商店街が生き残るためには? 鹿児島市・宇宿商店街の挑戦に注目
2024年9月10日(火) 20:50
人口減少や後継者不足で全国で減りつつある“商店街”。
様々な課題を乗り越え商店街が生き残るためには何が必要なのでしょうか。鹿児島市の商店街の取り組みを取材しました。
2024年7月。東京で、中小企業庁主催の表彰式が開かれました。工夫を凝らした取り組みを行う商店街をたたえるもので、全国から選ばれた10カ所のうちの一つが、鹿児島市の宇宿商店街振興組合でした。
宇宿商店街振興組合・河井達志理事長
「非常に面白い街です。ぜひ、お越しいただければ」
鹿児島市電・脇田電停周辺に位置する宇宿商店街。32の組合員で構成され、さらに賛助会員まで含めると、その輪は半径2kmに広がっています。
中心にあるのは青果店や飲食店が軒を連ねる「コモタウン」。吹き抜けの広場が特徴です。
地元の人
「こういう広場があるからみんなが寄って話ができる」
「(来てるのは)毎日。相手してもらってる。ここのおじいちゃんおばあちゃんたちに」
「市営バスの誘導で25年いる。みんなが和気あいあいとしてて、きょうも集まっている」
自然と人が集まる場所、その理由の1つが“利便性”です。コスモタウンの近くには、市電の電停に加えてJR宇宿駅も。商店街振興組合の前身団体の働きかけで、1986年に開業しました。
さらに住みたい街に選ばれるため、宇宿商店街では周辺の歩道の整備や防犯カメラの設置といった取り組みも積極的に進めています。
地元の人
「市電もJRも使えるので便利がよくてこっち(宇宿)に決めた」
「色んなもの、病院やスーパー、学校も全て近くにあるのが結構便利」
そもそも「商店街」とは何なのでしょうか。中小企業庁のホームページには小売店、飲食店及びサービス業を営む事業所が近接して30店舗以上ある場所、と定義されていますが、“買い物をする場所”という位置づけだった商店街の変化を、中小企業庁の担当者はこう話します。
中小企業庁 商業課・伊奈友子課長
「現在は買い物の手段が多様化している。そういう意味では買い物の場所というだけでなく、地元住民を巻き込んだ形でのコミュニケーションの場であったり、いかに地域の活性化の担い手になっていけるかが、これから重要になってくる」
新たな付加価値をどう付けていくか。この日の会議で、宇宿商店街の河井達志理事長はこんな提案をしました。
宇宿商店街振興組合・河井達志理事長
「住みたい街ナンバーワンになる。住みたいと思う色はどういう色なんだろう?」
決めようとしているのは街のイメージカラー。
東海学園大学の准教授
「柔らかい色がみなさんの心にぴったりくるんじゃないかということが調査で推測されました」
色彩学とまちづくりを研究する2つの大学とタッグを組み、これまでワークショップやアンケートなどを行ってきました。
商店街では住民投票を行い、その結果をもとに決まったイメージカラーを、街路灯や看板などに採用したいと考えています。
河井理事長
「プロ野球の球団を応援するようなもので、街の応援をするためには色が欠かせない」
そんな趣向を凝らした取り組みの一方、商店街が抱える課題にも向き合っています。
中小企業庁の調査によると、全国の7割以上の商店街が悩みとしてあげるのが「後継者問題」です。
河井理事長
「商店街がなぜ後継者ができないのか?逆に言うと商店街の人たちはなぜ後継者を作るような努力をしないのか。子供たちに商売の楽しさを体験してもらおうと『商人(あきんど)選手権』というものをしている」
8月末に開催された夏祭り。その一角で行われていたのが子どもたちによる「商人選手権」です。
商店街から支給される1万5000円を元手に、この街で販売されている商品を自由に仕入れ、利益が出るよう自分たちで販売価格を設定。
浜島信秀くん、凜華ちゃんきょうだいが仕入れたのはラムネ150本です。
宇宿小・浜島信秀くん(11)
「できれば全部売ったら、僕と妹で赤字にならないで8250円の給料をもらえる」
もう一組の出店者は、ラーメン店の息子、有村虹くんです。
虹くんの母 ラーメン店「キンボシ」店主・有村美幸さん
「将来的には飲食店をやりたいと言ってるので、少しでも勉強ができたら」
用意した商品は手作りのポップコーンとコーラ。3時間という限られた時間の中で、それぞれ完売を目指します。
「ありがとうございます!」
ラムネを販売する浜島きょうだい、全部売り上げてポケモンカードを買いたいと意気込んでいたものの…。
Q.ちょっと疲れてきた?
信秀くん「いや...普通」
凜華ちゃん「頑張って」
信秀くん「もういつも嫌なこと言う!」
元気がなくなる場面もありつつ、頑張って売り続けていると終わりが見えてきました。
信秀くん「あと2本!お願いします!買って下さい!!!」
最後の2本を売り切ると笑顔に!
信秀くん
「全部売り上げたし、給料ももらえたからよかった!」
達成感と満足感でいっぱいの様子でした。
そして、虹くんの店も、みごと商品を完売しました!
