4月6日（土）がんばれ！新時代の一年生たち

元号発表。時は、平成から令和へ。

みなさんは、どんな春をむかえていますか？

新たな時代を前に、新たな世界にとびこむ女性たち。
不安と期待を一身に背負いながら、はじめての春に挑む
新時代の「一年生」たちに密着しました。

◆今村智美さん
今村智美さんは鹿児島生まれ鹿児島育ちの26才。彼女はこの春、医師の道へ旅立ちます。かかりつけの小児科の先生に憧れて目指したこの世界。18才で医学部に進み、以来8年間学び続けてきました。4月からは外科の専攻医として働くことになります。数ある科の中から智美さんが進路に選んだのは、呼吸器外科。学生の時から外科が好きで、オペに携わる仕事したいなって思っていたんだそう。

3月27日、鹿児島大学病院呼吸器外科配属先となった智美先生、初出勤です！AM7:30、朝の勉強会が始まりました。海外で書かれた論文を紹介して討論します。智美先生、準備に丸二日かかりました。質問の矢が飛んできて大変でしたが、なんとか切り抜けました。

女の先生が呼吸器外科に入ってきたのは8年ぶり。第一号は武田亜矢先生です。智美先生が研修医一年目に呼吸器外科に来た時、武田先生は大きなおなかで外科医の仕事をこなしていました。現在は１歳児のママです。
「好きなことはがんばれますね。だから智美先生が肺の外科を好きと思ってもらえて入ってきてくれて。全力で応援したいと思うから」
いつか武田先生みたいに…すぐ近くに目指す背中があるのがとっても心強い。

智美先生、家でも仕事場でも暇さえあればコツコツやっていることがあります。それは手術にむけて糸結びの練習です。人の命を預かる仕事。その重みに向き合いながら、努力の日々が続きます。この日は仕事終わりにひさしぶりの女子会。忙しくなる4月を前に仲のいい同期が集合しました。食べてしゃべってショッピングして。女子会は閉店ぎりぎりまで続きました。

呼吸器外科配属になってから1週間、この日智美先生は手術で大役をまかせられることになりました。10年目のベテラン医師の横で手元がしっかり分かるように、カメラの操作をして手術のサポートをします。胸にできた腫瘍を取り除く手術。無心で挑みました。手術は無事成功しました！
「ずっと目指してた職業でもあるので、今はこの仕事についた喜びのほうが強くてやりがいあります」

◆寺田麗々蘭さん
人と人を結ぶイベントを企画している、学生団体「はたおり」。今、鹿児島で学生からも企業からもちょっとした注目を集めている団体です。その「はたおり」の代表を務めているのが、屋久島出身の寺田麗々蘭さん22歳。鹿児島大学の4年生です。この日も「はたおり」が就活イベントをやっていました。就活を終えたばかりの4年生が体験談を語り、就活に悩む後輩たちと語り合うトークセッションです。

いわゆる型にはまった「就活」で苦しむ周りの学生たちの姿をみて、麗々蘭さんは考えました。「スーツで企業を訪ねるだけが就活じゃない。人と人とがつながることが、就活なんじゃないか？」それから仲間たちと「はたおり」を立ち上げ、人と人を結ぶ様々なイベントを企画、たくさんの学生と企業がつながっていきました。そんな麗々蘭さんも自分の就活のときを迎え、心が揺れます。鹿児島に残って就職するか、東京で頑張ってみるか…でもよーく考えて出した答えは、ふるさと屋久島に帰って屋久島を盛り上げる人になることでした。

麗々蘭さんは、屋久島の港町・一湊で4人姉妹の3番目として育ちました。町には「一湊はめつけ隊」という地域グループがあって、地元のおにいさんたちが地域を盛り上げています。人と人とをつないで地域を盛り上げる。麗々蘭さんが「はたおり」で目指していた原点はここにありました。屋久島に帰ることを決めた麗々蘭さんは、役場の試験を受け見事合格！４月から島で公務員として働くことになりました。屋久島に帰る日、はたおりの仲間たちが駆けつけました。いざ帰るとなるとやっぱりさびしい。「はたおり」の活動はこの仲間たちに託します。

島での生活がはじまりました。寺田さんちの麗々蘭ちゃんが帰ってくる！と近所中に噂は知れわたっていました。麗々蘭さんに大きな影響を与えた、一湊の地域グループの中心にいたかーたか兄ちゃんも嬉しそうです。
お店に引っ越し用の箱をもらいに来ていた近所の女の子は、この春中学校を卒業して、鹿児島市の高校に進学するため島を離れます。麗々蘭さん、かつて島を離れた時の自分の姿と重なります。
「私は屋久島がつながる島になってほしいなって思ってて。屋久島に行ったらこういう人とつながれた！とか感じてほしい。そこから鹿児島とか日本とか、どんどん大きく盛り上がっていったらいいなー。」

娘が帰ってきてうれしいお父さんからも、島で社会人になる娘へ訓示がありました。
「その1　しっかり仕事覚えてみなさんにかわいがられて。あわてて結婚なんかしないように
その2　人に信頼されるような　まずはこれが難しいんだ。
その3　ふるさとに貢献したいなんておおげさなことを思わないように
その4　思ってても　口にださないように。」

麗々蘭さん、あったかい人たちに囲まれて、今度は屋久島で人と人とをつなぎます。

◆神村学園女子駅伝部　新一年生
神村学園女子駅伝部。去年12月に京都で行われた全国高校女子駅伝で悲願の初優勝を飾り、一躍全国にその名を知らしめた強豪チームです。その駅伝部に、この春6人の一年生が入ってきました。
1年生6人、ケニアからの留学生シンシアさんを含む2年生10人、そして3年生2人の総勢18人で新たに始動しました。目指すはもちろん全国2連覇です。

1年生、はじめてのグラウンド整備に挑戦します。先輩が手取り足取り教えてくれますが、線をひくにも一苦労。
「まっすぐ引けないです。長さが合いません」
先輩はいいって言ってくれたけど、本当の評価は60点くらいだそう。なかなか厳しいです。

はじめての寮生活。楽しみはやっぱりごはんの時間です。黙々と食べる先輩たちの横で、笑い声が絶えない一年生。箸が転んでもおかしい年頃です。親元を離れてはじめての寮生活。さっきまであんなにはしゃいでいたのに、みんな一人になると寂しいみたい。たまらず家族に電話してしまいました。15歳の試練の夜。でもみんな目標があってここに来ました。
福岡出身の岩崎智子さん「全国駅伝、走りたいと思ってこっちにきました」
同じく福岡出身の野見山紋佳さん「目標は全国駅伝でメンバーに入って優勝することです」
頼もしい１年生です。

みんな、夢があるからがんばれるよね。がんばれ―15の春。