最近、本読んでますか?
今年ももうすぐおしまいで、仕事がお休みの日も多くなるこの時期。
ちょっと本を手にとってみませんか?
書店スタッフ、本好き女子10人に、今年心に残った一冊セレクトしてもらいました。
自分を磨いてちょっと心も豊かにしてくれる、あなたにぴったりの1冊お届けします。
◆津津(しんしん) 南さん
鹿児島市西田小学校のとなりにある、小さな本屋さん「津津(しんしん)」。店内は本棚が2つにテーブルとイスがあって、本屋さんと言うよりは本好きな人の書斎にいるみたい。オーナーが海外や国内を転々とする事が多いので、そこで買い付けた本を中心にセレクトしている本屋になります。オーナーの中原慎一郎さんは、オリジナル家具でショップの展開からブランドプロデユースまで幅広く手がけている方です。本好きな事もあって、地元鹿児島に本で人が集まる場所を作りたかったそう。来年を新たな気持ちでスタートできる1冊、紹介してもらいました。
『知られざるジョージアオキーフ』
著者:アニタ・ポリッツアー 訳者:荒垣さやこ 発行社:晶文社
風景、花、動物の骨だけをテーマに描き続けた、20世紀アメリカを代表する女性画家ジョージア・オキーフ。1900年代、まだ働く女性が生きづらかった時代に、画家として自分を貫き通した彼女の実話です。すごく強い女性でちょっと冷たそうな印象はあるけど、その中に見える人間の温かさがぐっとくるんだそうです。今の時代の働くわたしたちの何かヒントになる1冊かも。
information
【津津(しんしん)】
住所:鹿児島市西田3-4-29 亀田ビル102
Instagram shinshinbooks
◆古本屋ブックスパーチ 諏訪田さん
今年9月にオープンした、鹿児島市泉町にあるトマルビル。音楽、アートなど楽しいカルチャーがたっくさん詰まった場所です。その1階にあるのが古本屋ブックスパーチ。海外文学や歴史、思想系の本から、芸術とか目で楽しめる本、小説とかエッセイまで。小さな空間にいろんなジャンルの本が並んでいます。古本は新刊と違って増刷もないので、ここで出会ったが奇跡の1冊。店主の諏訪田さんも、今年古本屋さんで1冊の本に出会いました。
『地震と独身』
著者 酒井順子 発行所:新潮文庫刊
東日本大震災以降、震災をめぐる家族の物語はいろいろな形で伝えられてきましたが、独身者の声はあまり聞こえてきません。自身も独身の作者・酒井順子さんが、現地を訪れ独身者たちとの対話を重ねてみえてきたものが書かれています。諏訪田さんも独身で震災の時は東京にいました。その人にはそれぞれその人の人生がある、そういう事を知ることができる一冊。本は知らなかった本当の出来事を教えてくれます。
information
【古本屋ブックスパーチ】
住所:鹿児島市泉町1-8 トマルビル1F
営業時間:10:00~19:00
営業日:火・金・日曜日
◆今年のベストセラー本、紹介します。
オプシアブックスミスミの今年の売上1位は、漫画『君たちはどう生きるか』でした。書籍ではなくて圧倒的にこの本が人気だったそうです。ちなみに書籍では、映画にもなった『コーヒーが冷めないうち』にが一番売れたんだとか。まだ読んでいない人はこの機会にぜひ読んでみては?
漫画『君たちはどう生きるか』
原作 吉野源三郎 漫画:羽賀翔一 発行所:マガジンハウス
大型書店のスタッフさんってやっぱり本好きが多いみたい。この春社会人になった新人スタッフ・野中さんに、今年読んだ本で心に残った1冊を聞きました。
『相手もよろこぶ オトナ女子の気配り帳』
編者 気くばり調査委員会 サンクチュアリ出版
チョイスが新人さんならではですよね。よくあるマナー本のかた~い感じではなく、簡潔な文章とイラストがいいんだって!野中さんもこの本の内容を実践しているそうですよ♪この本を読んで、新しい年明けて頑張ろうって気持ちになってみてください。
◆本好き女子 学校司書 和田さん
小学校の図書室の先生に本の楽しさを教わったた人も多いのでは?鹿児島市玉江小学校の司書・和田幸子さんもそのひとり。学校で扱う本は児童書がほとんどだそう。その中から和田さんおすすめの1冊を教えてもらいました。
『しかもフタが無い』
著者:ヨシタケシンスケ PARCO出版
子どもたちにも人気の絵本作家・ヨシタケシンスケの本。作家が日常で思った事、感じた事のスケッチとちょこっとしたメモものっています。何かクスっとしたり、あー、そうだよなーってしみじみする、オトナになった今だからこそいろんな意味が分かる本なのかもしれないですね。
◆本好き女子 ナマイキ倶楽部員 田上さん
本好き女子は、本のある空間が大好き。ナマ・イキ倶楽部員の田上玲奈さんは、仕事終わりやお休みの日は県立図書館で過ごすのが日課。しずか~な図書館で読書する時間が一番落ち着くんだって。
田上さんにとって本は元気の源。今年はこの本に元気をもらいました。
