹿屋市以外から参加する場合は結婚後、鹿屋市に移住する意思があることが条件ですが、県外からも含めて募集定員を上回る応募があったそうです。
最終的には男性10人、女性8人が参加し8組のカップルが成立。
カップルが成立した人たちはもう1度、メタバース内でデートを楽しんだあと、現実世界でも実際に会い、今も数組が順調に愛を育んでいるそうです。
伝統文化の継承や不登校の子どもたちの居場所づくり、そして婚活。
これらの取り組みが見据えているのは、どれも人と人とがつながる未来です。
メタバースという仮想空間が、果たして現実の鹿児島の地域社会をどんな風に支えていけるのか。
今後の展開に注目です。