H3新時代へ 日本の宇宙開発の命運を懸けて
2026年6月9日(火) 18:50
2025年12月の失敗から半年。
6月12日に日本の基幹ロケット、H3ロケットの打ち上げが再開される見込みです。
各国が宇宙開発にしのぎを削る中、今回の種子島での打ち上げは日本の将来を左右するミッションです。
「本日はご参加いただきありがとうございます。10分少々走行してまいります」
5月24日の種子島宇宙センター。
轟木康陽記者
「H3ロケット6号機のある組み立て棟に来ました。ご覧ください。私の遙か上には『JAPAN』と書かれた機体がどっしりと備え付けられています」
姿を現したのは打ち上げに向けて準備作業が進むH3ロケット6号機です。
JAXA 打上管制隊 ロケット班・森茂班長
「当初、もう少し早い打ち上げを予定していたので、つくられた時期、少し時間がたっている。したがってオレンジ色が少し濃くなっている」
半年ぶりに臨む打ち上げは、日本の宇宙開発にとって再起をかけた重要なミッションとなります。
2025年12月、種子島宇宙センターから打ち上げられた8号機。
無事打ち上がったかに見えましたが…
打ち上げ関係者
「第2段の燃焼が早期に終わった。今確認できているのは私たちもここまで」
衛星を載せる台座が破損し、失敗に終わりました。
実は今、日本の宇宙開発はこれまでにない危機的な状況にあります。
鹿児島からは種子島のほかにも基幹ロケットを打ち上げる場所があります。
鹿児島県肝付町にある内之浦宇宙空間観測所です。
2013年から打ち上げが始まったイプシロンが2022年、6号機の打ち上げに失敗。
新たに開発が進められてきた改良型も燃焼試験中に相次いで爆発事故が起きました。
イプシロンの打ち上げは3年半にわたり止まったままです。
土産物店「宙の家」・村岡知行さん
「お客さんの数でいうと売上も3割ぐらい減っている。2019年以降にコロナのことも経験したけど、その時より少ない」
発射場の近くにある土産物店も影響を受けていました。
一方で店には次の打ち上げを心待ちにする全国のロケットファンの熱いメッセージが寄せられていました。
土産物店「宙の家」・村岡知行さん
「どうにか元気づけてあげようと思って始めた。うちは『書きたい』っていう人だけ、自分から申し出た人だけに書いてもらっている。全部埋まったらJAXAかIHIにお渡しする」
H3とイプシロン、2つの基幹ロケットの失敗は、今、日本が衛星を宇宙に届ける手段がないことを意味します。
宇宙ビジネスに詳しいコンサルタントの片桐亮さんは安全保障上の懸念を指摘します。
デロイト トーマツ・片桐亮パートナー
「やはり有事になると、例えばGPSの信号は、よりアメリカの軍事、もしくは市民に使えるようなポジショニングをとるようになると思われる。その国の戦略によって衛星が使用される。必ずしも現状の形で今の海外の衛星が使えるかわからない。できる限り日本でオペレーションすることができるものを持つことが非常に重要」
こちらは各国のロケット打ち上げ成功数の推移です。
国家予算に大きな違いはありますが、圧倒的な打ち上げ回数を誇るのがアメリカです。
その数は右肩上がりで2025年の成功数は192回、日本は3回でした。
アメリカの打ち上げのほとんどを占めているのが、イーロンマスク氏が設立した民間企業のスペースX社です。
打ち上げた機体の一部が戻ってくる「再使用型ロケット」の実用化に成功したのはなんと10年以上前。
アメリカで圧倒的なスピードで進む宇宙開発。
8号機の失敗時の会見では
Q.1週間に何本もロケットを打ち上げて成功させている国もあるが?どのように危機感を持っている?
JAXA H3プロジェクトチーム・有田誠プロジェクトマネージャ
「彼らの力とかなり差がつけられているのではないかと思われるかもしれないけど、ひとつひとつのロケットが持っている技術力や衛星を宇宙に届ける打ち上げ能力は決してH3が遜色のあるものではない。まだH3も運用を始めて浅い段階なので、彼らも最初のころは色々失敗もしてきた。私どももH3をしっかり立ち直して差をつけられないよう軌道に乗せていきたい」
そんな中、打ち上げ再開が決まったH3ロケット6号機。
コスト面で世界と戦うための新たな打ち上げ形態が取り入れられています。
それが補助ロケットを使わない打ち上げです。
2025年10月に打ち上げられた機体と6号機を比べると、6号機には白い小さなロケットがついていません。
その代わり6号機はメインエンジンを2基から3基に増やしました。
JAXAはこの新形態で打ち上げコストを2025年6月に運用を終えたH2Aロケットの半分、約50億円に抑えることを目指しています。
新たな形態で再開される宇宙への挑戦。
まさに日本の宇宙開発の行く末がかかる打ち上げに有田プロジェクトマネージャも「負けられない戦い」と覚悟を語ります。
轟木康陽記者
Q.楽しみか緊張かどういう気持ちが大きい?
