地元に愛された文具店が57年の歴史に幕・・・「はやま文具」最後の一日に密着 鹿児島市
2024年9月4日(水) 18:35
日々、目まぐるしく変わっていく街並み。そんな変化のひとつに目を向けてみたいと思います。
8月31日、鹿児島市のイオン鹿児島鴨池店が閉店を迎えたのと時を同じくして、地元の人に愛された鹿児島市の文具店が、57年の歴史に幕を下ろしました。最後の一日に密着、そこには様々なドラマが広がっていました。
手書きの見本に、ちょっと使ってみたくなるアドバイス。
どこか温かみを感じるこの文具店は、鹿児島市西田にある「はやま文具」です。
文具や事務用品の小売店として、昭和41年に創業。57年もの間、街の文具店として親しまれてきましたが、通販サイトの普及や大型店舗が増えたことを受けて売り上げが低迷。
ネット注文や企業向けの納品は続けるものの、小売店としては幕を下ろすことになりました。
そんな文具店に10年立ち続けた女性がいます。
お店のポップも手がける湯田平美咲さんです。
もともと絵を描くのが好きだった湯田平さん。店のインスタグラムを開設し、様々な商品を紹介してきました。
フォロワーに特に好評だったのが、毎日更新される湯田平さん手描きのイラストです。もちろん、お店の文具で描いてきました。
湯田平美咲さん
「まだ実感がわかないです」
複雑な思いで最後の日を迎えます。
8月31日午前10時。はやま文具店、最後の一日が始まります。開店と同時にやってきたのは、近所に暮らす姉妹でした。
大事に握りしめているのは…
「お母さんが書いてくれました。ペンのインクが切れてたので買いにきました」
メモになかった折り紙もこっそり購入です。
レジから湯田平さんのうれしそうな声が聞こえてきました。
「作文を書いて賞をいただいたんです」
小学生
「初めて1人でお買い物したのはここだったというのを作文に書きました」
湯田平美咲さん
「『どんな風に買い物をして』『どんな気持ちで』っていうのを作文に書いたんだよね」
お母さんと来ていた小学生の女の子。
初めてのおつかいで訪れた、はやま文具のことを作文にしたそうです。
お昼前。陳列棚とにらめっこしているお客さんが。
お客さん
「携帯を見て、持っていない色を照らし合わせながら買っていました」
見ていたのはペンの色のリスト。お店には7年前から通っているそうです。
「閉店と聞いてすごくショックで。『この色ありますか』とか聞きやすいし、的確に良さを教えてくれたので、そういうところが好きだった」
いろんな色をそろえてこの後、親戚の子どもたちとお絵かきをしたそうです。
お昼すぎ。湯田平さんが毎日描いていたイラストの時間がやってきました。
湯田平美咲さん
「感謝の気持ちを込めて、いつも自分で使っていたボールペンで書きました」
お店中に飾られたイラストは、希望者に配ることに。そんな湯田平さんのイラストを目当てに訪れるファンも。
湯田平美咲さん
「SNSを見てくださっている方で大隅から来てくださって」
お客さん
「きょう初めて来ました。ちょっと迷子になりましたが。仕事行く前とか昼休みにいいなぁと思いながら見てました」
湯田平美咲さん
「そんな見てくださっている方がいたんだと思うと、やめたくないです」
夕方を過ぎた頃、お店に戻ってきたお客さんがいました。
「さっきの子だ!」
はやま文具へのおつかいを作文にした女の子。その作文を持ってきてくれました。
「思い出のひとつにこの店が残っているっていうのが嬉しいですね。持ってきてくれたんだ。」
それぞれの思い出を胸に刻むように―閉店1時間前、レジには長い列ができていました。
そして―
羽山晴彦社長
「57年ありがとうございました。今日までありがとうございました。感謝です」
湯田平美咲さん
「やめるのがすごく寂しいなぁと言う気持ちでいっぱいです。時代の移り変わりなのでしょうがないなと思うところもあるんですけど。このあたりは長くあるお店が多いので、なくなってから気づくというか、地元のお店を大事にしたいと思った」
日々変わりゆく街並み。
その変化の中で、いつまでも変わらずにそこに在り続けるのは、私たちが思う以上に難しいー。
