止められない咳、まばたき…『チック症』 10人に1〜2人が抱える知られざる発達障害 診断・支援が届かない現場と当事者の声が訴える理解と支援
2025年12月2日(火) 14:15
大人になっても続く症状と向き合う

「チック症について知って欲しい」と、メディアやSNSで情報発信している あべ松さん
チック症について知ってほしいと取材に応じてくれたのは、鹿児島市出身のあべ松怜音さん(31)だ。あべ松さんは小学2年生の時に声が出るチックを発症した。
「めちゃくちゃ苦しかったですよ。特に小~中学校くらいのときは症状が出ると、からかいの対象になる」と振り返る。
大人になるにつれて症状が軽くなるケースが多いチック症だが、あべ松さんの症状は改善されなかった。声が出るほかに、頻繁なまばたきや首を振るなど複数の運動チックがみられる「トゥレット症」と診断されている。
食事中も、外出時も「あ、あ、あ」と声が出て、自分で症状を止めることはできない。
塞ぎ込みそうになる気持ちを奮い立たせようと、あべ松さんが数年前から始めたのがメディアやSNSでの情報発信だ。「もう少し病気についてみんなが知ってほしい」と語る。

あべ松さんはSNS等での情報発信のほか、全国の学校で講演も行っている
あべ松さんは現在、愛知県で配達員として仕事をする傍ら、インスタグラムでチックについて発信しているほか、全国の学校で講演も行っている。
「小さいうちに僕みたいなチックの人にリアルに触れておくのはいい経験。知っているだけでだいぶ見方とか変わると思う」と話す。
配達専用の飲食店を開くのが夢だというあべ松さんは、チックの症状に悩む人たちにこう語りかける。
「人生一回きりだから。チックを抑えることに必死になっていると、どんなことも楽しめなくなっちゃう。何でもやってみたいことをやってみる。チックがあっても楽しく生きられる未来をつくる努力をしていくので、今を精一杯生きる努力をしてほしい」
アプリの回答にもチック症への理解を求める切実な声があった。
「笑わないでほしい」
「色々な症状があることを知ってもらいたい」
いまだ原因が解明されていないチック症。その現状を知り理解を広めることが今の社会に求められている。
*あべ松さんの「あべ」は「木へんに青」


















































































































