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ニュース・スポーツ

令和の米騒動の背景に何が? 高騰するコメの価格はどうなる? 鹿児島

2024年9月17日(火) 18:20

8月、志布志市で収穫の最盛期を迎えていたのは、鹿児島の早場米「なつほのか」。この夏の猛暑の影響なども受けず順調に育ったそうです。

川崎農産 津中隆博取締役「(なつほのかは)粒が大きくておにぎりにして冷えてもおいしい。喜びをかみしめながら収穫している」

私たちの食卓に欠かせないコメ。しかし、いつもと違う風景が今年の売り場には広がっています。スーパーや量販店では、購入量が制限され、品切れの棚も。価格も2023年より4割〜5割程度、上昇しています。

来店客
「高くなるっているとは思うが、主食なので、ないわけにはいかない」

令和の米騒動ともいわれているこの現象。九州農政局の担当者はその要因を3つ上げます。

九州農政局鹿児島拠点 窪山富士男参事官
1コメの割安感
「パン、麺の価格をみると、年々上がっている。コメの上がり方は緩やかで消費者は選択しやすかった」
2インバウンド需要増
「外国人観光客が増えて、外食産業のコメ料理などで需要増につながった」
3地震、台風の影響
「南海トラフや台風の影響で全国的に『コメを買っておこう』と。それで品薄感が出た」

この話を2023年の秋の米の収穫時期から、順をおって見てみます。そもそも2023年は高温障害などから米どころの北陸では、出来高が少ない状況でした。そこに重なったのが新型コロナが5類になって以降、増加した外国人観光客による米の需要増です。

さらに2024年4月から6月には歴史的な円安により小麦の値段が高騰。パンや麺の値上がりにより、割安感のあるコメに需要が集中します。その結果、6月のコメの民間在庫は、2009年以降、最も少ない水準に。そこに追い打ちをかけたのが自然災害です。

8月初旬に起きた日向灘沖の地震に、8月末の台風10号、消費者の買いだめ心理に拍車をかけました。米への需要が高まる出来事が重なり続けた結果、起きたのが一連の米不足というわけです。しかし、九州農政局では、本格的なコメの収穫を迎える秋以降、状況は落ち着くと見ています。

九州農政局・鹿児島県担当 窪山参事官
「8月30日に令和6年産のコメの作柄概況は全国的に平年並み、鹿児島も平年並みの状況です。(新米収穫で)コメが出回ることによって、混乱は和らいでいくのではないか」

高騰する米の価格はどうなるのでしょうか。

県内のコメ卸売業者
「大幅に価格が高騰したのが5、6月ぐらい。10月中旬にはコメが流通し
落ち着いていく」

今後、量、価格ともに落ち着きを見せそうですが、取材に応じた卸売業者からはこんな声も。

県内のコメ卸売業者
「今まで米の価格は安すぎた印象がある。肥料、電気、燃料代は高騰していて
機器の価格も年々上昇している。生産者も価格に転嫁するチャンスは必要だったと
思う」

専門家は、コメの生産体制をきちんと確保しないかぎり、また同じような混乱は起きうると指摘します。

鹿児島大学 豊智行教授
「主食として安心して食べられる、コメの生産を確保しておかないと大混乱が起こる。そのためにはしっかりと消費者としては買い支える意識も必要ではないか」

多くの食糧を外国産に頼る日本にとって、ほぼ100%を自分たちで賄えるコメは食糧安全保障の要と言えますコメの大切さを改めて認識することにつながった令和の米騒動。これを機に私たちは「コメの生産を守るために何ができるのか」を考える必要があるのかもしれません。

川崎農産 津中隆博取締役
「自社ブランドや鹿児島のブランドなど付加価値をつけて売ってければ。
若手が残っていない現実がある。給料面など頑張って魅力ある農業にしたい」

担い手不足の米農家を守るために何ができるのか?物価高にあえぐ中、身近なコメに付加価値をつけるにはどうすればいいのか?県内で生産されるコメはおよそ10万トン。食の安心、安全を守るための収穫の秋がこれから本格的なシーズンを迎えます。

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