地域の人たちに惜しまれながら、最後の日を迎えた「はやま文具店」は、私たちにそんなことを教えてくれているのかもしれません。
8月31日、鹿児島市のイオン鹿児島鴨池店が閉店を迎えたのと時を同じくして、地元の人に愛された鹿児島市の文具店が、57年の歴史に幕を下ろしました。最後の一日に密着、そこには様々なドラマが広がっていました。
手書きの見本に、ちょっと使ってみたくなるアドバイス。
どこか温かみを感じるこの文具店は、鹿児島市西田にある「はやま文具」です。
文具や事務用品の小売店として、昭和41年に創業。57年もの間、街の文具店として親しまれてきましたが、通販サイトの普及や大型店舗が増えたことを受けて売り上げが低迷。
ネット注文や企業向けの納品は続けるものの、小売店としては幕を下ろすことになりました。
そんな文具店に10年立ち続けた女性がいます。
お店のポップも手がける湯田平美咲さんです。
もともと絵を描くのが好きだった湯田平さん。店のインスタグラムを開設し、様々な商品を紹介してきました。
フォロワーに特に好評だったのが、毎日更新される湯田平さん手描きのイラストです。もちろん、お店の文具で描いてきました。
湯田平美咲さん
「まだ実感がわかないです」
複雑な思いで最後の日を迎えます。
8月31日午前10時。はやま文具店、最後の一日が始まります。開店と同時にやってきたのは、近所に暮らす姉妹でした。
大事に握りしめているのは…
「お母さんが書いてくれました。ペンのインクが切れてたので買いにきました」
メモになかった折り紙もこっそり購入です。
レジから湯田平さんのうれしそうな声が聞こえてきました。
「作文を書いて賞をいただいたんです」
小学生
「初めて1人でお買い物したのはここだったというのを作文に書きました」
湯田平美咲さん
「『どんな風に買い物をして』『どんな気持ちで』っていうのを作文に書いたんだよね」
お母さんと来ていた小学生の女の子。
初めてのおつかいで訪れた、はやま文具のことを作文にしたそうです。
お昼前。陳列棚とにらめっこしているお客さんが。
お客さん
「携帯を見て、持っていない色を照らし合わせながら買っていました」
見ていたのはペンの色のリスト。お店には7年前から通っているそうです。
「閉店と聞いてすごくショックで。『この色ありますか』とか聞きやすいし、的確に良さを教えてくれたので、そういうところが好きだった」
いろんな色をそろえてこの後、親戚の子どもたちとお絵かきをしたそうです。
お昼すぎ。湯田平さんが毎日描いていたイラストの時間がやってきました。
湯田平美咲さん
「感謝の気持ちを込めて、いつも自分で使っていたボールペンで書きました」
お店中に飾られたイラストは、希望者に配ることに。そんな湯田平さんのイラストを目当てに訪れるファンも。
湯田平美咲さん
「SNSを見てくださっている方で大隅から来てくださって」
お客さん
「きょう初めて来ました。ちょっと迷子になりましたが。仕事行く前とか昼休みにいいなぁと思いながら見てました」
湯田平美咲さん
「そんな見てくださっている方がいたんだと思うと、やめたくないです」
夕方を過ぎた頃、お店に戻ってきたお客さんがいました。
「さっきの子だ!」
はやま文具へのおつかいを作文にした女の子。その作文を持ってきてくれました。
「思い出のひとつにこの店が残っているっていうのが嬉しいですね。持ってきてくれたんだ。」
それぞれの思い出を胸に刻むように―閉店1時間前、レジには長い列ができていました。
そして―
羽山晴彦社長
「57年ありがとうございました。今日までありがとうございました。感謝です」
湯田平美咲さん
「やめるのがすごく寂しいなぁと言う気持ちでいっぱいです。時代の移り変わりなのでしょうがないなと思うところもあるんですけど。このあたりは長くあるお店が多いので、なくなってから気づくというか、地元のお店を大事にしたいと思った」
日々変わりゆく街並み。
その変化の中で、いつまでも変わらずにそこに在り続けるのは、私たちが思う以上に難しいー。
地域の人たちに惜しまれながら、最後の日を迎えた「はやま文具店」は、私たちにそんなことを教えてくれているのかもしれません。