河井理事長
「商売の面白さ、お客さんと接することの楽しさを知ってもらって、将来自分も商売人をやろう、商店街でお店を開こうと思ってもらえれば、自然と後継者はできるはず」
子どもから大人まで一体となった宇宿商店街の取り組み。買い物の手段が多様化する現代社会で、商店街のあり方の一つのモデルケースといえそうです。
様々な課題を乗り越え商店街が生き残るためには何が必要なのでしょうか。鹿児島市の商店街の取り組みを取材しました。
2024年7月。東京で、中小企業庁主催の表彰式が開かれました。工夫を凝らした取り組みを行う商店街をたたえるもので、全国から選ばれた10カ所のうちの一つが、鹿児島市の宇宿商店街振興組合でした。
宇宿商店街振興組合・河井達志理事長
「非常に面白い街です。ぜひ、お越しいただければ」
鹿児島市電・脇田電停周辺に位置する宇宿商店街。32の組合員で構成され、さらに賛助会員まで含めると、その輪は半径2kmに広がっています。
中心にあるのは青果店や飲食店が軒を連ねる「コモタウン」。吹き抜けの広場が特徴です。
地元の人
「こういう広場があるからみんなが寄って話ができる」
「(来てるのは)毎日。相手してもらってる。ここのおじいちゃんおばあちゃんたちに」
「市営バスの誘導で25年いる。みんなが和気あいあいとしてて、きょうも集まっている」
自然と人が集まる場所、その理由の1つが“利便性”です。コスモタウンの近くには、市電の電停に加えてJR宇宿駅も。商店街振興組合の前身団体の働きかけで、1986年に開業しました。
さらに住みたい街に選ばれるため、宇宿商店街では周辺の歩道の整備や防犯カメラの設置といった取り組みも積極的に進めています。
地元の人
「市電もJRも使えるので便利がよくてこっち(宇宿)に決めた」
「色んなもの、病院やスーパー、学校も全て近くにあるのが結構便利」
そもそも「商店街」とは何なのでしょうか。中小企業庁のホームページには小売店、飲食店及びサービス業を営む事業所が近接して30店舗以上ある場所、と定義されていますが、“買い物をする場所”という位置づけだった商店街の変化を、中小企業庁の担当者はこう話します。
中小企業庁 商業課・伊奈友子課長
「現在は買い物の手段が多様化している。そういう意味では買い物の場所というだけでなく、地元住民を巻き込んだ形でのコミュニケーションの場であったり、いかに地域の活性化の担い手になっていけるかが、これから重要になってくる」
新たな付加価値をどう付けていくか。この日の会議で、宇宿商店街の河井達志理事長はこんな提案をしました。
宇宿商店街振興組合・河井達志理事長
「住みたい街ナンバーワンになる。住みたいと思う色はどういう色なんだろう?」
決めようとしているのは街のイメージカラー。
東海学園大学の准教授
「柔らかい色がみなさんの心にぴったりくるんじゃないかということが調査で推測されました」
色彩学とまちづくりを研究する2つの大学とタッグを組み、これまでワークショップやアンケートなどを行ってきました。
商店街では住民投票を行い、その結果をもとに決まったイメージカラーを、街路灯や看板などに採用したいと考えています。
河井理事長
「プロ野球の球団を応援するようなもので、街の応援をするためには色が欠かせない」
そんな趣向を凝らした取り組みの一方、商店街が抱える課題にも向き合っています。
中小企業庁の調査によると、全国の7割以上の商店街が悩みとしてあげるのが「後継者問題」です。
河井理事長
「商店街がなぜ後継者ができないのか?逆に言うと商店街の人たちはなぜ後継者を作るような努力をしないのか。子供たちに商売の楽しさを体験してもらおうと『商人(あきんど)選手権』というものをしている」
8月末に開催された夏祭り。その一角で行われていたのが子どもたちによる「商人選手権」です。
商店街から支給される1万5000円を元手に、この街で販売されている商品を自由に仕入れ、利益が出るよう自分たちで販売価格を設定。
浜島信秀くん、凜華ちゃんきょうだいが仕入れたのはラムネ150本です。
宇宿小・浜島信秀くん(11)
「できれば全部売ったら、僕と妹で赤字にならないで8250円の給料をもらえる」
もう一組の出店者は、ラーメン店の息子、有村虹くんです。
虹くんの母 ラーメン店「キンボシ」店主・有村美幸さん
「将来的には飲食店をやりたいと言ってるので、少しでも勉強ができたら」
用意した商品は手作りのポップコーンとコーラ。3時間という限られた時間の中で、それぞれ完売を目指します。
「ありがとうございます!」
ラムネを販売する浜島きょうだい、全部売り上げてポケモンカードを買いたいと意気込んでいたものの…。
Q.ちょっと疲れてきた?
信秀くん「いや...普通」
凜華ちゃん「頑張って」
信秀くん「もういつも嫌なこと言う!」
元気がなくなる場面もありつつ、頑張って売り続けていると終わりが見えてきました。
信秀くん「あと2本!お願いします!買って下さい!!!」
最後の2本を売り切ると笑顔に!
信秀くん
「全部売り上げたし、給料ももらえたからよかった!」
達成感と満足感でいっぱいの様子でした。
そして、虹くんの店も、みごと商品を完売しました!
河井理事長
「商売の面白さ、お客さんと接することの楽しさを知ってもらって、将来自分も商売人をやろう、商店街でお店を開こうと思ってもらえれば、自然と後継者はできるはず」
子どもから大人まで一体となった宇宿商店街の取り組み。買い物の手段が多様化する現代社会で、商店街のあり方の一つのモデルケースといえそうです。