『稽古とプラリネ』
著者:伊藤朱里 出版社:筑摩書房
太宰治賞受賞作家・伊藤朱里さんによる、お菓子作りにお茶といろいろなお稽古事を体験するアラサー女子フリーライターのお話。アラサー女子の心にぐっとくるツボが満載の内容で、田上さんは勇気をもらえたそうです。
◆本好き女子 新聞の書評を書いていた 下池さん
いい本を見つけたい時は、南日本新聞の書評が一番。この記事を書いてる人ってたくさんの本を読んでそうですよね?今年の2月まで書評を書いていた、下池奈津子さんにお話を聞きました。趣味が多彩な下池さんは、ミュージシャンでもあり、映画の上映会をやってみたり、話家さんを呼んで落語会を開いたりと色々な活動をしています。ちなみにお仕事は刺繍屋さん。そんな下池さんが選んだ1冊はがこちら。
『僕たちはファッションの力で世界を変える』
著者:井上聡・井上清史 版元:PHP研究所
デンマークで生まれ育ったイノウエ兄弟がファッションブランドを設立。ファッション業界にいながら大量生産・大量消費社会に反旗を翻した兄弟の仕事の流儀が書かれています。「自分のわくわくする気持ちを殺さないでほしい」、イノウエ兄弟のその熱を感じてほしいです。
◆本好き女子 映像ディレクター 小久保さん
レコードやCDのジャケ買いがあるように本のジャケ買いしている人も。主に音楽ライブの撮影や編集をしているビデオグラファーの小久保葵さんは、出張や旅行先の本屋さんで思い出の一つとして本を買うんだそうです。
今年も旅先でパッと目をひく本を手にとりました。
「なんとなく目にとまってちょっとかわいいなっと思って買ってみたんですけど、想像とは全然ちがいました」
『菜食主義者 (新しい韓国の文学 1)』
著者:ハン・ガン 訳者:きむ ふな 発行所:クオン
鮮やかな朱色のたまねぎが描かれた装丁とタイトルがインパクトある一冊。突然お肉を一切食べなくなった主婦の家族や周りの人に色々な問題が起きるお話です。
「ちょっとこわい。読みながら逃げ出した気持ちになるんだけど、でもどうなるから気になるから読んじゃうみたいな…」
はらはらどきどき。泣きそうになる位の狂気と美を兼ね備えた一冊です。
◆本のある場所、いってきました。生活道具デシリットル
本のある場所を求めて向かったのは、志布志。国道沿いにあるお店、「生活道具デシリットル」です。
キッチン用具がぶらさがっていたり、パスタがおいしく作れそうなエプロンに、パンツまで――ありそうでなかった生活道具がところ狭しと置いてあります。その中に本も並んでいました。
「志布志に書籍を扱う本屋さんが減っていて、本のある風景というのを子ども達にも見慣れてほしい。生活の中に本を馴染ませてほしい」
そんな想いで店主の生重雅代さんが本を揃えています。生重さん自身もお掃除やお料理など生活の知恵を本から学んでいるそう。生活を豊かにしてくれる本は、時には人と人を繋げてくれることも―。
『あん』
著者:ドリアン助川 発行所:ポプラ文庫
ハンセン病の元患者と中年のどら焼き職人のふれあいを描いた、映画にもなった作品。生重さんは「たまにはシネマ」という映画サークルを年に1度開いていて、原作「あん」に惹かれて映画を上映しました。その時に鹿屋在住の料理人・渡邊和泉さんに、作品に出てくるどらやきを作ってもらう依頼をしたんだそうです。渡辺さんもこの作品が好きだったそうで、わざわざその役のコスチュームで映画会に来てくれました。これをきっかけに二人は本を貸し借りする仲に。渡辺さんが食いしん坊の庄村さんの為に、おいしい本も紹介してくれました♪
『たすかる料理』
著者:按田優子 発行所:リトルモア
東京で行列の絶えない「按田餃子」の店主・按田優子さんが書いた、適度なずぼらを提案してくれる料理本です。
information
【生活道具デシリットル】
住所:志布志市志布志町帖7055
TEL:090-9713-1653
営業時間:11:00~17:00
定休日:水曜日
◆本のある場所、いってきました。 珈琲ポランカ
コーヒーを飲みながら本を読める場所、鹿児島市名山町にある「ポランカ」。旗が立っている時はお
入ってすぐのところに積み重なっているのは本。ここの店主・ゴローさんは本好きということもあって、お客さんが本を持ってきてはそのまま置いていったり、その本を別のお客さんが借りてここで読んじゃうこともあるんだって。ゴローさんにおすすめのコーヒーと1冊、お願いしました。
『麦ふみクーツェ』
著者:いしいしんじ 発行所:新潮社
音楽家をめざす少年の物語です。ちょっと分厚さが気になりますが、読んでみると絵本を読んでみたいに物語がすっと入ってきます。淹れたてのコーヒーを飲みながら本を読む。忙しい毎日の中でほっとできる場所です。
information
【珈琲ポランカ】
住所:鹿児島市名山町8-8