JAXA H3プロジェクトチーム・有田誠プロジェクトマネージャ
「今回がですね、緊張ですね。失敗が2度とできないという意味で緊張が大きい。H3ロケット、イプシロンロケット、両方とも基幹ロケットだけど、自立性の確保が一番の使命。一刻も早くこの状況を脱して、日本が打ちたいとき打ちたい衛星を打ち上げられる能力を回復することが今、一番求められている急務だと思う」
日本の宇宙開発は再び前に進めるのか。
その命運はH3ロケット6号機に託されました。
6月12日に日本の基幹ロケット、H3ロケットの打ち上げが再開される見込みです。
各国が宇宙開発にしのぎを削る中、今回の種子島での打ち上げは日本の将来を左右するミッションです。
「本日はご参加いただきありがとうございます。10分少々走行してまいります」
5月24日の種子島宇宙センター。
轟木康陽記者
「H3ロケット6号機のある組み立て棟に来ました。ご覧ください。私の遙か上には『JAPAN』と書かれた機体がどっしりと備え付けられています」
姿を現したのは打ち上げに向けて準備作業が進むH3ロケット6号機です。
JAXA 打上管制隊 ロケット班・森茂班長
「当初、もう少し早い打ち上げを予定していたので、つくられた時期、少し時間がたっている。したがってオレンジ色が少し濃くなっている」
半年ぶりに臨む打ち上げは、日本の宇宙開発にとって再起をかけた重要なミッションとなります。
2025年12月、種子島宇宙センターから打ち上げられた8号機。
無事打ち上がったかに見えましたが…
打ち上げ関係者
「第2段の燃焼が早期に終わった。今確認できているのは私たちもここまで」
衛星を載せる台座が破損し、失敗に終わりました。
実は今、日本の宇宙開発はこれまでにない危機的な状況にあります。
鹿児島からは種子島のほかにも基幹ロケットを打ち上げる場所があります。
鹿児島県肝付町にある内之浦宇宙空間観測所です。
2013年から打ち上げが始まったイプシロンが2022年、6号機の打ち上げに失敗。
新たに開発が進められてきた改良型も燃焼試験中に相次いで爆発事故が起きました。
イプシロンの打ち上げは3年半にわたり止まったままです。
土産物店「宙の家」・村岡知行さん
「お客さんの数でいうと売上も3割ぐらい減っている。2019年以降にコロナのことも経験したけど、その時より少ない」
発射場の近くにある土産物店も影響を受けていました。
一方で店には次の打ち上げを心待ちにする全国のロケットファンの熱いメッセージが寄せられていました。
土産物店「宙の家」・村岡知行さん
「どうにか元気づけてあげようと思って始めた。うちは『書きたい』っていう人だけ、自分から申し出た人だけに書いてもらっている。全部埋まったらJAXAかIHIにお渡しする」
H3とイプシロン、2つの基幹ロケットの失敗は、今、日本が衛星を宇宙に届ける手段がないことを意味します。
宇宙ビジネスに詳しいコンサルタントの片桐亮さんは安全保障上の懸念を指摘します。
デロイト トーマツ・片桐亮パートナー
「やはり有事になると、例えばGPSの信号は、よりアメリカの軍事、もしくは市民に使えるようなポジショニングをとるようになると思われる。その国の戦略によって衛星が使用される。必ずしも現状の形で今の海外の衛星が使えるかわからない。できる限り日本でオペレーションすることができるものを持つことが非常に重要」
こちらは各国のロケット打ち上げ成功数の推移です。
国家予算に大きな違いはありますが、圧倒的な打ち上げ回数を誇るのがアメリカです。
その数は右肩上がりで2025年の成功数は192回、日本は3回でした。
アメリカの打ち上げのほとんどを占めているのが、イーロンマスク氏が設立した民間企業のスペースX社です。
打ち上げた機体の一部が戻ってくる「再使用型ロケット」の実用化に成功したのはなんと10年以上前。
アメリカで圧倒的なスピードで進む宇宙開発。
8号機の失敗時の会見では
Q.1週間に何本もロケットを打ち上げて成功させている国もあるが?どのように危機感を持っている?
JAXA H3プロジェクトチーム・有田誠プロジェクトマネージャ
「彼らの力とかなり差がつけられているのではないかと思われるかもしれないけど、ひとつひとつのロケットが持っている技術力や衛星を宇宙に届ける打ち上げ能力は決してH3が遜色のあるものではない。まだH3も運用を始めて浅い段階なので、彼らも最初のころは色々失敗もしてきた。私どももH3をしっかり立ち直して差をつけられないよう軌道に乗せていきたい」
そんな中、打ち上げ再開が決まったH3ロケット6号機。
コスト面で世界と戦うための新たな打ち上げ形態が取り入れられています。
それが補助ロケットを使わない打ち上げです。
2025年10月に打ち上げられた機体と6号機を比べると、6号機には白い小さなロケットがついていません。
その代わり6号機はメインエンジンを2基から3基に増やしました。
JAXAはこの新形態で打ち上げコストを2025年6月に運用を終えたH2Aロケットの半分、約50億円に抑えることを目指しています。
新たな形態で再開される宇宙への挑戦。
まさに日本の宇宙開発の行く末がかかる打ち上げに有田プロジェクトマネージャも「負けられない戦い」と覚悟を語ります。
轟木康陽記者
Q.楽しみか緊張かどういう気持ちが大きい?
JAXA H3プロジェクトチーム・有田誠プロジェクトマネージャ
「今回がですね、緊張ですね。失敗が2度とできないという意味で緊張が大きい。H3ロケット、イプシロンロケット、両方とも基幹ロケットだけど、自立性の確保が一番の使命。一刻も早くこの状況を脱して、日本が打ちたいとき打ちたい衛星を打ち上げられる能力を回復することが今、一番求められている急務だと思う」
日本の宇宙開発は再び前に進めるのか。
その命運はH3ロケット6号機に託されました。
















































































































